7 / 48
7 今日も独身
しおりを挟む恋愛が苦手だ。
と言っても30代の私は数少ないながら、それなりの恋愛をした。
有り難いことに、私の家の複雑な事情までひっくるめて受け入れてくれた優しい方だったが、その方の転勤と私は私の家の事情で、お別れをした。
私の同級生ともなれば、すでに20代から結婚している人がいる。
独身の私は、「ご結婚おめでとうございます」と久しぶりにあった同級生に言ったら、彼女はファミレスのサイドメニューのポテトをフォークでつまみながら、伏し目がちで言う。
「ありがとう。でも籍を入れただけで結婚式もしてないし、生活は変わらないよ」
幼児期から冷めている、私より彼女の目は冷めていた。
帰り道、夏なのに何だか寒かったのを覚えてる。
私の母親の友人の娘は、私と同世代だが2人の子供がいるが、離婚するしないで揉めては3人目が産まれていた。
人生は、不思議で満ちている。
親戚の結婚している人の話を聞いても、年齢を重ねれば重ねるほど、兄妹の相続争い、離婚、別居のオンパレードだ。
ネズミが主人公の某夢の国だって、こんなに激しいパレードはないだろう。
私も20代の終わりには、結婚ラッシュでさすがに焦った。しかし、最初にお話したように恋愛は終わりを告げ、周囲から聞く結婚の話は、かなりハードだ。
ミッション:インポッシブルのトム・クルーズ並みの覚悟と体力と心理戦が問われそうだ。
胃弱で体力は中程度で疲れてくると心理戦どころか軽く無言でぶちギレる私はトムにはなれそうにない。
まず、結婚するには筋トレから必要だ。
だいたい内向的で、マイペースで時々、周囲がドン引きする程の猛スピードで走り出す私と暮らしてくれる人が見つかりそうにない。
泣きたい。トムへの道は長そうだ。
だいたい、独りの時間が好きな自分が人と過ごす自信がないのを自信を持っていえる。
私はすでに周囲から聞いている数々のミッションをこなし乗り越える結婚話からすでに独身を希望しているのでは。
いや、希望は捨てまいとした時、軍隊式の教育方針の上官の父親が私の心を砕いてくれた。
軍隊式の地方出身の父親は、いまだに私の結婚を諦めない。
私が趣味として、囲碁が得意なため、「囲碁サロンにでも行ったら仲良くなったおじさんが息子さんを紹介してくれるかもしれない」と世迷い言を言う。
息子じゃなくて、父親と同じくらいのそのおじさんに好かれたらどうするのだ。
両親の介護に夫の介護までオプションでついて来るではないか。ミッションが多すぎる。
さすがにトムでも、この介護ミッションはこなせないだろう。
いや、そこは金で彼は解決できる。
ある日、祖母に何で祖父と結婚したのかと聞いた事がある。
無言の後、祖母は何事もなかったかのように「夕食食べましょう」と言った。
ある日、母親に結婚とは何かと聞いた事がある。
「人生ね・・・」
いやいや、私も不器用ながら人生を生きていますが・・・。
とりあえず、結婚はミッションの連続だだと思もうため、今日も私は独身だ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

【画像あり】八重山諸島の犬猫の話
BIRD
エッセイ・ノンフィクション
八重山の島々の動物たちの話。
主に石垣島での出来事を書いています。
各話読み切りです。
2020年に、人生初のミルクボランティアをしました。
扉画像は、筆者が育て上げた乳飲み子です。
石垣島には、年間100頭前後の猫が棄てられ続ける緑地公園がある。
八重山保健所には、首輪がついているのに飼い主が名乗り出ない犬たちが収容される。
筆者が関わった保護猫や地域猫、保健所の犬猫のエピソードを綴ります。
※第7回ほっこり・じんわり大賞にエントリーしました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
霜月は頭のネジが外れている
霜月@サブタイ改稿中
エッセイ・ノンフィクション
普段ゆるーくポイ活をしている私(作者:霜月)が、あるポイ活サイトで『ごろごろしながら小説書くだけで二万稼げる』という投稿をみて、アルファポリスへやってきた。アルファポリスに来て感じたこと、執筆のこと、日常のことをただ書き殴るエッセイです。この人バカだなぁ(笑)って読む人が微笑めるエッセイを目指す。霜月の成長日記でもある。

読まれない小説はもう卒業! 最後まで読んでもらえる小説の書き方|なぜ続きを読んでもらえないの? 小説の離脱ポイントを分析しました。
宇美
エッセイ・ノンフィクション
私はいままでたくさんのweb小説を読み始めて、途中でつまらなくなって、読むのをやめました。
なぜ読むのをやめてしまったのか…… このエッセイでは、離脱ポイントを分析解説しています。
あなたの執筆に役に立つこと間違いなしです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる