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新しい生活
16.新居をあげよう
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「女の子だとぉ~!!!!!」
ソラノの声が店内に響き渡った。
「声がでかいって!」
俺は慌ててソラノの口をふさいだ。
ここは昨日アマーリアと一緒にきた店だ。
ちなみに店の名前は「ゴルドの台所」というらしい。
「だいたいなんでお前がいるんだよ。俺はアマーリアに話があったんだぞ」
「ふん、貴様とアマーリア様を2人きりにさせておけるか!」
いや、キリもいるんだが。
「……で、そのキリというそこの子が女の子というのは本当なのか?」
アマーリアが俺とソラノの会話に割って入ってきた。
なんか、ちょっと声が冷たいような気がするけど、気のせいだよな、うん。
「ああ、俺もびっくりしたんだけどさ。女の子だったんだよ」
俺の隣にはキリが座り、並べられた料理を手当たり次第にむさぼっている。
あれから町に戻った俺たちは王城へ向かい、アマーリアに話がしたいとここへ来てもらったのだ。
「貴様!その子をどうするつもりだ!まさか手籠めにしようなどと思ってはいまいな!そのような不埒な考え、騎士である私が許すと思ったか?」
ソラノがいきなりレイピアを俺の首元に突き付けてきた。
なんなのこの子、怖い。
「そ、そんなこと思うわけないだろ!それよりも剣をしまえ!大声を出すな!」
店の人にアイコンタクトを送ってみたがこっちを見て見ぬふりしてる。
駄目だ、アマーリアに助けてもらうしかない。
「ふむ……あの時は薄暗かったしこの子も汚れていたから仕方がないだろうな。気付かなかった私にも落ち度がある」
流石にアマーリアは冷静だった。
「しかしテツヤ、本当にこの子と一緒に暮らすつもりなのか?」
「ああ、俺はこの子の面倒を見ると決めたんだ!」
なるほど、と言ってゆらりとアマーリアが立ち上がった。
なんか殺気で景色が歪んで見えるんですけど。
なんで剣まで抜いているんですか。
「しかし相手はまだ年端もいかぬ少女だ。何か間違いがあるなどあったら調査隊長であり後継人でもある私が責任をもってお主を処分することになるが、本当にそれでよいのだな?」
いやいや、だからなんでそうなる!
何故俺が間違いを起こす前提なんだ!
「おい、そこの二人、言っとくけどキリはご主人様から絶対に離れないからな!」
キリがテーブルに拳を叩きつけて俺に抱きついてきた。
やめて、俺の首元に剣を突き付けてる二人を刺激しないで。
◆
「まあ冗談はその位にして、私もテツヤに話があったのだ」
いや、あの殺気はとても冗談とは思えないんだけど。
「コホン、以前にテツヤの住む場所をどうしようかという話をしたことがあったが覚えているか?」
そう言えばそんな話もあったな。
とりあえずどこか宿にでも泊まろうと思ってたけど。
「そのことなのだが、一つ当てがあってな。我々調査隊の拠点に使っている家屋があるのだが、そこに住まないか?」
「こっちとしては全然ありがたい話だけど、いいのか?」
「ああ、今は全国に飛び回ることが多くてあまり使われていなくてな。ほっといても傷むだけだから誰かが住んでいた方が都合が良いのだ。そちらのキリが助手となって家の面倒を見てくれるのであればなおさらだ」
なるほど、確かに家は人が住んでいないとあっという間に傷むというもんな。
「だったらありがたく受けさせてもらうよ」
「よし、そうと決まったら話は早い。早速行ってみるとしよう」
俺たちが向かったのはゴルドの城壁外の町にある古びた建物だった。
二階建てで上階に寝室が四部屋あり、一階にはキッチン、風呂、トイレ、暖炉をしつらえた居間がある。
多少傷んではいるがこれならちょっと修理したら十分住めそうだ。
「どうだ?何か不便があるなら業者を呼んで直させるが」
