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町に流れた噂
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新たな町へと辿り着いた。
町を歩いていると、前回の町では聞こえなかった民達の噂話が聞こえてきた・・・
「知ってるかい?・・・第1王子のオーウェン様が幽閉されたって話・・・」
「ああ。記者達の記事だろ?婚約者ほったらかしにして浮気ばっかりだっていう・・・」
「女狂いだって言ってたぞ!」
「それで俺達の税金にまで手出してたんだろ?・・・許せねぇよなッ!」
「真面目な王子だって聞いてたのによぉ・・・俺達の稼いだ金を何だと思ってるんだ!」
「幽閉なんか甘ぇっつーの!!!」
「そうだ!そうだ!!」
「このクソ王子がッ!!」
「死んで詫びろッ!」
最後の方の暴言は聞くに耐えなかったが・・・これが今、民達がオーウェンへの向ける評価なのだろう。
どういう事・・・何であの日の事が噂になってるの?・・・
誰かが意図的流したの?・・・陛下?いや、そんな筈はないよね・・・
だって、これじゃあ、オーウェンだけでなく王家への信頼も地に落ちるのに・・・
陛下は私の件を病死か何かで片付けると思ってた。だから、わざわざ醜聞を民に知らせるわけない・・・こんな王家にとってマイナスにしかならない手腕を父が取る訳がない。
誰かが王家の信頼を失墜させようとしてる?
それとも私の信頼を失墜させて、這い上がってこないように?
相手の意図が読みきれない・・・
それにしてもオーウェンってば、本当に嫌われちゃったな・・・
まあ、女狂いで民の税金に手を出す王子なんて嫌われて当然だけど・・・でもやっぱり、15年間真面目にやって来た身としては、ちょっと辛い物があるな・・・
どっちにしろ王子にはもう戻らないし、戻れないけど・・・
そして噂にあった記者の記事を見た。
笑えるくらいあの日の事が事細かに・・・そして第1王子オーウェンの事が悪く描かれていた
ここまで詳細だとあの場にいた者が情報を漏らしたのは確実だな・・・。
でも何で、元王子とはいえ王家を侮辱するような記事を出せたの?
可笑しくない?・・・だってこれ王家を敵にしたも同然だよ?
叔父上は今の段階で目立つ事はしないだろうし、私を蔑むネタは使わない筈・・・
叔父上が違うのなら残るは一人なんだけど・・
訳がわからない。何で?・・・地も涙もない程冷血で傲慢な人だけど、王族としての秩序だけは大切にしてると思ってたのに・・・
そこまで私を潰したいの?
暗殺者を放っても我慢出来ないほど?・・・
私が一体何をしたっていうの?そこまで何故私を嫌うの・・・父上・・・。
昔から当たりはキツいと思っていた。でもそれは男として育てる上で必要な教育なんだと思って耐えていた。
・・・でもあれも私の事が嫌いだったから?
私も父の事はどちらかといえば嫌いだったと思う。良い思い出なんて無いし、優しい言葉も一度もかけられた事ない。
幽閉された時や殺されそうだとわかった時は憎悪すらあったかもしれないのに・・・何故か、今の私の心は悲しみや虚しさが広がっていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ーカセレリア大公家ー
「一体何なんだこの記事はッ!!!」
王弟である大公がオーウェンの記事を見て憤慨し机へと投げ捨てた。
「うむ。これは・・・」
「兄上は何故こんな事をしたんだ。・・・あの子への情はないのか?・・・」
「陛下の行動は常軌を逸している・・・あの頃、セドリック様を排除しようと画策していた時よりも酷い事態じゃな。
あの時でさえ、民を巻き込むやり方はされなかった。それがオーウェンに対しては王族を辱しめても尚陥れようとしている。」
「訳があったとしてもこれはやりすぎだ。
あの子が一体何をしたというんだ!」
「陛下とあの方の間には昔から何故だか親子とは思えぬ雰囲気が流れていらっしゃった。
それも陛下が執拗にあの方を認めぬ発言が多かった気がします・・・」
「私も陛下を何度か諌めたのだが、態度が変わる事はなかったのですぞ。」
室内には大公とザイロ(師匠)と数名の男性達が話し込んでいた。
その中で一番若そうな男性がおずおずと声をあげた。
「あの・・・私もこの間知った噂話なんですが・・・王城で働く下の者達の間ではオーウェン様が虐げられるのは実の子供ではないからではないか。という噂がありまして・・・」
「は・・・何だ。その根も葉もない噂は・・」
「そんな事を噂してるのか・・・」
「暇な連中が好き勝手言いおって・・・」
突拍子もない話に呆れる大公達・・・だが男の話はまだ終わりではなかった・・・
