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蠢動
35.襲撃と追跡
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店を出たあとでまずは俺がかつて崩壊させた建物へ向かう事にした。
あの建物はゴルドでも比較的荒れた場所にある。
建物はあの時から全く変わっていなかった。
半分崩れかけ、地下室も土砂に埋まっている。
「土砂をどかしてみないことには何もわからないな…」
そんなことを考えながら調査をしていると人の気配を感じた。
それも一人や二人ではない。
見渡すと辺りをすっかり囲まれていた。
数は十、いや二十人入るだろうか。
どいつもこいつも普通の生活とは無縁の顔と格好だ。
「こんなところで何してんだい?デートには似合わねえぜ」
男の一人がにやにやしながら尋ねてきた。
「デ、デートではない!」
ソラノが顔を紅くして抗議している。
いや、問うべきはそこじゃないと思うんだが。
「ここは物騒だぜ。姉ちゃんみてえな別嬪が歩いてるとどんな目に遭うかわかったもんじゃねえ」
「そうそう、だから俺たちが安全なところまで送っていってやるよ」
みんな下品な笑顔を浮かべている。
「ふん、余計なお世話だ。それよりも貴様らはここで何をしている」
「なあに俺たちは自警団みたいなもんだよ。こういう危ないところにやってくる無謀な奴らが多くてね。そういう奴らにこういうところに来たら怪我の元だと教えてやるのが俺たちの仕事なのさ」
男が一人、ニヤニヤ笑いながらこちらに近寄ってきた。
腰のベルトに差した馬鹿でかいナイフをこれ見よがしにちらつかせている。
「なのでお姉ちゃんにはちょいとここに来た理由を聞かせてもらおうかな。なあに危ねえことはねえって。ちょっと落ち着いた場所で話を聞くだけっが!」
そういうとむんずとソラノの腕を掴んだ、瞬間に股間を蹴り上げられて悶絶した。
流石に男としてちょっと同情するぞ。
「てめえ!」
「下手にでりゃ調子に乗りやがって!」
男達が一斉に顔色を変えて手に凶器を構えた。
まあ遅かれ早かれこうなることは覚悟してたけど。
「で、どうする?とりあえずもう一人は確保してるけど」
「知れたこと。全員確保だ!」
俺の提案をあっさり跳ねのけソラノが腰に手をまわした。
あ、こいつ自分が帯剣してないことを忘れてたな。
「なんだそりゃ?剣でも持ってるつもりかよ!」
「なんなら俺の剣を貸してやろうか?俺のはでっけえぞ!」
そんなソラノを見て男たちが爆笑している。
ソラノの顔がみるみる朱に染まった。
「貴様らごときに力を使うのはもったいないが、私を愚弄した以上容赦はせんぞ!」
言うなり周囲に突風が巻き起こった。
「うおっ!なんだこの風は?」
「み、身動きができねえっ」
「掴まれ!飛ばされるぞ!」
悲鳴も空しく男たちは突風に煽られて次々に宙を舞い、お互い空中で衝突しあって地面に落下していった。
相変わらずとんでもない力だな。
「ふん、私を怒らせるからだ」
「でもこれじゃあ話を聞くどころじゃないぞ」
とりあえず俺は地面にのびている男達を拘束して回った。
ソラノに股間を蹴られて悶絶していた男の頬を叩いて正気に返らせる。
「ひ、ひぃ……参った、参ったからもう止めてくれ」
形成が不利と見るや男はあっという間に降参してきた。
「なんで俺たちを狙ったのか理由を聞かせてもらおうか。言っとくけどさっきの言い訳はなしだ。あそこのお嬢様が怒りだしても止めるつもりはないからな」
「し、知らねえ!本当に何も知らねえんだ!ギルドでこの建物を見張って誰かが来たらそいつらを捕まえるように頼まれただけなんだ!相手がどこの誰かも知らねえ!本当だ!信じてくれ!」
やっぱりか。
なんとなくそんな気はしていた。
相手はとことん正体を明かす気がないらしい。
「どうだ?」
「おそらく嘘は言ってないだろうな。こいつらから相手を追跡するのは無理だと思う。この件ももう知られてると思った方が良いだろうし」
「結局分からずじまいか……。足跡すら辿れんとはな」
ソラノがため息をついた。
「足跡か……ひょっとしたら手があるかもしれないぞ」
俺の頭に一つの考えが浮かんだ。というかなぜ今までそれを思いつかなかったんだろうか。
とりあえず男たちは衛兵に任せる事にした。
おそらくすぐに釈放されるだろうけどそれは大した問題じゃない。
俺たちは廃墟となった建物から延びる地下道へと降りて行った。
「こんな所へ来てどうするのだ?どこに延びているのかわからないのだろう?」
「ああ、でも上手くいけばここから手掛かりが追えるかもしれない」
俺はそう言うと壁に手を当てた。
何の変化もない石壁だが、人が触れたりすれば変化があるし、地上から来たのであれば微細な土ぼこりが残っているはずだ。
それを追うことができれば。
俺は地下道に元から堆積している土埃以外を探知してみた。
やはり、思った通りこの地下道は何回も人が通った痕跡が残っている。
光をイメージし、その痕跡を発光させる。
「こ、これは……」
ソラノが驚いて辺りを見渡した。
地下道の壁や床が点々と発光して前後に続いている。
「これでこの地下道を使った人間がどこから来ているかわかるぞ」
あの建物はゴルドでも比較的荒れた場所にある。
建物はあの時から全く変わっていなかった。
半分崩れかけ、地下室も土砂に埋まっている。
「土砂をどかしてみないことには何もわからないな…」
そんなことを考えながら調査をしていると人の気配を感じた。
それも一人や二人ではない。
見渡すと辺りをすっかり囲まれていた。
数は十、いや二十人入るだろうか。
どいつもこいつも普通の生活とは無縁の顔と格好だ。
「こんなところで何してんだい?デートには似合わねえぜ」
男の一人がにやにやしながら尋ねてきた。
「デ、デートではない!」
ソラノが顔を紅くして抗議している。
いや、問うべきはそこじゃないと思うんだが。
「ここは物騒だぜ。姉ちゃんみてえな別嬪が歩いてるとどんな目に遭うかわかったもんじゃねえ」
「そうそう、だから俺たちが安全なところまで送っていってやるよ」
みんな下品な笑顔を浮かべている。
「ふん、余計なお世話だ。それよりも貴様らはここで何をしている」
「なあに俺たちは自警団みたいなもんだよ。こういう危ないところにやってくる無謀な奴らが多くてね。そういう奴らにこういうところに来たら怪我の元だと教えてやるのが俺たちの仕事なのさ」
男が一人、ニヤニヤ笑いながらこちらに近寄ってきた。
腰のベルトに差した馬鹿でかいナイフをこれ見よがしにちらつかせている。
「なのでお姉ちゃんにはちょいとここに来た理由を聞かせてもらおうかな。なあに危ねえことはねえって。ちょっと落ち着いた場所で話を聞くだけっが!」
そういうとむんずとソラノの腕を掴んだ、瞬間に股間を蹴り上げられて悶絶した。
流石に男としてちょっと同情するぞ。
「てめえ!」
「下手にでりゃ調子に乗りやがって!」
男達が一斉に顔色を変えて手に凶器を構えた。
まあ遅かれ早かれこうなることは覚悟してたけど。
「で、どうする?とりあえずもう一人は確保してるけど」
「知れたこと。全員確保だ!」
俺の提案をあっさり跳ねのけソラノが腰に手をまわした。
あ、こいつ自分が帯剣してないことを忘れてたな。
「なんだそりゃ?剣でも持ってるつもりかよ!」
「なんなら俺の剣を貸してやろうか?俺のはでっけえぞ!」
そんなソラノを見て男たちが爆笑している。
ソラノの顔がみるみる朱に染まった。
「貴様らごときに力を使うのはもったいないが、私を愚弄した以上容赦はせんぞ!」
言うなり周囲に突風が巻き起こった。
「うおっ!なんだこの風は?」
「み、身動きができねえっ」
「掴まれ!飛ばされるぞ!」
悲鳴も空しく男たちは突風に煽られて次々に宙を舞い、お互い空中で衝突しあって地面に落下していった。
相変わらずとんでもない力だな。
「ふん、私を怒らせるからだ」
「でもこれじゃあ話を聞くどころじゃないぞ」
とりあえず俺は地面にのびている男達を拘束して回った。
ソラノに股間を蹴られて悶絶していた男の頬を叩いて正気に返らせる。
「ひ、ひぃ……参った、参ったからもう止めてくれ」
形成が不利と見るや男はあっという間に降参してきた。
「なんで俺たちを狙ったのか理由を聞かせてもらおうか。言っとくけどさっきの言い訳はなしだ。あそこのお嬢様が怒りだしても止めるつもりはないからな」
「し、知らねえ!本当に何も知らねえんだ!ギルドでこの建物を見張って誰かが来たらそいつらを捕まえるように頼まれただけなんだ!相手がどこの誰かも知らねえ!本当だ!信じてくれ!」
やっぱりか。
なんとなくそんな気はしていた。
相手はとことん正体を明かす気がないらしい。
「どうだ?」
「おそらく嘘は言ってないだろうな。こいつらから相手を追跡するのは無理だと思う。この件ももう知られてると思った方が良いだろうし」
「結局分からずじまいか……。足跡すら辿れんとはな」
ソラノがため息をついた。
「足跡か……ひょっとしたら手があるかもしれないぞ」
俺の頭に一つの考えが浮かんだ。というかなぜ今までそれを思いつかなかったんだろうか。
とりあえず男たちは衛兵に任せる事にした。
おそらくすぐに釈放されるだろうけどそれは大した問題じゃない。
俺たちは廃墟となった建物から延びる地下道へと降りて行った。
「こんな所へ来てどうするのだ?どこに延びているのかわからないのだろう?」
「ああ、でも上手くいけばここから手掛かりが追えるかもしれない」
俺はそう言うと壁に手を当てた。
何の変化もない石壁だが、人が触れたりすれば変化があるし、地上から来たのであれば微細な土ぼこりが残っているはずだ。
それを追うことができれば。
俺は地下道に元から堆積している土埃以外を探知してみた。
やはり、思った通りこの地下道は何回も人が通った痕跡が残っている。
光をイメージし、その痕跡を発光させる。
「こ、これは……」
ソラノが驚いて辺りを見渡した。
地下道の壁や床が点々と発光して前後に続いている。
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