上 下
14 / 17

4

しおりを挟む
お父様お戻りになられて、よかったわね、って笑うお義姉様は大物なのではないでしょうか。
ティーンになってから出来た義理の父の帰宅をそんなに喜ぶのはお義姉様くらいではないでしょうか。
なさぬ仲って言葉、ご存じですか?
結婚という制度のない平民育ちのおおらかさなのでしょうか。
それともさすがお義母様の娘と見るべきでしょうか。
悩むところです。
にこにこって顔に書いてありますわよ、お義姉様。
貴族はいついかなる時も感情で表情を変えるべきではないのですが。
何がさあさあですか。
治っていることを伝えていな買ったのは失敗でしたかしら。
もう少しお義姉様のことを聞き出したいなんて欲張るのではなかったかもしれません。
あわよくばロカやお義母様の情報も少し仕入れたかったのですが。
お義母様が夜会ように先日婚約者から貸し出されたという宝石は、隣国の筆頭公爵家の家宝という噂を小耳に挟んだのです。
お義母様の婚約者には確かに隣国につながる方もおられますが、確かその筆頭公爵家の姓はカルローカ。
偶然でしょうか。
商人が国境を越えるのはよくあることです。
偶然であってください。
お義母様がいらっしゃる前は、お父さまの補佐で忙しかった。
仕事にかこつけてちょっと遊ぼうとするお父様を監視もしないといけなかったし。
今はお義母様がしっかりサポートしてくださるお陰で、家のことお任せして自分の勉学に集中できます。
私にも父にも良くしてくれるお義母様。
むしろお父さまには勿体無いくらいの方だと思うのですが、時々耳にするお義母様の活躍が何とも複雑で。
お母様が亡くなってから、いつまでたっても気の休まる日々が来ないのはなぜでしょうか。
この家は私が婿を取って継ぐ予定なのですが、お義母様並みの伴侶を探そうとすると私はいつ結婚できるかわからない気がします。
それに、何となくですが、お義母様はお母様のお知り合いだったのではないでしょうか。
なんとなくそんな気がするのです。
でもねお義姉様、私は新生児でもないのです。
こんなに早くベッドに入れられても眠れません。
まだ朝ご飯が終わったばかりです。
食べてすぐ寝ると太るって、常識ですよね。
来月は婚約式があって、あのドレスを着るのです。
絶対婚約者のマリエール様より細いウエストを見せつけてやろうと思っているのです。
スタイル自慢のマリエール様に負けてはいられないのですよ。
男のくせにマリエールなんて名のって私より派手なドレスを着ようとする方に負けるわけにはいかないのです。
清楚かつ儚げを演出するには肥え太っているわけにはいかないのですよ。
毛布をかけないでください。
寝ないといっているでしょう。
意外と強引なところはお義母様譲りですね。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

学院内でいきなり婚約破棄されました

マルローネ
恋愛
王立貴族学院に通っていた伯爵令嬢のメアリは婚約者であり侯爵令息、さらに生徒会長のオルスタに婚約破棄を言い渡されてしまう。しかも学院内のクラスの中で……。 慰謝料も支払わず、さらに共同で事業を行っていたのだがその利益も不当に奪われる結果に。 メアリは婚約破棄はともかく、それ以外のことには納得行かず幼馴染の伯爵令息レヴィンと共に反論することに。 急速に二人の仲も進展していくが……?

義母の秘密、ばらしてしまいます!

四季
恋愛
私の母は、私がまだ小さい頃に、病気によって亡くなってしまった。 それによって落ち込んでいた父の前に現れた一人の女性は、父を励まし、いつしか親しくなっていて。気づけば彼女は、私の義母になっていた。 けれど、彼女には、秘密があって……?

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。 ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。 え?イザックの婚約者って私でした。よね…? 二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。 ええ、バッキバキに。 もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

「私」は『私』と恋をする。

一兵卒
恋愛
それは、変わらぬ日常の中で起こる変わった出来事。 自分のことを一番知っていて 自分が一番苦手な存在。 ある日突然そんな子が現れたら、貴女はどうしますか? 貴女はその子を好きになれますか? 突如現れたもう一人の私。 この話は、私ともう一人の私の恋に落ちるまでの話。

父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました

四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。 だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
恋愛
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには許嫁の公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 メイヴィスはサイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

処理中です...