「いや、これで充分だよ。雨風がしのげるだけでも大助かりだ。修理なら自分でできるしね」
「そうか。私も仕事の関係で時々泊まることになると思うから二階奥の部屋は空けておいてくれ」
「ああ、わかった」
「わ、私も使うぞ!私の部屋はアマーリア様の隣だ!いいか!絶対に入ってくるなよ!」
わかったわかった。
家を案内した後、くれぐれも間違いは起さないようにと念を押してアマーリアとソラノは去っていった。
全く、人を何だと思っているんだ。
「さて、住む場所も決まったことだし、まずはキリの服の買い直しだな」
「え~。別にこの服でも動きやすいし良いんだけど」
「いーや、駄目だ。キリはこれから女の子として暮らしていくんだからな。何よりそんな男みたいな格好だと俺が嬉しくない!」
「…じゃ、じゃあ、別にいいけど」
こうして俺とキリは服を買いに町に出た。
俺たちの家がある町は城外町と呼ばれていて、いわゆる庶民が住まう町になっている。
そのために生活に必要なものは大体徒歩圏内で買うことができた。
キリのために黒いスカートと白いブラウス、靴下や下着類を色々買い、更に生活雑貨も買い込んだ。
「なあ、そんなに買ってお金の方は大丈夫なのか?」
キリが心配そうに聞いてくる。
「心配するなって。ほら」
俺はずっしりと金貨銀貨が入った革袋を見せた。
「お前が捕まっていた組織からちょろまかしておいたんだ。ほとんどは孤児院に渡しておいたけどこれくらいはキリに使う権利があるはずだからな」
「やるじゃん!」
家に帰ったらまずは大掃除だ。
こういう時も土属性の力が大いに役立ってくれて、ちょっと念じるだけで家中の埃を集めることができた。
流石に水回りは結構傷んでいたけどこちらも土属性の力であっという間に直った。
「テツヤは修理屋になったら大儲けできるね」
キリが嬉しそうに言った。
俺もそう思う。
ソラノの声が店内に響き渡った。
「声がでかいって!」
俺は慌ててソラノの口をふさいだ。
ここは昨日アマーリアと一緒にきた店だ。
ちなみに店の名前は「ゴルドの台所」というらしい。
「だいたいなんでお前がいるんだよ。俺はアマーリアに話があったんだぞ」
「ふん、貴様とアマーリア様を2人きりにさせておけるか!」
いや、キリもいるんだが。
「……で、そのキリというそこの子が女の子というのは本当なのか?」
アマーリアが俺とソラノの会話に割って入ってきた。
なんか、ちょっと声が冷たいような気がするけど、気のせいだよな、うん。
「ああ、俺もびっくりしたんだけどさ。女の子だったんだよ」
俺の隣にはキリが座り、並べられた料理を手当たり次第にむさぼっている。
あれから町に戻った俺たちは王城へ向かい、アマーリアに話がしたいとここへ来てもらったのだ。
「貴様!その子をどうするつもりだ!まさか手籠めにしようなどと思ってはいまいな!そのような不埒な考え、騎士である私が許すと思ったか?」
ソラノがいきなりレイピアを俺の首元に突き付けてきた。
なんなのこの子、怖い。
「そ、そんなこと思うわけないだろ!それよりも剣をしまえ!大声を出すな!」
店の人にアイコンタクトを送ってみたがこっちを見て見ぬふりしてる。
駄目だ、アマーリアに助けてもらうしかない。
「ふむ……あの時は薄暗かったしこの子も汚れていたから仕方がないだろうな。気付かなかった私にも落ち度がある」
流石にアマーリアは冷静だった。
「しかしテツヤ、本当にこの子と一緒に暮らすつもりなのか?」
「ああ、俺はこの子の面倒を見ると決めたんだ!」
なるほど、と言ってゆらりとアマーリアが立ち上がった。
なんか殺気で景色が歪んで見えるんですけど。
なんで剣まで抜いているんですか。
「しかし相手はまだ年端もいかぬ少女だ。何か間違いがあるなどあったら調査隊長であり後継人でもある私が責任をもってお主を処分することになるが、本当にそれでよいのだな?」
いやいや、だからなんでそうなる!
