詩集

長谷川 ゆう

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家がないヒト

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  都心の地下鉄の駅内を歩くとミテシマウ


  人々の喧騒の中、壁によりそうように、


  下を向き、絶望している家のないヒト


   私を含めて、誰も声もかけずに


   ヒトゴミは流れて、そのヒトは絵画のように時を止めている


   独りで誰も産まれてきたわけじゃない


   独りで誰も生きてこれたわけじゃない


   無言のそのヒトからの聴こえる叫びは


   浮かれて歩くヒトビトより強烈だ


  そのヒトも私もヒトゴミも


  「死」以外の他にどこへ向かうのだろうか


    


  
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