3 / 48
3 今日も少食
しおりを挟む男性の前で、少食をアピールして二段活用で可愛さをアピールする女性がいるが、私は違う。
私は、赤ん坊の時からの筋金入りの少食だ。
基礎体力の低い私は、赤ん坊の時、お目汚しの話しになるが離乳食を食べては、そのまま、マレーシアにある虎のごとく、そのままリバースしていたらしい。
母親が慌てて顔を見ても、無表情でけろっとしていたらしい。
私はどんだけ無表情人生の歴が長いのだ。
苦手な夏は、アイスしか食べず栄養を心配した母親がご近所の先輩お母さんに相談すると困った顔をしてこう言ったそうだ。
「◯◯ちゃんは、足がしっかりしてるから大丈夫よ」
どんな励まし方だ。
その先輩お母さんでも困ったらしく、唯一、しっかり育った祖母譲りの足を褒めたらしいが、母親は、解せなかたったらしい。
私もだ、レディーに足がしっかりなんて失礼だ。30年後でも、ぷんぷん怒りたい。
だが、農家育ちの祖母ゆえ、事実だ。
なんて、話は可愛いものだった。
少食の私の地獄は、幼稚園から始まった。
その名も「お弁当地獄」
幼い時から、本が好きで魔女や幽霊は信じるくせに幼稚園の午前の歌、粘土遊び、かけっこなどの業務を淡々とこなした後に待つのが「お弁当地獄」
担任の先生は、まだ新人でマニュアル通りにしか動けなかった。
ゆえに、成長期の子供=食べるの大好き。が刷り込まれていたらしい。
しかし、クラスの中にイレギュラーがいた。そう、私だ。
まだ臨機応変に対応できない担任VS少食幼稚園児を想像して欲しい。
力も権力も胃袋も負けているのだ。勝ち目はない。
お弁当の時間になると、クラスメートは、ワイワイ騒ぎ、お母さんや保護者が作ったお弁当の箱のふたを開ける。
数時間お弁当箱に閉じ込められていた、おかずとご飯が解放されたように我が物顔で、教室中に匂いを放つ。
少食の私は、その匂いだけで妊娠初期の妊婦のつわりのように「うっ」とくる。
独身で未婚なので、そんな経験はないが、とにかく、「うっ」なのだ。
お弁当だあ!とはしゃぐ友達達を、冷めた目で見つつ、可愛いキャラクターのバンドで留められたお弁当箱をにらみつける。
「何で、人類には食と言う文化があるのだろうか」
幼稚園児なので、そこまでの言語化は出来なかったが、毎日思っていた。
いただきますと言って、ガツガツお弁当を食べる友達の中で、ちびちび食べる私。
大奥などで、姫様が毒味をされた食事を一口ずつ食べるのを想像して頂きたい。そもそも、私は姫様ではなく、幼稚園児だが。
周りの友達が、食べ終わった頃、私のお弁当箱の中は、8割が残っている。
本気で、無理。
なぜか私だけ食べたお弁当箱を担任に見せに行くというノルマを課せられた。
友達達は、すでに外に出て遊んでいる。私も幼稚園児なのでノルマから解放されて遊びたい。
担任と私だけが残った教室は、残業の職場より静かだ。
おずおずとお弁当箱を担任に、奉納すると新米の担任の目が光る。
「これと、これと、これだけ食べようね♪」
ノルマが、増えた。
ここは、ブラック企業ならぬ、ブラック幼稚園か。
疲れきったサラリーマンのように、背中を丸め席につく。指定されたおかずを食べるも半分でギブアップ。
そこで、幼稚園児ながから考えた幼稚な策を練りだした。
お箸で、出きるだけおかずをお弁当箱のすみに寄せ、減ったように見せる。
大人になった今、このけなげな努力を認めて欲しいとろだが、マニュアル通りの担任は、マニュアル通りにしか悲しいかな、動けない。
ノルマを課せられては、担任の席と自分の席で往復するだけで、昼休みが終わってしまう。
あげく、戻ってきた友達達にマニュアル先生は、◯◯ちゃんを応援しよう!とまで煽るので、私より純粋な友達が、私を囲み励ます。
まさに「お弁当地獄」
いやいや、もう全力で頑張ってますけど?と半泣きでお弁当を食べた。
軍隊式の教育でお馴染みの父親からも、指定されたご飯を食べ終わらない限り、食事は終わらない業務を課せられた。
小学生に上がり、男性の担任教師が褒めて教育する方針で、とにかく私が少しでも給食を食べると、褒めてくれた。
そこは子供だったらしく、私は少し食べる喜びを知る。
マニュアル先生と軍隊式の父親から学んだ事は、マニュアルや根性で、人に厳しくすれば萎縮して持っている力すら発揮できなくなる。
褒めたら人は、長所も調子も伸びる。
だが、大人になった今日も私は順調に少食だ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる