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第45話 双子ちゃんは地球の文化に興味津々です
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双子ちゃんが真の地球エルフとなるための試練は翌日の土曜にも続く。
先日の料理初体験に続き、今日は外へとお出かけだ。
という訳で今日は双子ちゃんと幻ちゃんを連れて近場のショッピングモールへとやってきた。
どうせならいろんなお店が集まっている場所の方がいいかなと思って。
……そう安易に思っていたのだけど。
「幻ちゃん、気付いてる?」
「うん、すっごいねコレ……」
想像を越えて、周囲からの視線が熱い。
それだけ双子ちゃんの存在感が際立って目立っているからだ。
二人の服装は幻ちゃんのおさがりの服を着ていて普通。
けれどドールのように真っ白な肌にくりんとした瞳、おまけに小顔と長い耳が普通から一線どころか二線三線を画しているのだろう。
大人どころか子どもまでが注目してしまうほどに。
「あのぉ~すいませぇん」
「えっ?」
そんな目立ち方をしているからか、遂には声を掛けて来る人までやってきた。
子ども連れのお母さんなのだけど、これまた美人でメイクとかにこだわっていそうな感じの人だ。
「お子さん、とても可愛いですね~!」
「あ、はい、う、うちの自慢の子なんですよ」
「なんかもう見惚れちゃってぇ。このメイクとかもうホントすごいですよねー。もしかして〝あっち系〟の方だったりします?」
「えっ……」
しかもなんか意味深な事を言い始めて僕達の腹の内を探ってきた。
二人の容姿がメイクだと思っているのだろうけど、何を言いたいかまではさっぱりわからない。
一体なんなの〝あっち系〟って!?
まさかこの人も異世界から来たとか言わないよね!?
けどそう迷っていた時、僕達の間に幻ちゃんが割り込んで来た。
「あーそうなんですよーこれコスプレでー」
「あ! やっぱりそうなんですねーとっても似合ってると思いますぅ!」
どうやら僕のフォローに回ってくれたらしい。
興味津々な女性に対しても慌てる事なくテキパキと応対してくれている。
すでに〝設定〟が彼女の中にできあがっていたのか、説明もとてもスムーズだ。
「あ、でも触らないでくださいね、お手入れが結構大変でして」
「そうなんですかぁ。二人とも、いきなりごめんねぇ~」
「いいえ」「お気になさらず」
「「声を掛けられるのは想定内」」
「そ、そう、とても丁寧でいい子達ですね……お邪魔しましたぁ」
ついでに双子ちゃんの妙な圧に負け、女性はそそくさと退散してしまった。
ぱっと見が造り物にも見えるから、実際に動くと怖く見えるのかもしれない。
振り向く動きもシンクロしているし、子どもらしくない達観した雰囲気もあるからなおさらに。
とはいえ注目が解かれた訳ではない。
それなので周囲からの視線はこの際気にしないようにして、二人が思うがままにモール内を闊歩する事にした。
それで二人が興味を示したものはといえば服やアクセサリーなど。
やはり異世界人でも女の子らしく、煌びやかなものがとても気になるらしい。
時にはスマホケースまで興味の対象となり、珍しそうに手に取っていた。
「私達はこれを」「故郷に持ち帰りたい」
「「我が一族の家宝とするために」」
「スマホケースを家宝にしたいって結構斬新だと思う」
「それでも異世界人にとっては未知的人工物なのよ、お兄ちゃん」
確かにスマホケース、色んな絵とかも描かれているし形もしっかりしているしね。
僕だってこの成形をどうやってやっているかもわからないし。
とはいえ一体どういう理由で家宝にしたいのかとても興味が尽きない。
――と、そんなこんなで色んな店舗を回り、買い物も済ませていく。
幸いにも今の僕の懐はとても温かい。
旅館えるぷりやの給料は破格だし、姉さんからもお小遣いを預かっているので今日は奮発するつもりだ。
双子ちゃんも「お父さまが選んだ服ならどれでも嬉しい」なんて言ってくれたし!
……もしかしたら僕は結構な子煩悩なのかもしれないなー。
それで気付けば僕の両手が荷物でいっぱいに。
このまま歩き続けるのは少し辛いかもしれない。
「もう荷物も一杯だし、お昼にもなりそうだから一旦休憩にする?」
「そうだね、そうしてくれると僕も助かるかな……さすがに指が痛い」
幻ちゃんもそんな僕の状況に気付いてフォローしてくれた。
双子ちゃんもそれに続いて静かにうつむいて応えてくれたし。
それで一旦休憩でもとフードコートに向かおうとしたのだけど。
するとそんな時、ふと双子ちゃんが何かに気付いて足を止めていて。
僕達もそれに気付き、二人の視線にそって振り向く。
そんな二人が気付いたのはゲームセンターだった。
騒がしいくらいに音が鳴り響くものの、とてもカラフルで子ども心をくすぐる場所。
多くの人が通り、遊び、一喜一憂するという光景が二人の気を惹いたようだ。
「お父さま」「ここは一体?」
「ゲームセンターだね」
「げーむせんたーとは?」「なんですか?」
「簡単に言えば遊ぶ所かな。入って見ればわかるよ。ちょっと寄ってみようか?」
「お父さまは」「大丈夫なのですか」
「うん、少しくらいはへっちゃらさ!」
「「わぁ……」」
なので、せっかくだしとちょっと寄ってみる事にした。
なんたって、いつも能面みたいな二人が子どもらしい表情を見せてくれているのだから。
揃って瞳をキラキラと輝かせて見つめる姿はとても可愛らしいと思えてならない。
ならそれに応えなきゃ、とても親だなんて名乗れないんだってね。
先日の料理初体験に続き、今日は外へとお出かけだ。
という訳で今日は双子ちゃんと幻ちゃんを連れて近場のショッピングモールへとやってきた。
どうせならいろんなお店が集まっている場所の方がいいかなと思って。
……そう安易に思っていたのだけど。
「幻ちゃん、気付いてる?」
「うん、すっごいねコレ……」
想像を越えて、周囲からの視線が熱い。
それだけ双子ちゃんの存在感が際立って目立っているからだ。
二人の服装は幻ちゃんのおさがりの服を着ていて普通。
けれどドールのように真っ白な肌にくりんとした瞳、おまけに小顔と長い耳が普通から一線どころか二線三線を画しているのだろう。
大人どころか子どもまでが注目してしまうほどに。
「あのぉ~すいませぇん」
「えっ?」
そんな目立ち方をしているからか、遂には声を掛けて来る人までやってきた。
子ども連れのお母さんなのだけど、これまた美人でメイクとかにこだわっていそうな感じの人だ。
「お子さん、とても可愛いですね~!」
「あ、はい、う、うちの自慢の子なんですよ」
「なんかもう見惚れちゃってぇ。このメイクとかもうホントすごいですよねー。もしかして〝あっち系〟の方だったりします?」
「えっ……」
しかもなんか意味深な事を言い始めて僕達の腹の内を探ってきた。
二人の容姿がメイクだと思っているのだろうけど、何を言いたいかまではさっぱりわからない。
一体なんなの〝あっち系〟って!?
