詩集

長谷川 ゆう

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祖母が歌ったひな祭り

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  5才くらいの時にお雛様の前で故人の祖母が歌ってくれた「ひな祭り」


  「お花をあげましょ、ぼんぼりに」


 キラキラ光る虹色のぼんぼりが綺麗で私は手拍子


    祖母悲しそうに2番を歌った


  「15で嫁に行ったねえ様は」


 意味が分からず、私は祖母の歌をさえぎった



  「15歳でお嫁に行ったお姉さんを見送る妹からの視線」




 祖母は悲しそうにまた歌った


 私も悲しくなった


 祖母は戦中産まれで、父親は戦死した
16歳で親戚の帽子屋さんで家計を支えるために働いた


  まるで自分を重ねるように歌ったのかは



  祖母が死んだ今は分からない


  「さ、ちらし寿司を食べようね」
 歌い終わった祖母の顔とお雛様のキリッと覚悟を決めたすました顔が重なった


  きっと泣いたのだろ


  きっと独りでここまで来たのだろう


  でも正面をみすえて覚悟を決めたお雛様のように


  祖母も「ねえ様」も生きてきたのだろう


 私にもその血が流れてる


 弱気になると何度も歌う「お雛様」


 
祖母の代わりに今は私がひな祭りに呟くように独りで歌う「お雛様」



 



 


  


  
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