33 / 34
~第一章~
サマンサの屈辱
しおりを挟む
許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない……
ガタンゴトンーーと馬車に揺られながら隣国へ向かっていたサマンサとクリスディーク。
どいつもこいつも……アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様ってうるさいのよっ!
サマンサは想像もしていなかった屈辱に腸が煮えくり返る思いだった。
華々しく第二王女としてお披露目して、平民や貴族から羨望の眼差しを受ける予定だったのにーー。
皆に惜しまれながら私を溺愛してくれる婚約者と共に旅立つ予定だったのにーー。
何なのよ! これは一体どういう事なの?
何で、あんな風に蔑ろにされなきゃいけないのよ!
私は本物の第二王女なのよ! あの人達の実の娘なのよ!
そりゃ色々省いて嘘ついて騙しはしたけどーー。
あんな仕打ちを受ける謂れはないわよ!
サマンサはあのおざなりなお披露目や、周囲から憐れまれたこと。そして何より民に何の興味も持たれなかったことが許せなかった。
デブでブスで化け物みたいでとんでもない姿。
これ以上ないインパクトのある第二王女だった。
それなのに何の興味も抱かれず、視線を向けても貰えなかった。
あんな下民共に無視されるなんて……これ以上の屈辱ってある? ありえない。本当にーー。
しかもその場に居もしない悪役令嬢に私の栄光の瞬間を奪われるなんて、これじゃ私がざまぁされてるみたいじゃない!
ありえない! 絶対にありえない!
ヒロインである私がこんな仕打ちを受けるなんて!
あの悪役令嬢に怪しいわ。
何で嫌われ者だった悪役令嬢が皆に慕われて好かれてるのよ! おかしいじゃない!
きっとあの女も私と同じように前世の記憶があるのよ! きっと! だから先回りされてこんな事になってるのよ! 許せない……あの女、絶対に許せない。
サマンサの憎悪の矛先は何もしていないアクアへと向かっていった。
歯を食いしばりながら怒りを押さえた。
そしてどうやって復讐してやるか考えた。
自分の前にドカっと座って苛ついている馬鹿な婚約者を上手く利用してやる。そんな事を考えていた。
だがサマンサは知らなかった。
アクリアーナは転生者ではあるが、この世界の事は何も知らなく普通に生きてきただけだという事に。
そしてサマンサは肝心な事を忘れていた。
この物語が始まる最初のストーリーである妖精との対峙を未だに果たしていないという事に。
本来、妖精と会えるのは妖精に好まれていた王家の血筋を引く人間だけ。だから物語でヒロインは夢の中で妖精と出会えたし、王家の人間も同じように妖精から説明を受けていたのだ。
『生まれてくる前に君らの子供を取り替えちゃった~。君達の本当の娘はね~金髪青目の女の子で顔もそっくりなんだよ!……あとちょっとしたら会えると思うから楽しみにしててね~。』
本来の物語では王家の人間も妖精からの言葉を受けていたからサマンサは実の娘だと認識され、王族としても受け入れられた。
だが実際、サマンサは妖精と会った事はない。
夜会でのサマンサの言葉は前世の知識を使った捏造だ。
王家の人間も誰一人として妖精からの言葉を聞いていないし、妖精の存在を誰も認識などしていないのだ。
今の状況は街での生活に我慢ならなくなったサマンサが御忍びでぶらついていたクリスディークを見つけたことで始まった偽りの物語なのだ。
それなのにどうしてサマンサは第二王女になれた?
議会でサマンサはあっという間に第二王女だと認定された。
あたかも口裏を合わせたような貴族達の言葉の裏には貴族達を操っていた男がいた。
常に王家が警戒していた男。
陛下や王妃様はその男をこれ以上刺激しないように、アクリアーナの身を守る為に平民にしたのだ。
サマンサが第二王女になったのはそのついでみたいなものだ。
金髪青目。それは王家の血筋しか持てない色。
サマンサはそれを持っていた。
その事実は多くの者にとって都合の良い事実であった。
サマンサはもう逃げられない陰謀の渦に巻き込まれていた。それもいつ捨てられてもおかしくない捨て駒として……。
中心にいるのはアクリアーナだ。
その事実にサマンサは気づいていない。
恐らくこの先も気づくことはないだろう。
この世界が自分の世界で、ヒロインだと思っている限りサマンサは自分がただの端役で捨て駒だとは自覚しないだろう。
それにサマンサとクリスディークへのざまぁは始まったばかり……隣国へ着けば待ち受けるのは人の悪意だけだ。
そんな事とは露知らず、サマンサは自分を馬鹿にして蔑ろにした人間達への復讐を考えていた。
「こんな所で終わってやるもんか! 見てなさいよ! 悪役令嬢め! 最後に笑うのはヒロインである私なんだから! あーはははははッ!」
「うるさいぞ! 少しは黙っていられないのか! この化け物女が! 」
「はぁ!? あんただって充分うるさいわよ! この顔だけ男が!」
「な、貴様っ! 本当に無礼な女め!」
「はッ! 図星つかれてキレるなんて小さな男! あ、あっちも小さかったもんね。仕方ないか。」
「……ッッ! ……こ、この……貴様……」
口喧嘩などしたことのないクリスディークは始終サマンサに押されぎみになりながら道中騒ぎ続けていた。
ガタンゴトンーーと馬車に揺られながら隣国へ向かっていたサマンサとクリスディーク。
どいつもこいつも……アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様、アクア様ってうるさいのよっ!
サマンサは想像もしていなかった屈辱に腸が煮えくり返る思いだった。
華々しく第二王女としてお披露目して、平民や貴族から羨望の眼差しを受ける予定だったのにーー。
皆に惜しまれながら私を溺愛してくれる婚約者と共に旅立つ予定だったのにーー。
何なのよ! これは一体どういう事なの?
何で、あんな風に蔑ろにされなきゃいけないのよ!
私は本物の第二王女なのよ! あの人達の実の娘なのよ!
そりゃ色々省いて嘘ついて騙しはしたけどーー。
あんな仕打ちを受ける謂れはないわよ!
サマンサはあのおざなりなお披露目や、周囲から憐れまれたこと。そして何より民に何の興味も持たれなかったことが許せなかった。
デブでブスで化け物みたいでとんでもない姿。
これ以上ないインパクトのある第二王女だった。
それなのに何の興味も抱かれず、視線を向けても貰えなかった。
あんな下民共に無視されるなんて……これ以上の屈辱ってある? ありえない。本当にーー。
しかもその場に居もしない悪役令嬢に私の栄光の瞬間を奪われるなんて、これじゃ私がざまぁされてるみたいじゃない!
ありえない! 絶対にありえない!
ヒロインである私がこんな仕打ちを受けるなんて!
あの悪役令嬢に怪しいわ。
何で嫌われ者だった悪役令嬢が皆に慕われて好かれてるのよ! おかしいじゃない!
きっとあの女も私と同じように前世の記憶があるのよ! きっと! だから先回りされてこんな事になってるのよ! 許せない……あの女、絶対に許せない。
サマンサの憎悪の矛先は何もしていないアクアへと向かっていった。
歯を食いしばりながら怒りを押さえた。
そしてどうやって復讐してやるか考えた。
自分の前にドカっと座って苛ついている馬鹿な婚約者を上手く利用してやる。そんな事を考えていた。
だがサマンサは知らなかった。
アクリアーナは転生者ではあるが、この世界の事は何も知らなく普通に生きてきただけだという事に。
そしてサマンサは肝心な事を忘れていた。
この物語が始まる最初のストーリーである妖精との対峙を未だに果たしていないという事に。
本来、妖精と会えるのは妖精に好まれていた王家の血筋を引く人間だけ。だから物語でヒロインは夢の中で妖精と出会えたし、王家の人間も同じように妖精から説明を受けていたのだ。
『生まれてくる前に君らの子供を取り替えちゃった~。君達の本当の娘はね~金髪青目の女の子で顔もそっくりなんだよ!……あとちょっとしたら会えると思うから楽しみにしててね~。』
本来の物語では王家の人間も妖精からの言葉を受けていたからサマンサは実の娘だと認識され、王族としても受け入れられた。
だが実際、サマンサは妖精と会った事はない。
夜会でのサマンサの言葉は前世の知識を使った捏造だ。
王家の人間も誰一人として妖精からの言葉を聞いていないし、妖精の存在を誰も認識などしていないのだ。
今の状況は街での生活に我慢ならなくなったサマンサが御忍びでぶらついていたクリスディークを見つけたことで始まった偽りの物語なのだ。
それなのにどうしてサマンサは第二王女になれた?
