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~第一章~
サマンサの屈辱
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許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない……
ガタンゴトンーーと馬車に揺られながら隣国へ向かっていたサマンサとクリスディーク。
どいつもこいつも……アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様ってうるさいのよっ!
サマンサは想像もしていなかった屈辱に腸が煮えくり返る思いだった。
華々しく第二王女としてお披露目して、平民や貴族から羨望の眼差しを受ける予定だったのにーー。
皆に惜しまれながら私を溺愛してくれる婚約者と共に旅立つ予定だったのにーー。
何なのよ! これは一体どういう事なの?
何で、あんな風に蔑ろにされなきゃいけないのよ!
私は本物の第二王女なのよ! あの人達の実の娘なのよ!
そりゃ色々省いて嘘ついて騙しはしたけどーー。
あんな仕打ちを受ける謂れはないわよ!
サマンサはあのおざなりなお披露目や、周囲から憐れまれたこと。そして何より民に何の興味も持たれなかったことが許せなかった。
デブでブスで化け物みたいでとんでもない姿。
これ以上ないインパクトのある第二王女だった。
それなのに何の興味も抱かれず、視線を向けても貰えなかった。
あんな下民共に無視されるなんて……これ以上の屈辱ってある? ありえない。本当にーー。
しかもその場に居もしない悪役令嬢に私の栄光の瞬間を奪われるなんて、これじゃ私がざまぁされてるみたいじゃない!
ありえない! 絶対にありえない!
ヒロインである私がこんな仕打ちを受けるなんて!
あの悪役令嬢に怪しいわ。
何で嫌われ者だった悪役令嬢が皆に慕われて好かれてるのよ! おかしいじゃない!
きっとあの女も私と同じように前世の記憶があるのよ! きっと! だから先回りされてこんな事になってるのよ! 許せない……あの女、絶対に許せない。
サマンサの憎悪の矛先は何もしていないアクアへと向かっていった。
歯を食いしばりながら怒りを押さえた。
そしてどうやって復讐してやるか考えた。
自分の前にドカっと座って苛ついている馬鹿な婚約者を上手く利用してやる。そんな事を考えていた。
だがサマンサは知らなかった。
アクリアーナは転生者ではあるが、この世界の事は何も知らなく普通に生きてきただけだという事に。
そしてサマンサは肝心な事を忘れていた。
この物語が始まる最初のストーリーである妖精との対峙を未だに果たしていないという事に。
本来、妖精と会えるのは妖精に好まれていた王家の血筋を引く人間だけ。だから物語でヒロインは夢の中で妖精と出会えたし、王家の人間も同じように妖精から説明を受けていたのだ。
『生まれてくる前に君らの子供を取り替えちゃった~。君達の本当の娘はね~金髪青目の女の子で顔もそっくりなんだよ!……あとちょっとしたら会えると思うから楽しみにしててね~。』
本来の物語では王家の人間も妖精からの言葉を受けていたからサマンサは実の娘だと認識され、王族としても受け入れられた。
だが実際、サマンサは妖精と会った事はない。
夜会でのサマンサの言葉は前世の知識を使った捏造だ。
王家の人間も誰一人として妖精からの言葉を聞いていないし、妖精の存在を誰も認識などしていないのだ。
今の状況は街での生活に我慢ならなくなったサマンサが御忍びでぶらついていたクリスディークを見つけたことで始まった偽りの物語なのだ。
それなのにどうしてサマンサは第二王女になれた?
議会でサマンサはあっという間に第二王女だと認定された。
あたかも口裏を合わせたような貴族達の言葉の裏には貴族達を操っていた男がいた。
常に王家が警戒していた男。
陛下や王妃様はその男をこれ以上刺激しないように、アクリアーナの身を守る為に平民にしたのだ。
サマンサが第二王女になったのはそのついでみたいなものだ。
金髪青目。それは王家の血筋しか持てない色。
サマンサはそれを持っていた。
その事実は多くの者にとって都合の良い事実であった。
サマンサはもう逃げられない陰謀の渦に巻き込まれていた。それもいつ捨てられてもおかしくない捨て駒として……。
中心にいるのはアクリアーナだ。
その事実にサマンサは気づいていない。
恐らくこの先も気づくことはないだろう。
この世界が自分の世界で、ヒロインだと思っている限りサマンサは自分がただの端役で捨て駒だとは自覚しないだろう。
それにサマンサとクリスディークへのざまぁは始まったばかり……隣国へ着けば待ち受けるのは人の悪意だけだ。
そんな事とは露知らず、サマンサは自分を馬鹿にして蔑ろにした人間達への復讐を考えていた。
「こんな所で終わってやるもんか! 見てなさいよ! 悪役令嬢め! 最後に笑うのはヒロインである私なんだから! あーはははははッ!」
「うるさいぞ! 少しは黙っていられないのか! この化け物女が! 」
「はぁ!? あんただって充分うるさいわよ! この顔だけ男が!」
「な、貴様っ! 本当に無礼な女め!」
「はッ! 図星つかれてキレるなんて小さな男! あ、あっちも小さかったもんね。仕方ないか。」
「……ッッ! ……こ、この……貴様……」
口喧嘩などしたことのないクリスディークは始終サマンサに押されぎみになりながら道中騒ぎ続けていた。
ガタンゴトンーーと馬車に揺られながら隣国へ向かっていたサマンサとクリスディーク。
どいつもこいつも……アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様ってうるさいのよっ!
サマンサは想像もしていなかった屈辱に腸が煮えくり返る思いだった。
華々しく第二王女としてお披露目して、平民や貴族から羨望の眼差しを受ける予定だったのにーー。
皆に惜しまれながら私を溺愛してくれる婚約者と共に旅立つ予定だったのにーー。
何なのよ! これは一体どういう事なの?
何で、あんな風に蔑ろにされなきゃいけないのよ!
私は本物の第二王女なのよ! あの人達の実の娘なのよ!
そりゃ色々省いて嘘ついて騙しはしたけどーー。
あんな仕打ちを受ける謂れはないわよ!
サマンサはあのおざなりなお披露目や、周囲から憐れまれたこと。そして何より民に何の興味も持たれなかったことが許せなかった。
デブでブスで化け物みたいでとんでもない姿。
これ以上ないインパクトのある第二王女だった。
それなのに何の興味も抱かれず、視線を向けても貰えなかった。
あんな下民共に無視されるなんて……これ以上の屈辱ってある? ありえない。本当にーー。
しかもその場に居もしない悪役令嬢に私の栄光の瞬間を奪われるなんて、これじゃ私がざまぁされてるみたいじゃない!
ありえない! 絶対にありえない!
ヒロインである私がこんな仕打ちを受けるなんて!
あの悪役令嬢に怪しいわ。
何で嫌われ者だった悪役令嬢が皆に慕われて好かれてるのよ! おかしいじゃない!
きっとあの女も私と同じように前世の記憶があるのよ! きっと! だから先回りされてこんな事になってるのよ! 許せない……あの女、絶対に許せない。
サマンサの憎悪の矛先は何もしていないアクアへと向かっていった。
歯を食いしばりながら怒りを押さえた。
そしてどうやって復讐してやるか考えた。
自分の前にドカっと座って苛ついている馬鹿な婚約者を上手く利用してやる。そんな事を考えていた。
だがサマンサは知らなかった。
アクリアーナは転生者ではあるが、この世界の事は何も知らなく普通に生きてきただけだという事に。
そしてサマンサは肝心な事を忘れていた。
この物語が始まる最初のストーリーである妖精との対峙を未だに果たしていないという事に。
本来、妖精と会えるのは妖精に好まれていた王家の血筋を引く人間だけ。だから物語でヒロインは夢の中で妖精と出会えたし、王家の人間も同じように妖精から説明を受けていたのだ。
『生まれてくる前に君らの子供を取り替えちゃった~。君達の本当の娘はね~金髪青目の女の子で顔もそっくりなんだよ!……あとちょっとしたら会えると思うから楽しみにしててね~。』
本来の物語では王家の人間も妖精からの言葉を受けていたからサマンサは実の娘だと認識され、王族としても受け入れられた。
だが実際、サマンサは妖精と会った事はない。
夜会でのサマンサの言葉は前世の知識を使った捏造だ。
王家の人間も誰一人として妖精からの言葉を聞いていないし、妖精の存在を誰も認識などしていないのだ。
今の状況は街での生活に我慢ならなくなったサマンサが御忍びでぶらついていたクリスディークを見つけたことで始まった偽りの物語なのだ。
それなのにどうしてサマンサは第二王女になれた?
議会でサマンサはあっという間に第二王女だと認定された。
あたかも口裏を合わせたような貴族達の言葉の裏には貴族達を操っていた男がいた。
常に王家が警戒していた男。
陛下や王妃様はその男をこれ以上刺激しないように、アクリアーナの身を守る為に平民にしたのだ。
サマンサが第二王女になったのはそのついでみたいなものだ。
金髪青目。それは王家の血筋しか持てない色。
サマンサはそれを持っていた。
その事実は多くの者にとって都合の良い事実であった。
サマンサはもう逃げられない陰謀の渦に巻き込まれていた。それもいつ捨てられてもおかしくない捨て駒として……。
中心にいるのはアクリアーナだ。
その事実にサマンサは気づいていない。
恐らくこの先も気づくことはないだろう。
この世界が自分の世界で、ヒロインだと思っている限りサマンサは自分がただの端役で捨て駒だとは自覚しないだろう。
それにサマンサとクリスディークへのざまぁは始まったばかり……隣国へ着けば待ち受けるのは人の悪意だけだ。
そんな事とは露知らず、サマンサは自分を馬鹿にして蔑ろにした人間達への復讐を考えていた。
「こんな所で終わってやるもんか! 見てなさいよ! 悪役令嬢め! 最後に笑うのはヒロインである私なんだから! あーはははははッ!」
「うるさいぞ! 少しは黙っていられないのか! この化け物女が! 」
「はぁ!? あんただって充分うるさいわよ! この顔だけ男が!」
「な、貴様っ! 本当に無礼な女め!」
「はッ! 図星つかれてキレるなんて小さな男! あ、あっちも小さかったもんね。仕方ないか。」
「……ッッ! ……こ、この……貴様……」
口喧嘩などしたことのないクリスディークは始終サマンサに押されぎみになりながら道中騒ぎ続けていた。
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