まさかこの人も異世界から来たとか言わないよね!?
けどそう迷っていた時、僕達の間に幻ちゃんが割り込んで来た。
「あーそうなんですよーこれコスプレでー」
「あ! やっぱりそうなんですねーとっても似合ってると思いますぅ!」
どうやら僕のフォローに回ってくれたらしい。
興味津々な女性に対しても慌てる事なくテキパキと応対してくれている。
すでに〝設定〟が彼女の中にできあがっていたのか、説明もとてもスムーズだ。
「あ、でも触らないでくださいね、お手入れが結構大変でして」
「そうなんですかぁ。二人とも、いきなりごめんねぇ~」
「いいえ」「お気になさらず」
「「声を掛けられるのは想定内」」
「そ、そう、とても丁寧でいい子達ですね……お邪魔しましたぁ」
ついでに双子ちゃんの妙な圧に負け、女性はそそくさと退散してしまった。
ぱっと見が造り物にも見えるから、実際に動くと怖く見えるのかもしれない。
振り向く動きもシンクロしているし、子どもらしくない達観した雰囲気もあるからなおさらに。
とはいえ注目が解かれた訳ではない。
それなので周囲からの視線はこの際気にしないようにして、二人が思うがままにモール内を闊歩する事にした。
それで二人が興味を示したものはといえば服やアクセサリーなど。
やはり異世界人でも女の子らしく、煌びやかなものがとても気になるらしい。
時にはスマホケースまで興味の対象となり、珍しそうに手に取っていた。
「私達はこれを」「故郷に持ち帰りたい」
「「我が一族の家宝とするために」」
「スマホケースを家宝にしたいって結構斬新だと思う」
「それでも異世界人にとっては未知的人工物なのよ、お兄ちゃん」
確かにスマホケース、色んな絵とかも描かれているし形もしっかりしているしね。
僕だってこの成形をどうやってやっているかもわからないし。
とはいえ一体どういう理由で家宝にしたいのかとても興味が尽きない。
――と、そんなこんなで色んな店舗を回り、買い物も済ませていく。
幸いにも今の僕の懐はとても温かい。
旅館えるぷりやの給料は破格だし、姉さんからもお小遣いを預かっているので今日は奮発するつもりだ。
双子ちゃんも「お父さまが選んだ服ならどれでも嬉しい」なんて言ってくれたし!
……もしかしたら僕は結構な子煩悩なのかもしれないなー。
それで気付けば僕の両手が荷物でいっぱいに。
このまま歩き続けるのは少し辛いかもしれない。
「もう荷物も一杯だし、お昼にもなりそうだから一旦休憩にする?」
「そうだね、そうしてくれると僕も助かるかな……さすがに指が痛い」
幻ちゃんもそんな僕の状況に気付いてフォローしてくれた。
双子ちゃんもそれに続いて静かにうつむいて応えてくれたし。
それで一旦休憩でもとフードコートに向かおうとしたのだけど。
するとそんな時、ふと双子ちゃんが何かに気付いて足を止めていて。
僕達もそれに気付き、二人の視線にそって振り向く。
そんな二人が気付いたのはゲームセンターだった。
騒がしいくらいに音が鳴り響くものの、とてもカラフルで子ども心をくすぐる場所。
多くの人が通り、遊び、一喜一憂するという光景が二人の気を惹いたようだ。
「お父さま」「ここは一体?」
「ゲームセンターだね」
「げーむせんたーとは?」「なんですか?」
「簡単に言えば遊ぶ所かな。入って見ればわかるよ。ちょっと寄ってみようか?」
「お父さまは」「大丈夫なのですか」
「うん、少しくらいはへっちゃらさ!」
「「わぁ……」」
なので、せっかくだしとちょっと寄ってみる事にした。
なんたって、いつも能面みたいな二人が子どもらしい表情を見せてくれているのだから。
揃って瞳をキラキラと輝かせて見つめる姿はとても可愛らしいと思えてならない。
ならそれに応えなきゃ、とても親だなんて名乗れないんだってね。
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