議会でサマンサはあっという間に第二王女だと認定された。
あたかも口裏を合わせたような貴族達の言葉の裏には貴族達を操っていた男がいた。
常に王家が警戒していた男。
陛下や王妃様はその男をこれ以上刺激しないように、アクリアーナの身を守る為に平民にしたのだ。
サマンサが第二王女になったのはそのついでみたいなものだ。
金髪青目。それは王家の血筋しか持てない色。
サマンサはそれを持っていた。
その事実は多くの者にとって都合の良い事実であった。
サマンサはもう逃げられない陰謀の渦に巻き込まれていた。それもいつ捨てられてもおかしくない捨て駒として……。
中心にいるのはアクリアーナだ。
その事実にサマンサは気づいていない。
恐らくこの先も気づくことはないだろう。
この世界が自分の世界で、ヒロインだと思っている限りサマンサは自分がただの端役で捨て駒だとは自覚しないだろう。
それにサマンサとクリスディークへのざまぁは始まったばかり……隣国へ着けば待ち受けるのは人の悪意だけだ。
そんな事とは露知らず、サマンサは自分を馬鹿にして蔑ろにした人間達への復讐を考えていた。
「こんな所で終わってやるもんか! 見てなさいよ! 悪役令嬢め! 最後に笑うのはヒロインである私なんだから! あーはははははッ!」
「うるさいぞ! 少しは黙っていられないのか! この化け物女が! 」
「はぁ!? あんただって充分うるさいわよ! この顔だけ男が!」
「な、貴様っ! 本当に無礼な女め!」
「はッ! 図星つかれてキレるなんて小さな男! あ、あっちも小さかったもんね。仕方ないか。」
「……ッッ! ……こ、この……貴様……」
口喧嘩などしたことのないクリスディークは始終サマンサに押されぎみになりながら道中騒ぎ続けていた。
20
お気に入りに追加
8,599
あなたにおすすめの小説
男爵令嬢が『無能』だなんて一体誰か言ったのか。 〜誰も無視できない小国を作りましょう。〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「たかが一男爵家の分際で、一々口を挟むなよ?」
そんな言葉を皮切りに、王太子殿下から色々と言われました。
曰く、「我が家は王族の温情で、辛うじて貴族をやれている」のだとか。
当然の事を言っただけだと思いますが、どうやら『でしゃばるな』という事らしいです。
そうですか。
ならばそのような温情、賜らなくとも結構ですよ?
私達、『領』から『国』になりますね?
これは、そんな感じで始まった異世界領地改革……ならぬ、建国&急成長物語。
※現在、3日に一回更新です。
愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました
上野佐栁
ファンタジー
前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。
みちこ
ファンタジー
両親が亡くなり、家の存続と弟を立派に育てることを決意するけど、ストレスとプレッシャーが原因で高熱が出たことが切っ掛けで、自分が前世で好きだった小説の悪役令嬢に転生したと気が付くけど、小説とは色々と違うことに混乱する。
主人公は断罪から逃れることは出来るのか?
前世で医学生だった私が、転生したら殺される直前でした。絶対に生きてみんなで幸せになります
mica
ファンタジー
ローヌ王国で、シャーロットは、幼馴染のアーサーと婚約間近で幸せな日々を送っていた。婚約式を行うために王都に向かう途中で、土砂崩れにあって、頭を強くぶつけてしまう。その時に、なんと、自分が転生しており、前世では、日本で医学生をしていたことを思い出す。そして、土砂崩れは、実は、事故ではなく、一家を皆殺しにしようとした叔父が仕組んだことであった。
殺されそうになるシャーロットは弟と河に飛び込む…
前世では、私は島の出身で泳ぎだって得意だった。絶対に生きて弟を守る!
弟ともに平民に身をやつし過ごすシャーロットは、前世の知識を使って周囲
から信頼を得ていく。一方、アーサーは、亡くなったシャーロットが忘れられないまま騎士として過ごして行く。
そんな二人が、ある日出会い….
小説家になろう様にも投稿しております。アルファポリス様先行です。
影の聖女として頑張って来たけど、用済みとして追放された~真なる聖女が誕生したのであれば、もう大丈夫ですよね?~
まいめろ
ファンタジー
孤児だったエステルは、本来の聖女の代わりとして守護方陣を張り、王国の守りを担っていた。
本来の聖女である公爵令嬢メシアは、17歳の誕生日を迎えても能力が開花しなかった為、急遽、聖女の能力を行使できるエステルが呼ばれたのだ。
それから2年……王政を維持する為に表向きはメシアが守護方陣を展開していると発表され続け、エステルは誰にも知られない影の聖女として労働させられていた。
「メシアが能力開花をした。影でしかないお前はもう、用済みだ」
突然の解雇通知……エステルは反論を許されず、ろくな報酬を与えられず、宮殿から追い出されてしまった。
そんな時、知り合いになっていた隣国の王子が現れ、魔導国家へと招待することになる。エステルの能力は、魔法が盛んな隣国に於いても並ぶ者が居らず、彼女は英雄的な待遇を受けるのであった。
亡国の大聖女 追い出されたので辺境伯領で農業を始めます
夜桜
恋愛
共和国の大聖女フィセルは、国を安定させる為に魔力を使い続け支えていた。だが、婚約を交わしていたウィリアム将軍が一方的に婚約破棄。しかも大聖女を『大魔女』認定し、両親を目の前で殺された。フィセルだけは国から追い出され、孤独の身となる。そんな絶望の雨天の中――ヒューズ辺境伯が現れ、フィセルを救う。
一週間後、大聖女を失った共和国はモンスターの大規模襲来で甚大な被害を受け……滅びの道を辿っていた。フィセルの力は“本物”だったのだ。戻って下さいと土下座され懇願されるが、もう全てが遅かった。フィセルは辺境伯と共に農業を始めていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる