華は塔上に咲く

ブリリアント・ちむすぶ

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さそい

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「コルド!」

 仕事が終わり、宿舎に戻ろうとしたコルドに話しかけたのはユーリだった。
 明らかに仕事終わり、という風貌のユーリはコルドを見るや否や親しげに肩を組む。

「お前を探していたんだ」
「俺を?」

 ユーリは嬉しそうに頷き、ニヤリと笑いながら言った。

「明日、俺らの仕事が急遽なくなってな。みんなで飲みに行くんだ。お前も来るだろ?」
「残念だが、俺はやめておく。俺は明日も仕事なんだ」
「まあ話を最後まで聞けよ。金もない俺たちだから、宿舎で酒盛りをしようとした所、ボロ小屋の爺さんからたんまり金を貰ったんだ」

 それがこれだと言わんばかりにユーリは懐から袋をだした。
 ジャリ、と鳴った金の音からかなりの量が入っているとわかる。
 いくらコルドに花を届けさせるために金を渡す老人であっても、自分に関係ない酒代を渡すとは思えない。
 コルドは訝しげにユーリに聞く。

「本当に彼からもらったのか? 強請ってないだろうな?」
「もちろんだ。宿舎で騒がれるのは嫌だからだとさ。んで、仲間思いの俺たちはお前を置いていくことは出来ないと言った。そしたら爺さん、明日の仕事をお前と代わってやってもいいってよ」
「なっ……!」
「良かったな。明日は3ヶ月ぶりの休みだ」

 仕事をいつの間にか休みにされ驚きのあまり固まるコルドにユーリは笑う。
 想定していなかった自体にコルドは怒りというよりも心配が勝った。

「そんな、勝手に」
「気にすんなって。爺さん、意外とお前のこと気にしていたんだぜ。だから今だけは仕事を忘れて飲みに行くぞ!」
「ちょ、ちょっと待ってくれユーリ!」
「ほら、みんな待ってんだ。お前だって久しぶりにみんなと飲みたいだろ?」
「……」
「決まりだな。行くぞ」
「……少しだけだ」
「へいへい」

 ユーリの小ばかにした笑い声をコルドは聞こえないふりをした。
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