詩集

長谷川 ゆう

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五季がはなしだす

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  梅雨はいつも、めそめそと泣いて短い自分の命をなげいては、輝いてみえる四季をうらやんで自分と比べ淋しそう


   春は人を喜ばせる自分を誇り、豪語する自分は花を咲かせ木を眠りから覚まさせると偉そう



   夏は人が喜ぶ休みや行事があると、他の季節も気にせずに自分の命を楽しむ


  
  秋は空を持ち上げ人や動物を安らぎへと導き自分もゆったりと命を終えることに誇りを静かに思ってる


  冬は澄して星を散らばせて動物や人や木々を落ち着かせながら自分もしずかに眠る


   梅雨は四季から仲間外れだと泣いている


   春は言う、君は雨ばかり降らすから花が散るんだと


   夏は言う、君は楽しめないから駄目な季節だと


   秋は言う、涼しくないから人にも嫌われるんだと


   冬は言う、蒸したような涙が余計なんだと


   梅雨は言う、この命がもっと短ければ疎まれないと


   梅雨は自分の命を短くし、そっと夏にとけていく


  人が言う、梅雨は雨音が静かで必要な水をためてくれるのに最近は姿をみせないと


  春も夏も秋も冬も梅雨に言いすぎたと、ツユガ戻ってこなければ自分たちが悪い季節だと思われてしまうと


  どんなに呼びかけても、あの梅雨の泣き声がしないと命すら短くしてしまったと


   梅雨が必要な季節だと

 ひたすら来年の梅雨の泣き声を聴ける事を願いながら、また自分の季節に夢中になって忘れてしまう


  誰かの「梅雨の雨音が好きだ」と言う言葉すら届かない場所に梅雨は行ってしまった


   

 
  


   

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