詩集

夜と命

  天井を見ても

  まぶたを閉じても

  横を向いても

  眠れない

  夜に抗ってみる

  見えない自分を押さえつけるように


   忘れたい誰かの言葉を粉々にするように


   見たくもない現実をない事にするように


   夜に私は抗って眠りを無理やり引っ張りこむ


   それでも眠りは手のひらから


   スルリと逃げていく


   代わりに孤独がやってくる


   見たくない自分をみせつけるように


    忘れたい誰かの言葉を繰り返すように


   見たくもないない現実をみせびらかすように


   心と体を起こしてくる


    カタン、カラカラカラカラカラカラ

     カタン、カラカラカラカラカラカラ


     夜に抗う私をなだめるように


     小さな命が命の歯車を走りはじめる


    カタン、カラカラカラカラカラカラ


    カタン、カラカラカラカラカラカラ


   命の力に孤独が怯え去っていく


   代わりに眠りがやってくる


   命も眠りも単純なものだと教えてくれる音


    命のオトの中へといざなわれて


   私は安心して眠っている


   単純な命と


   単純な音に守られて