詩集

時をこえた七夕

  「七夕ですね」

    歯医者の予約をすると


   受付の人が少し悪賢い子供のような笑顔


   渡してもらった診察券を見ると


   7月7日 


   ああ・・・七夕だ


   子供の頃は祖母には浴衣を着せてもらって幼稚園の七夕の祭り

  
  笹の葉がたくさん


  願いがたくさん

  
  夜空の星がキラキラキラキラ


   いつの間にか大人になって


   最近は毎日が行事どころじゃなくて


   忘れていた

  
   「そう・・・ですね」


    宙に浮かんで消えた私の声は


    どんな願いを叶えたいのだろう

    
    キラキラキラキラキラキラ


    あんなにまぶしくなくてもいい


    彦星様はどこだろう


    私の七夕はいつから


   私の人生から姿を消していたのだろうか


   診察券を大事にしまう


   梅雨の蒸し暑い外に出る


   あの頃のお願いごとはまだ叶っていない


   もう１度時を越えてお願いしてみようか