一人っ子の人生

長谷川 ゆう

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ひとりっ子、一冊の絵本

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   幼稚園の頃から父親は軍隊並みに
一人っ子の娘だろうが厳しかった。

   イギリス寮長なみに世間体を気にする母親は、まだ私の子育てに必死でそんなに規律は厳しくなかった


    私は赤ん坊の頃から心臓に病気が見つかり、15歳まで総合病院で毎年、夏には丸一日の検査がある

  
   病気内の端から端まで検査をするので、帰る夕方にはグッタリしていた。


   いまだに原因の分からない心臓病で、子供のうちに亡くなる子も助かる子が多いが残念ながらいる。

    
    子供の頃から40℃の高熱を毎年だしては、学校を休んだ。


   小学生にもなると、父親の厳しさは増したが私が寝込むと流石に黙っていた。


   高熱にうなされるため、2、3時間後には起きては水分補給をしてまた眠るを7日間繰り返した。


    流石に42℃近く上がった時は、眠ることすら苦痛でフラフラ起きて、まだ起きていた父親のリビングに行った。


   高熱でぼんやり立っていたら、珍しく父親が「眠れないのか?」と言って私の好きな絵本を持ち、私が布団に入ると、横で最後まで読んでくれた。


   高熱でぼんやりしていて、よく覚えていないが父親自ら本を読んでくれたのは、それが、最初で最後だ。


   一冊の本だったため、今でも内容をよく覚えている。貴重な本だ。


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