何故俺が間違いを起こす前提なんだ!
「おい、そこの二人、言っとくけどキリはご主人様から絶対に離れないからな!」
キリがテーブルに拳を叩きつけて俺に抱きついてきた。
やめて、俺の首元に剣を突き付けてる二人を刺激しないで。
◆
「まあ冗談はその位にして、私もテツヤに話があったのだ」
いや、あの殺気はとても冗談とは思えないんだけど。
「コホン、以前にテツヤの住む場所をどうしようかという話をしたことがあったが覚えているか?」
そう言えばそんな話もあったな。
とりあえずどこか宿にでも泊まろうと思ってたけど。
「そのことなのだが、一つ当てがあってな。我々調査隊の拠点に使っている家屋があるのだが、そこに住まないか?」
「こっちとしては全然ありがたい話だけど、いいのか?」
「ああ、今は全国に飛び回ることが多くてあまり使われていなくてな。ほっといても傷むだけだから誰かが住んでいた方が都合が良いのだ。そちらのキリが助手となって家の面倒を見てくれるのであればなおさらだ」
なるほど、確かに家は人が住んでいないとあっという間に傷むというもんな。
「だったらありがたく受けさせてもらうよ」
「よし、そうと決まったら話は早い。早速行ってみるとしよう」
俺たちが向かったのはゴルドの城壁外の町にある古びた建物だった。
二階建てで上階に寝室が四部屋あり、一階にはキッチン、風呂、トイレ、暖炉をしつらえた居間がある。
多少傷んではいるがこれならちょっと修理したら十分住めそうだ。
「どうだ?何か不便があるなら業者を呼んで直させるが」
「いや、これで充分だよ。雨風がしのげるだけでも大助かりだ。修理なら自分でできるしね」
「そうか。私も仕事の関係で時々泊まることになると思うから二階奥の部屋は空けておいてくれ」
「ああ、わかった」
「わ、私も使うぞ!私の部屋はアマーリア様の隣だ!いいか!絶対に入ってくるなよ!」
わかったわかった。
家を案内した後、くれぐれも間違いは起さないようにと念を押してアマーリアとソラノは去っていった。
全く、人を何だと思っているんだ。
「さて、住む場所も決まったことだし、まずはキリの服の買い直しだな」
「え~。別にこの服でも動きやすいし良いんだけど」
「いーや、駄目だ。キリはこれから女の子として暮らしていくんだからな。何よりそんな男みたいな格好だと俺が嬉しくない!」
「…じゃ、じゃあ、別にいいけど」
こうして俺とキリは服を買いに町に出た。
俺たちの家がある町は城外町と呼ばれていて、いわゆる庶民が住まう町になっている。
そのために生活に必要なものは大体徒歩圏内で買うことができた。
キリのために黒いスカートと白いブラウス、靴下や下着類を色々買い、更に生活雑貨も買い込んだ。
「なあ、そんなに買ってお金の方は大丈夫なのか?」
キリが心配そうに聞いてくる。
「心配するなって。ほら」
俺はずっしりと金貨銀貨が入った革袋を見せた。
「お前が捕まっていた組織からちょろまかしておいたんだ。ほとんどは孤児院に渡しておいたけどこれくらいはキリに使う権利があるはずだからな」
「やるじゃん!」
家に帰ったらまずは大掃除だ。
こういう時も土属性の力が大いに役立ってくれて、ちょっと念じるだけで家中の埃を集めることができた。
流石に水回りは結構傷んでいたけどこちらも土属性の力であっという間に直った。
「テツヤは修理屋になったら大儲けできるね」
キリが嬉しそうに言った。
俺もそう思う。
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