上 下
44 / 109

一線 R-15

しおりを挟む
アランの舌がシャオの口内にはいった。 
アランの舌は自身の口の中を這い回り、苦い味を確かめるように薬を舐めとっていく。

「んッ――、ふっ、んッ!」
 
抵抗することすらできなかった。
口の中の苦味がどうでもよくなるほどに、アランの舌はシャオの口内を侵していく。
  
 ――これを、どこかでッ……!!

 この感触。どこかで体験したことがある。
 今回が初めてでは無い。今まで何回か、したことある。
 いつそんなことをしたのか全く覚えていない。だが、この行為をシャオの身体は確かに歓喜していた。
 背筋が震え、身体の力が無くなる。 
アランに口付けされたまま床に倒れこもうというとき、アランの腕がシャオを引っ張り、そのままベッドに引きずり込まれる。
気がつけばシャオはアランに押し倒される形となっていた。
アランの長い髪がシャオの頬に振れ、銀の瞳が呆然と見上げる自分を映した。

「あ、ある、じーー」

掠れた声で名前を呼ぶと、アランはシャオの唇を指でなぞり、不敵な笑みを浮かべた。

「別に、大して苦くないではないか」
「え、あ、あの……」
「少し、大人しくしていろ」

アランは器用に片手でシャオの手をまとめながら、もう片方の手でシャオの服のボタンを外していった。
どこでそんなこと覚えたのだろう。気がつけばシャオの胸は部屋の空気に晒されていた。

「はーー?」

今まで服の中に隠してあった肌が空気に触れたせいでシャオの体が震える。
それと同時に、アランにシャオのはだけた肌を見られているという羞恥心がシャオの体を内側から熱くした。

「な、なに……、あ、ある、じ――ッ!」

 体を触るアランの指の動きにシャオの体は跳ねた。
 腹や首を擽られるように撫ぜられ、シャオの身体は魚のように跳ねる。

「あ、ある、あるじ……。んぅ!」
  
 こんなの自分ではない。逃げたいと心の底から願うが、アランの前では何の抵抗もできない。

ーーあぁ……、主が私に、触れて、いる……。

なぜこんな状況になっているのか全く分からないが、そんな疑問が全てどうでもよくなるくらい今の状況はシャオの頭を混乱させた。アランの指がシャオの胸の突起を掠るたびに、体が反応しシャオの喉からは甲高い声が鳴る。

「うっ、あっ……!はっ――! んッ!」
  
ーーう、うそ、うそだ、主が、私に触るなど……

これは夢だと思い込もうとするが、胸の突起を弾かれる度、アランの手がシャオの腹をさする度、今が現実なのだと非情に突きつける。
アランは何を考えているのか、もうシャオには分からない。

「あ、あるじっ、な、なぜ……!」
「……共にいたいのではないのか?」
「ッ!?」

確かにシャオはアランに褒美として傍に居たいといった。だが、それは変わらず従者としてこのままそばにいたいという意味で――、こんなことをする関係の傍ではない。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)

藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!? 手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!

龍神様の神使

石動なつめ
BL
顔にある花の痣のせいで、忌み子として疎まれて育った雪花は、ある日父から龍神の生贄となるように命じられる。 しかし当の龍神は雪花を喰らおうとせず「うちで働け」と連れ帰ってくれる事となった。 そこで雪花は彼の神使である蛇の妖・立待と出会う。彼から優しく接される内に雪花の心の傷は癒えて行き、お互いにだんだんと惹かれ合うのだが――。 ※少々際どいかな、という内容・描写のある話につきましては、タイトルに「*」をつけております。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

パーティー全員転生者!? 元オタクは黒い剣士の薬草になる

むらくも
BL
楽しみにしてたゲームを入手した! のに、事故に遭った俺はそのゲームの世界へ転生したみたいだった。 仕方がないから異世界でサバイバル……って職業僧侶!? 攻撃手段は杖で殴るだけ!? 職業ガチャ大外れの俺が出会ったのは、無茶苦茶な戦い方の剣士だった。 回復してやったら「私の薬草になれ」って……人をアイテム扱いしてんじゃねぇーーッッ! 元オタクの組んだパーティは元悪役令息、元悪役令嬢、元腐女子……おい待て変なの入ってない!? 何故か転生者が集まった、奇妙なパーティの珍道中ファンタジーBL。 ※戦闘描写に少々流血表現が入ります。 ※BL要素はほんのりです。

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

処理中です...