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ー番外編ーヴィオレット*隣国編*

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私達はあれから白髪のお爺さんに孤児院の室内へと案内された。

机を挟んで向かい合うソファーに私とお爺さんが座り、私の背後にサンとレイが立っていた。

さっきの私の言葉が気になるのか。マルロや子供達が窓から覗きこんだり、扉の外で耳をすませたりしていた。

そして部屋の隅には先程の男性が睨みを効かせて私達を見ていた・・・

「貴方達ッッッ!!何してるの!
・・・部屋に戻りなさいッッッ!!」

「うおッ!エミリが来たぞ!逃げろー!!」
「うわぁぁぁぁ!!!」
「きゃあああああ!!」

扉の外から突然、女性の声と子供達の逃げる声が聞こえた。(窓の外も同様に追い払われていた。)

「騒がしくて申し訳ありません。」

「いえ私達こそ、突然来て騒ぎを起こしてしまいました。申し訳ありません。」

予定とは違い、子供達を巻き込んで話を進めてしまった事を私は後悔してた・・・

(狡いよね・・・あんなやり方・・・)

そんな私の謝罪を見てお爺さんは目を見開いて「・・クスクスクス・・・」と笑った

「・・・すいません。貴女のような綺麗で私達とは違う世界で生きているような方が謝るだなんて思わなかったもので・・・」

お爺さんは暖かな瞳をしながら私に微笑んだ。

「私はこの孤児院で院長をしています。
ヨンダルと申します。貴女はヴィオラ様でしょうか?ウィルトリア公爵家から手紙は頂いております。」

「はい。私はヴィオラと申します。
様はつけなくて大丈夫です、ヴィオラとお呼び下さい。
本日は孤児院に新しい提案をさせて頂きたいと思い来ました。」

「先程貴女はあの子達が幸せになれるように提案しにやって来たと言いました。
勉強をしてお金を稼ぐと・・・。それは一体どういう事でしょうか?
公爵家の方々からは私が受け入れられなければ貴女に従う必要はない。と言われておりますが・・・」

「わかっております。・・・私は提案にやって来ただけです。それを受け入れるのかは院長様が決めて頂きます。そして子供達にも自分で選んでもらうつもりです。」

「わかりました・・・では話を聞かせてください。」

「ありがとうございます。
まずこの度私が提案したいのは2つあります。まずは孤児達の学力向上です。町の方々と同程度の読み書き、算出を学んで頂きます。そうすればまずは一つ学がないという点を解決できます。教えるのは私です。・・・状況に応じて教師は増やしていきます。」

「次の提案は子供達による商売です。
彼等は15歳で孤児院を出ていきます。そしてその後の為に10歳から稼ぐと聞きました。ですが本来10歳の子供が働くには家の商売を手伝うか、親のツテで働くかのどちらかです。」

「町の人達だって生活があります。同情は出来ても紹介もない素性の知れない子供、しかも最低限の読み書きも算術も出来ない子供を雇う事はできません。・・・それはきっと仕方のない事です。」

「・・・その通りです。」

孤児達の厳しい現実に院長様は悲しそうに目を伏せる・・・

「町で仕事はもらえない・・・でも15歳になったら孤児院は出ていかなくてはならない・・そしてお金が無い・・・。
厳しいようですが、これでは孤児達は幸せにはなれません。
だから私は町で仕事をもらえないのなら自分で働く方法を見つけてお金を稼げばいいのではと考えました。」

「その為の初期投資をわたしが行います・・」

「え?・・・一体どういう・・・」

困惑気味の院長様に私が考え出した働く方法を提案した。

まず対象者は10歳以上の子供達。
最初に初期投資として必要なお金は私が出す。
そして子供達には自分達で稼ぐ方法を考えてもらう。
例えば、お菓子を売るでもいいし、物を作るでもいい、やりたい事を話してもらえたらアドバイスをします。
そして町で露店として売りに出します。勿論売上は子供達のもの。場所は安全の為に私が用意する場でのみ販売します。

ですが、今回のは支援ではなく投資なので、子供達に投資をした以上は私にもお金は頂きます。支払い方法は2種類、ここで子供達には選んで頂きます。

・自分の売上の1割をこの先ずっと渡し続ける
メリット:損害が出たり、もしも問題が起きた際は出来る限りの手助け致します。
デメリット:私の承諾なく商売は辞められません
ただし、理由があり、違約金の支払った場合は辞める事も可能です。

・最初にした初期投資を後ですべて返金方法
メリット:辞めたい時に仕事を辞められて新しい事が出来る
デメリット:もしもの時の手助けはない。

考え方としては一割のお金で私の庇護下に入るか、お金を全て返して自分で人生の責任を負うかです。

因みに望むのであれば、剣の特訓や裁縫の特訓、そして料理等は教える事は可能・・・

あとこれはあくまで提案であり子供達が望まなければ、やりたい子だけに投資をします。

「必要なのは子供達に考えさせ自分でお金を稼がせる事です。私は慈善事業ではなく、彼等に未来を見据えた投資を行いに来ました。
如何でしょうか・・・」

私は内心かなりバクバクになりながらそれを隠して微笑んだ。

「・・・・・・私は初め、世間知らずのお嬢様が気まぐれに何かくだらない事を提案しにやって来るんだと思って内心馬鹿にしていました。
ですが、貴女は子供達に、いたずらに仕事を紹介する訳でも、ただお金を寄付する訳でもなく、子供達自身に勉強させて、自分の力でお金を稼げと言いました。そして子供達の未来にお金を投資してくださると・・・・・・そんな方は初めてでした。」

院長様は目を潤ませながら、感謝致します。と震える声で言い頭を下げた。

「ですが、子供達の意見を聞かない事には・・・」

「やりたいッッッ!!!」

いきなり窓が開きマルロが顔を出して叫んだ

「俺、やってみたい!
お嬢様ッッッ!俺は、あと5年で死ぬかもしれない人生なんて嫌だ!変わりたい!!
だから俺の未来に投資してくれッッッ!」

「・・・マルロ・・・」

マルロはやっぱり諦めるのは嫌だ!これがさっき言っていたチャンスなんだろ?だったら俺はそれを掴み取りたい!と言った・・・その瞳には絶望はなく、未来への希望でキラキラと輝いていた・・・




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