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第14話 盗み聞きなんて良くないよね
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ゼーナルフさんとレミフィさんの過去が遂に明らかに!
――まぁだからといって何か大事がある訳でもない。
強いて言うなら、レミフィさんの扱い方によって僕の生死が左右されるとわかったくらいかな。
確かにレミフィさんは綺麗だし時々可愛いしすごく愛してくれているのはわかる。
これで人間だったら言う事はないんだけどなぁ。
でもなんで彼女は僕の事を好きになったのだろう?
逸話からして、僕が初めて見た時に避けそうなんだけど。
むしろ最初から好意的過ぎてなんだか怖いくらいだ。
僕、一体何をやらかしてしまったのだろうか。
そう悩んだけど答えは出そうにない。
さすがに生態から違う人の事までは、ね。
「それで、お前さんの知る空想世界に俺達みたいな世界はあったかい?」
するとそう悩んでいた時、ゼーナルフさんがふと話題を変えてくれた。
どうやら空気を読んでくれたらしい。やっぱりいい人だなぁ。
「ゼーナルフさんの世界は近しいのがあったけど、さすがに青い肌の人間はいなかったかな。ぶっちゃけてしまうと、僕らの世界プラスアルファって感じの異世界が多いんで。まぁ全部知っている訳ではないから一概には言えませんが」
「黄白い肌の人間はそこまで多い訳じゃないからな。強いて言うならさっき揉めた奴等がそうか」
「そうですね。彼等が一番近いです。エルフって言ってたし、これも僕の知る異世界に出る名称と同じなんですよ。不思議ですよね」
自分の世界の事になるとやっぱり話しやすい。
イメージがあるからかな、とても言葉が弾んで。
だからか、ゼーナルフさんの返しにも今さらながらに気付く。
この異世界旅館で出会った事と地球文化の共通点に。
もしかしたら魔法的な力で翻訳されているからかもしれないけど、割と似ている共通言語が存在するんだ。
さっきのエルフやリザードマン、ドラゴンとかが。
変だよね、本来ならまったく関係無い世界なのに。
「いや、あながちそうとは言い切れないぞ」
「えっ?」
「考えても見ろ。俺達は今、どこにいる?」
「あ……」
でもそんな時、ゼーナルフさんの一言が僕に気付きを与えてくれた。
異世界同士での共通言語が存在するその理由、その根源へのヒントを。
じゃあもしかして僕達の世界の空想物語は――
「くだらんな。貴様らの世界と共通点があるなど考えたくも無い」
「「「ッ!?」」」
だがそんな時、僕達とは違う声が話題を切り裂く。
それも怒りを伴う、唸るような声色で。
それに気付き、三人揃って振り返る。
するとその視線の先には、やはりあのエルフの二人組の姿が。
ジニスとアリム、僕らを目の敵にしている二人だ。
「貴様らがどんな悪態をついているかと耳を傾けてみれば、やれ平和だの戦争から立ち直っただの……綺麗ごとを並べても、結局はやはり我等の世界の人間と同じ、愚かにも血を流すことばかり目論む外道どもではないか」
「おいおい、こんな所でまで絡んでくるんじゃねぇよぉ……」
「貴様もだリザードマン。偉そうな事を言って、貴様は現実から逃げているだけの臆病者であろう。同胞が滅んでもなお生きながらえる痴れ者め、恥を知るがいい」
「はぁ~~~……久々に面倒臭い奴が来たな」
とはいえ絡んできているのはジニスの方だけ。
アリムの方はむしろジニスを止めようとしている。
さすがにやり過ぎだとわかっているのだろう。
しかしそんな制止をもジニスは跳ね退け、僕達を憎しむままに見下してくる。
舌打ちまでしていて、とても気分が悪い。
「そこのラビアータ女だってそうだ。愛を忘れた種族など、そんなもの存在する価値も無い。人間と同じの、滅ぶべき劣等種族だ。ならば件の男の方がずっと優秀であろう。種族繁栄の為に動いているのだからな」
「キサマァ……!」
「よせレミフィ、奴の挑発に乗るんじゃない」
一体何がこの人の怒りを焚き付けているのだろうか。
僕達に絡んだって何の得も無いというのに。
もしかしてこれがこのジニスって人の求める癒しなのだろうか?
自分でも抗えないほどの、他種族への憎しみの発散が。
「……ああ、わかったぞ。どうして私がここへ呼ばれたのか。そうだ、これは粛正だ。私こそがこの汚れ場を綺麗にするために相応しいからこそッ!」
だからって、この人は何を言っているんだ!?
もう何が言いたいのかさっぱりわからない!
いくら人が憎いからってここまで支離滅裂になれるの!?
誰も会った事がないような人達ばかりだっていうのに!
「ならばこの地を我がエルフの第二繁栄地としよう。そして力を付け、いつか我らの森を焼いた人間どもを駆逐し、奴隷とし、末代までこき使ってやる! 奴等がやってのけたようにィ!!」
「おい、いい加減にしろよ色白坊ちゃん。お前さんちと頭がおかしくなっちまったんじゃねぇか!?」
「黙れこの劣等種どもがっ!」
だけどそんな事はもうお構いなしだ。
ジニスが手をかざすと、途端に風が吹き荒れた。
料理どころか周囲の人々もが跳ね飛ぶほどの突風が。
当然ながら僕も耐えきれず、座敷に転がされてしまった。
それでもなんとか床に落ちて事無きを得たけど、体を打って少し痛い。
でもそんな事はもう気にしていられない。
そう思うままに座敷へ顔を覗かせて見れば、ゼーナルフさんとレミフィさんがまだ堪えていた。
踏ん張って、更に強くなる突風に辛うじて耐えているんだ。
しかしこの風は一体……?
も、もしかして、これが魔法ってやつなのか!?
「なかなか耐えるではないか。劣等種の分際で」
「馬鹿野郎が……! こんな所で魔法ブッ放すんじゃねぇッ!」
「くぅぅ! もはやなりふり、構わないか!」
どんどん風の威力が強まっている!
だからもう二人以外は皆座敷から落とされたし、据え付けの机まで飛びそうになっているぞ!?
一体どこまで強くなるんだ、この風は!?
「もうやめてジニス! ここまでやってなんて私言ってない!」
「黙れアリム! 我等エルフが下等民族どもに舐められたまま引き下がってたまるものかッ! 粛正だ! 調教だ! どいつもこいつも私に逆らう奴はすべて跪かせてやるッ!!! このようにしてえええッ!!!!!」
「うおあああっ!!?」
「あうううっ!!?」
ダメだ、抗いきれない!
ゼーナルフさんもレミフィさんも吹き飛ばされて、壁に叩き付けられてしまった。
あんなに強そうな二人が抵抗もできないなんて!?
嘘だ、こんなの嘘でしょ!?
「だが貴様ら二人だけはなぶって殺してやる! 我等一族が受けたものと同様に! 徹底的にわからせてからなぁ!」
もうやめろ、やめてくれ!
もう二人は動けないじゃないか!
なんでここまでやる必要があるんだよ!
ここは憩いと癒しを求める場所じゃないのかよおおおーーーーーーッ!!!
「もうおやめください、お客様!」
「「「ッ!?」」」
けどその時、こんな声が聞こえたんだ。
突風吹き荒れる中でも届く程の凛々しい声が。
それで思わず振り向いてみたら、そこに彼女はいた。
女将エルプリヤさん。
なんと彼女自らが現れたのである。
――まぁだからといって何か大事がある訳でもない。
強いて言うなら、レミフィさんの扱い方によって僕の生死が左右されるとわかったくらいかな。
確かにレミフィさんは綺麗だし時々可愛いしすごく愛してくれているのはわかる。
これで人間だったら言う事はないんだけどなぁ。
でもなんで彼女は僕の事を好きになったのだろう?
逸話からして、僕が初めて見た時に避けそうなんだけど。
むしろ最初から好意的過ぎてなんだか怖いくらいだ。
僕、一体何をやらかしてしまったのだろうか。
そう悩んだけど答えは出そうにない。
さすがに生態から違う人の事までは、ね。
「それで、お前さんの知る空想世界に俺達みたいな世界はあったかい?」
するとそう悩んでいた時、ゼーナルフさんがふと話題を変えてくれた。
どうやら空気を読んでくれたらしい。やっぱりいい人だなぁ。
「ゼーナルフさんの世界は近しいのがあったけど、さすがに青い肌の人間はいなかったかな。ぶっちゃけてしまうと、僕らの世界プラスアルファって感じの異世界が多いんで。まぁ全部知っている訳ではないから一概には言えませんが」
「黄白い肌の人間はそこまで多い訳じゃないからな。強いて言うならさっき揉めた奴等がそうか」
「そうですね。彼等が一番近いです。エルフって言ってたし、これも僕の知る異世界に出る名称と同じなんですよ。不思議ですよね」
自分の世界の事になるとやっぱり話しやすい。
イメージがあるからかな、とても言葉が弾んで。
だからか、ゼーナルフさんの返しにも今さらながらに気付く。
この異世界旅館で出会った事と地球文化の共通点に。
もしかしたら魔法的な力で翻訳されているからかもしれないけど、割と似ている共通言語が存在するんだ。
さっきのエルフやリザードマン、ドラゴンとかが。
変だよね、本来ならまったく関係無い世界なのに。
「いや、あながちそうとは言い切れないぞ」
「えっ?」
「考えても見ろ。俺達は今、どこにいる?」
「あ……」
でもそんな時、ゼーナルフさんの一言が僕に気付きを与えてくれた。
異世界同士での共通言語が存在するその理由、その根源へのヒントを。
じゃあもしかして僕達の世界の空想物語は――
「くだらんな。貴様らの世界と共通点があるなど考えたくも無い」
「「「ッ!?」」」
だがそんな時、僕達とは違う声が話題を切り裂く。
それも怒りを伴う、唸るような声色で。
それに気付き、三人揃って振り返る。
するとその視線の先には、やはりあのエルフの二人組の姿が。
ジニスとアリム、僕らを目の敵にしている二人だ。
「貴様らがどんな悪態をついているかと耳を傾けてみれば、やれ平和だの戦争から立ち直っただの……綺麗ごとを並べても、結局はやはり我等の世界の人間と同じ、愚かにも血を流すことばかり目論む外道どもではないか」
「おいおい、こんな所でまで絡んでくるんじゃねぇよぉ……」
「貴様もだリザードマン。偉そうな事を言って、貴様は現実から逃げているだけの臆病者であろう。同胞が滅んでもなお生きながらえる痴れ者め、恥を知るがいい」
「はぁ~~~……久々に面倒臭い奴が来たな」
とはいえ絡んできているのはジニスの方だけ。
アリムの方はむしろジニスを止めようとしている。
さすがにやり過ぎだとわかっているのだろう。
しかしそんな制止をもジニスは跳ね退け、僕達を憎しむままに見下してくる。
舌打ちまでしていて、とても気分が悪い。
「そこのラビアータ女だってそうだ。愛を忘れた種族など、そんなもの存在する価値も無い。人間と同じの、滅ぶべき劣等種族だ。ならば件の男の方がずっと優秀であろう。種族繁栄の為に動いているのだからな」
「キサマァ……!」
「よせレミフィ、奴の挑発に乗るんじゃない」
一体何がこの人の怒りを焚き付けているのだろうか。
僕達に絡んだって何の得も無いというのに。
もしかしてこれがこのジニスって人の求める癒しなのだろうか?
自分でも抗えないほどの、他種族への憎しみの発散が。
「……ああ、わかったぞ。どうして私がここへ呼ばれたのか。そうだ、これは粛正だ。私こそがこの汚れ場を綺麗にするために相応しいからこそッ!」
だからって、この人は何を言っているんだ!?
もう何が言いたいのかさっぱりわからない!
いくら人が憎いからってここまで支離滅裂になれるの!?
誰も会った事がないような人達ばかりだっていうのに!
「ならばこの地を我がエルフの第二繁栄地としよう。そして力を付け、いつか我らの森を焼いた人間どもを駆逐し、奴隷とし、末代までこき使ってやる! 奴等がやってのけたようにィ!!」
「おい、いい加減にしろよ色白坊ちゃん。お前さんちと頭がおかしくなっちまったんじゃねぇか!?」
「黙れこの劣等種どもがっ!」
だけどそんな事はもうお構いなしだ。
ジニスが手をかざすと、途端に風が吹き荒れた。
料理どころか周囲の人々もが跳ね飛ぶほどの突風が。
当然ながら僕も耐えきれず、座敷に転がされてしまった。
それでもなんとか床に落ちて事無きを得たけど、体を打って少し痛い。
でもそんな事はもう気にしていられない。
そう思うままに座敷へ顔を覗かせて見れば、ゼーナルフさんとレミフィさんがまだ堪えていた。
踏ん張って、更に強くなる突風に辛うじて耐えているんだ。
しかしこの風は一体……?
も、もしかして、これが魔法ってやつなのか!?
「なかなか耐えるではないか。劣等種の分際で」
「馬鹿野郎が……! こんな所で魔法ブッ放すんじゃねぇッ!」
「くぅぅ! もはやなりふり、構わないか!」
どんどん風の威力が強まっている!
だからもう二人以外は皆座敷から落とされたし、据え付けの机まで飛びそうになっているぞ!?
一体どこまで強くなるんだ、この風は!?
「もうやめてジニス! ここまでやってなんて私言ってない!」
「黙れアリム! 我等エルフが下等民族どもに舐められたまま引き下がってたまるものかッ! 粛正だ! 調教だ! どいつもこいつも私に逆らう奴はすべて跪かせてやるッ!!! このようにしてえええッ!!!!!」
「うおあああっ!!?」
「あうううっ!!?」
ダメだ、抗いきれない!
ゼーナルフさんもレミフィさんも吹き飛ばされて、壁に叩き付けられてしまった。
あんなに強そうな二人が抵抗もできないなんて!?
嘘だ、こんなの嘘でしょ!?
「だが貴様ら二人だけはなぶって殺してやる! 我等一族が受けたものと同様に! 徹底的にわからせてからなぁ!」
もうやめろ、やめてくれ!
もう二人は動けないじゃないか!
なんでここまでやる必要があるんだよ!
ここは憩いと癒しを求める場所じゃないのかよおおおーーーーーーッ!!!
「もうおやめください、お客様!」
「「「ッ!?」」」
けどその時、こんな声が聞こえたんだ。
突風吹き荒れる中でも届く程の凛々しい声が。
それで思わず振り向いてみたら、そこに彼女はいた。
女将エルプリヤさん。
なんと彼女自らが現れたのである。
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