「私もそう思ったのですが、噂には続きがありまして・・・それが・・・『オーウェン王子は王弟の息子なのではないか?』『王弟の息子だから陛下は執拗に嫌うのでは?』とカセレリア大公とオーウェン王子の関係を疑う噂が流れているそうです。」
言いずらそうにしながら男は「この噂かなり前からあったみたいで、もしかしたら陛下の耳にも入っていたのでは・・・」と言った。
「ま、まさかこんなでたらめな噂を信じているのか?兄上は・・・」
「・・・なんという事だ。」
「セドリック様と王妃様が2人でいられる機会などあるわけないだろう・・・。
何故そんな噂が・・・」
「まあ、事実であろうが只の噂だろうが陛下には関係無いじゃろうな・・・。
周囲からそういう目で見られているという事が陛下にとっては問題なのだろう。」
「だがそれではオーウェン様が哀れすぎる・・あの方は全て巻き込まれただけではないか。」
「ああ・・・」
皆表情は悲しそうで苦しそうだった。そして部屋の雰囲気は重苦しい物に包まれていた・・・
「兄上にとっては、俺がオーウェンに優しくしている事すら許せない事だったんだな・・・」
「オーウェン様はセドリック様を叔父上として慕っていらっしゃって仲が良かったですからね・・・」
「いや・・・それだけではないと思うぞ・・・オーウェンがお腹にいるとわかった時期はセドリック様の御子息を養子に取るかどうかの話し合いの真っ只中じゃった。そして陛下が養子を嫌がっている最中に出来たのがオーウェンじゃ。だから怪しまれても無理はないのかもしれぬな・・・噂まで出てきたのも疑念が確信に変わってしまったのかもな」
ザイロ(師匠)は王妃の妊娠がわかった頃の事を思い出していた。だが少し同情的だったザイロの表情が厳しい表情へと変わった・・・
「だが、厳しい事を言うと陛下は自業自得じゃよ。子が出来なくて周囲から責められていた王妃様を助けもしないで、解決策になる養子をとるという策すら認めなかったのだから。
あそこで養子を取っておけば、オーウェンが王子として生きなくても良かったし、こんな拗れた夫婦関係や親子関係にはならなかったと思うぞ?」
「そうだな・・・真実は知ろうとすればわかった筈だし、それに俺への敵対心を捨てさえすればこんな問題起きなかっただろう・・・」
「「「・・・・・・・・・。」」」
大公のもっともな言葉に言葉を返す事の出来ない他の者達・・・
そして彼等の中で出た結論は・・・
『陛下はオーウェン王子を王弟の子供だと思っている(かもしれない。)そして嫌いな弟の娘を潰す為に権力を使い、国に混乱をもたらしているのではないか。』だった。
町を歩いていると、前回の町では聞こえなかった民達の噂話が聞こえてきた・・・
「知ってるかい?・・・第1王子のオーウェン様が幽閉されたって話・・・」
「ああ。記者達の記事だろ?婚約者ほったらかしにして浮気ばっかりだっていう・・・」
「女狂いだって言ってたぞ!」
「それで俺達の税金にまで手出してたんだろ?・・・許せねぇよなッ!」
「真面目な王子だって聞いてたのによぉ・・・俺達の稼いだ金を何だと思ってるんだ!」
「幽閉なんか甘ぇっつーの!!!」
「そうだ!そうだ!!」
「このクソ王子がッ!!」
「死んで詫びろッ!」
最後の方の暴言は聞くに耐えなかったが・・・これが今、民達がオーウェンへの向ける評価なのだろう。
どういう事・・・何であの日の事が噂になってるの?・・・
誰かが意図的流したの?・・・陛下?いや、そんな筈はないよね・・・
だって、これじゃあ、オーウェンだけでなく王家への信頼も地に落ちるのに・・・
陛下は私の件を病死か何かで片付けると思ってた。だから、わざわざ醜聞を民に知らせるわけない・・・こんな王家にとってマイナスにしかならない手腕を父が取る訳がない。
誰かが王家の信頼を失墜させようとしてる?
それとも私の信頼を失墜させて、這い上がってこないように?
相手の意図が読みきれない・・・
それにしてもオーウェンってば、本当に嫌われちゃったな・・・
まあ、女狂いで民の税金に手を出す王子なんて嫌われて当然だけど・・・でもやっぱり、15年間真面目にやって来た身としては、ちょっと辛い物があるな・・・
どっちにしろ王子にはもう戻らないし、戻れないけど・・・
そして噂にあった記者の記事を見た。
笑えるくらいあの日の事が事細かに・・・そして第1王子オーウェンの事が悪く描かれていた
ここまで詳細だとあの場にいた者が情報を漏らしたのは確実だな・・・。
でも何で、元王子とはいえ王家を侮辱するような記事を出せたの?
可笑しくない?・・・だってこれ王家を敵にしたも同然だよ?
叔父上は今の段階で目立つ事はしないだろうし、私を蔑むネタは使わない筈・・・
叔父上が違うのなら残るは一人なんだけど・・
訳がわからない。何で?・・・地も涙もない程冷血で傲慢な人だけど、王族としての秩序だけは大切にしてると思ってたのに・・・
そこまで私を潰したいの?
暗殺者を放っても我慢出来ないほど?・・・
私が一体何をしたっていうの?そこまで何故私を嫌うの・・・父上・・・。
昔から当たりはキツいと思っていた。でもそれは男として育てる上で必要な教育なんだと思って耐えていた。
・・・でもあれも私の事が嫌いだったから?
私も父の事はどちらかといえば嫌いだったと思う。良い思い出なんて無いし、優しい言葉も一度もかけられた事ない。
幽閉された時や殺されそうだとわかった時は憎悪すらあったかもしれないのに・・・何故か、今の私の心は悲しみや虚しさが広がっていた。
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ーカセレリア大公家ー
「一体何なんだこの記事はッ!!!」
王弟である大公がオーウェンの記事を見て憤慨し机へと投げ捨てた。
「うむ。これは・・・」
「兄上は何故こんな事をしたんだ。・・・あの子への情はないのか?・・・」
「陛下の行動は常軌を逸している・・・あの頃、セドリック様を排除しようと画策していた時よりも酷い事態じゃな。
あの時でさえ、民を巻き込むやり方はされなかった。それがオーウェンに対しては王族を辱しめても尚陥れようとしている。」
「訳があったとしてもこれはやりすぎだ。
あの子が一体何をしたというんだ!」
「陛下とあの方の間には昔から何故だか親子とは思えぬ雰囲気が流れていらっしゃった。
それも陛下が執拗にあの方を認めぬ発言が多かった気がします・・・」
「私も陛下を何度か諌めたのだが、態度が変わる事はなかったのですぞ。」
室内には大公とザイロ(師匠)と数名の男性達が話し込んでいた。
その中で一番若そうな男性がおずおずと声をあげた。
「あの・・・私もこの間知った噂話なんですが・・・王城で働く下の者達の間ではオーウェン様が虐げられるのは実の子供ではないからではないか。という噂がありまして・・・」
「は・・・何だ。その根も葉もない噂は・・」
「そんな事を噂してるのか・・・」
「暇な連中が好き勝手言いおって・・・」
突拍子もない話に呆れる大公達・・・だが男の話はまだ終わりではなかった・・・
「私もそう思ったのですが、噂には続きがありまして・・・それが・・・『オーウェン王子は王弟の息子なのではないか?』『王弟の息子だから陛下は執拗に嫌うのでは?』とカセレリア大公とオーウェン王子の関係を疑う噂が流れているそうです。」
言いずらそうにしながら男は「この噂かなり前からあったみたいで、もしかしたら陛下の耳にも入っていたのでは・・・」と言った。
「ま、まさかこんなでたらめな噂を信じているのか?兄上は・・・」
「・・・なんという事だ。」
「セドリック様と王妃様が2人でいられる機会などあるわけないだろう・・・。
何故そんな噂が・・・」
「まあ、事実であろうが只の噂だろうが陛下には関係無いじゃろうな・・・。
周囲からそういう目で見られているという事が陛下にとっては問題なのだろう。」
「だがそれではオーウェン様が哀れすぎる・・あの方は全て巻き込まれただけではないか。」
「ああ・・・」
皆表情は悲しそうで苦しそうだった。そして部屋の雰囲気は重苦しい物に包まれていた・・・
「兄上にとっては、俺がオーウェンに優しくしている事すら許せない事だったんだな・・・」
「オーウェン様はセドリック様を叔父上として慕っていらっしゃって仲が良かったですからね・・・」
「いや・・・それだけではないと思うぞ・・・オーウェンがお腹にいるとわかった時期はセドリック様の御子息を養子に取るかどうかの話し合いの真っ只中じゃった。そして陛下が養子を嫌がっている最中に出来たのがオーウェンじゃ。だから怪しまれても無理はないのかもしれぬな・・・噂まで出てきたのも疑念が確信に変わってしまったのかもな」
ザイロ(師匠)は王妃の妊娠がわかった頃の事を思い出していた。だが少し同情的だったザイロの表情が厳しい表情へと変わった・・・
「だが、厳しい事を言うと陛下は自業自得じゃよ。子が出来なくて周囲から責められていた王妃様を助けもしないで、解決策になる養子をとるという策すら認めなかったのだから。
あそこで養子を取っておけば、オーウェンが王子として生きなくても良かったし、こんな拗れた夫婦関係や親子関係にはならなかったと思うぞ?」
「そうだな・・・真実は知ろうとすればわかった筈だし、それに俺への敵対心を捨てさえすればこんな問題起きなかっただろう・・・」
「「「・・・・・・・・・。」」」
大公のもっともな言葉に言葉を返す事の出来ない他の者達・・・
そして彼等の中で出た結論は・・・
『陛下はオーウェン王子を王弟の子供だと思っている(かもしれない。)そして嫌いな弟の娘を潰す為に権力を使い、国に混乱をもたらしているのではないか。』だった。
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