11 / 54
第11話 ひとつになりたい
しおりを挟む
ゼーナルフさんのおかげで事なきを得たのは幸いだった。
けどまだ禍根は残っていそうだし、ちょっと不安だなぁ今後。
「そろそろスキンシップもそれくらいにしておいて、お前さん達も温泉を楽しんだらどうだい?」
「ははは。それもいいんですが、実はもう結構長く入っていたものでして」
「おや、そうだったのか」
「とても長く、ユメジと入っていた。とても心地良かった。ゼーナルフもユメジに抱かれるといい。とても心安らぐ」
「それは遠慮しておこう。俺にそういう趣味は無いんでな」
「って事はやっぱり異世界にも同性を好む趣味ってあるんだ……」
ともあれ騒動も収まったし、ついでにレミフィさんのスキンシップもようやく終わったようだ。
体の方はまだ離してくれそうにないけれど。
それでゼーナルフさんが僕達から離れるように一歩を踏み出したのだけど。
「あっ、そうだ!」
しかしその時ふと踵を返し、気付いて振り向いた僕達に片手を振り上げていて。
「せっかくだし、後で一緒にメシでもどうだー? 三人でよぉ!」
「ユメジが行くなら、アタシも行きたい。どうする?」
「……それなら後で合流しましょう!」
「よぉし、じゃあ二時間後に食事処で集合しようか!」
どうやらあの人はなかなかに社交的らしい。
トラブルを解消してくれたどころか、食事まで誘ってくれるなんて。
なので僕はもう食べた後だけど、感謝の気持ちも兼ねて付き合おうと思った。
レミフィさんもだけど、ゼーナルフさんの事ももっと知りたいし。
ピーニャさんには悪いけど、約束は明日に伸ばしてもらうとしよう。
それで僕はレミフィさんと共に一足早く浴場から退出。
その後はひとまず二人で僕の部屋へと行く事になった。
なんだかレミフィさんの愛は結構重いみたいで、僕はずっと抱かれっぱなしだ。
衣服を纏う彼女もなかなかにセクシーで、感触は浴場にいた時と大差ない。
皮製の半袖白ジャケットに短パン、あとボディラインと白い体毛を強調する蒼色のタイツが、なんとなく彼女の性格を表しているかのようでね。
ちなみに露出した丸い尻尾がとってもチャーミング。
彼女のワイルドな性格とのギャップがものすごくたまらない。
それで、そんな妄想をしつつ部屋に帰って来た訳だけど。
「ピーニャさん……なんで僕の布団で寝てるの」
ピーニャさんは現在、絶賛爆睡中。
鼻ちょうちんをぷわぷわと膨らませ、布団にくるまれてとても気持ちよさそう。
確かにもう部屋は片付け終えてるけど、いくらなんでも自由過ぎない?
「ああなるとピーニャ、絶対起きない。だからここで休んでも、平気」
「あ、あはは……よくご存じですね」
「この子、えるぷりやの問題児だから。おもしろいけど。あとおもしろい。プゴォ」
「大事な事ですよね……」
そんなピーニャさんの事をレミフィさんもよく知っているようで、容赦さえしない。
初めて聞いたような笑い声と共に歩み寄り、傍に座り込んでは頬を掴んで引っ張ったり、こねくり回したり。
極めつけはその丸い尻尾で鼻をフリフリと触り、くしゃみまで誘発してみせる。
それでも起きないピーニャさんもすごいけど、いたずらをするレミフィさんもなんだかすごい。そのギャップが。
えっと彼女、冷徹姫とか呼ばれてませんでしたっけ?
「つまり、ここで何、してもイイ」
「えッ」
けどその直後、レミフィさんが今度は僕へとすり寄ってきた。
それも上目遣いで、ニタァと妖しく、八重歯の映える笑みを浮かべながら。
「どれだけ暴れてもイイ。大きな声、出してもイイ」
「さ、さすがに騒音はまずいんじゃないかな?」
「隣にも外にも聞こえない。ここは完全防音のプライベート空間。だから、何しても……イイッ!」
「うっわぁ!」
そしてとうとう、彼女の両手が僕を掴んで押し倒す。
たとえ畳の上だろうが関係無く、ただただその欲望のままに。
それで気付けば僕が見上げ、レミフィさんが跨るという状態となっていて。
「スキ、止められない。アタシ、ユメジと一つ、なりたい」
「レ、レミフィさん!? ま、待とう、僕達まだ今日出会ったばかりで……」
「この旅館はっ! 一期一会っ! 二度目あるか、わからないからあっ!」
「ひ、ひょええええ~~~!?」
「だからぁ、いっぱい、愛したげるね?」
「お、お手柔らかにお願いいたします……」
その後はもう、また彼女になされるがままだった。
……とはいえ別に性行為を行った訳じゃないのだけど。
どうやらレミフィさんの種族は、愛情表現として相手の体をあちこちと噛むらしい。
強く想う方が伴侶を噛み、噛み痕を付けて占有を示すのだそう。
この場合はもうレミフィさんが噛まないと気が済まないんだって。
とはいえ占有というのは儀式的な話で、実際に占有権が生まれる訳じゃない。
その事はレミフィさんもわかった上で、ただ噛みたくてたまらなかったのだと。
それが彼女にとっての何よりもの性的欲求だったから。
愛情の形は種族・生物にとってそれぞれ。
その事をここで改めて教えられた僕なのでした。
けどまだ禍根は残っていそうだし、ちょっと不安だなぁ今後。
「そろそろスキンシップもそれくらいにしておいて、お前さん達も温泉を楽しんだらどうだい?」
「ははは。それもいいんですが、実はもう結構長く入っていたものでして」
「おや、そうだったのか」
「とても長く、ユメジと入っていた。とても心地良かった。ゼーナルフもユメジに抱かれるといい。とても心安らぐ」
「それは遠慮しておこう。俺にそういう趣味は無いんでな」
「って事はやっぱり異世界にも同性を好む趣味ってあるんだ……」
ともあれ騒動も収まったし、ついでにレミフィさんのスキンシップもようやく終わったようだ。
体の方はまだ離してくれそうにないけれど。
それでゼーナルフさんが僕達から離れるように一歩を踏み出したのだけど。
「あっ、そうだ!」
しかしその時ふと踵を返し、気付いて振り向いた僕達に片手を振り上げていて。
「せっかくだし、後で一緒にメシでもどうだー? 三人でよぉ!」
「ユメジが行くなら、アタシも行きたい。どうする?」
「……それなら後で合流しましょう!」
「よぉし、じゃあ二時間後に食事処で集合しようか!」
どうやらあの人はなかなかに社交的らしい。
トラブルを解消してくれたどころか、食事まで誘ってくれるなんて。
なので僕はもう食べた後だけど、感謝の気持ちも兼ねて付き合おうと思った。
レミフィさんもだけど、ゼーナルフさんの事ももっと知りたいし。
ピーニャさんには悪いけど、約束は明日に伸ばしてもらうとしよう。
それで僕はレミフィさんと共に一足早く浴場から退出。
その後はひとまず二人で僕の部屋へと行く事になった。
なんだかレミフィさんの愛は結構重いみたいで、僕はずっと抱かれっぱなしだ。
衣服を纏う彼女もなかなかにセクシーで、感触は浴場にいた時と大差ない。
皮製の半袖白ジャケットに短パン、あとボディラインと白い体毛を強調する蒼色のタイツが、なんとなく彼女の性格を表しているかのようでね。
ちなみに露出した丸い尻尾がとってもチャーミング。
彼女のワイルドな性格とのギャップがものすごくたまらない。
それで、そんな妄想をしつつ部屋に帰って来た訳だけど。
「ピーニャさん……なんで僕の布団で寝てるの」
ピーニャさんは現在、絶賛爆睡中。
鼻ちょうちんをぷわぷわと膨らませ、布団にくるまれてとても気持ちよさそう。
確かにもう部屋は片付け終えてるけど、いくらなんでも自由過ぎない?
「ああなるとピーニャ、絶対起きない。だからここで休んでも、平気」
「あ、あはは……よくご存じですね」
「この子、えるぷりやの問題児だから。おもしろいけど。あとおもしろい。プゴォ」
「大事な事ですよね……」
そんなピーニャさんの事をレミフィさんもよく知っているようで、容赦さえしない。
初めて聞いたような笑い声と共に歩み寄り、傍に座り込んでは頬を掴んで引っ張ったり、こねくり回したり。
極めつけはその丸い尻尾で鼻をフリフリと触り、くしゃみまで誘発してみせる。
それでも起きないピーニャさんもすごいけど、いたずらをするレミフィさんもなんだかすごい。そのギャップが。
えっと彼女、冷徹姫とか呼ばれてませんでしたっけ?
「つまり、ここで何、してもイイ」
「えッ」
けどその直後、レミフィさんが今度は僕へとすり寄ってきた。
それも上目遣いで、ニタァと妖しく、八重歯の映える笑みを浮かべながら。
「どれだけ暴れてもイイ。大きな声、出してもイイ」
「さ、さすがに騒音はまずいんじゃないかな?」
「隣にも外にも聞こえない。ここは完全防音のプライベート空間。だから、何しても……イイッ!」
「うっわぁ!」
そしてとうとう、彼女の両手が僕を掴んで押し倒す。
たとえ畳の上だろうが関係無く、ただただその欲望のままに。
それで気付けば僕が見上げ、レミフィさんが跨るという状態となっていて。
「スキ、止められない。アタシ、ユメジと一つ、なりたい」
「レ、レミフィさん!? ま、待とう、僕達まだ今日出会ったばかりで……」
「この旅館はっ! 一期一会っ! 二度目あるか、わからないからあっ!」
「ひ、ひょええええ~~~!?」
「だからぁ、いっぱい、愛したげるね?」
「お、お手柔らかにお願いいたします……」
その後はもう、また彼女になされるがままだった。
……とはいえ別に性行為を行った訳じゃないのだけど。
どうやらレミフィさんの種族は、愛情表現として相手の体をあちこちと噛むらしい。
強く想う方が伴侶を噛み、噛み痕を付けて占有を示すのだそう。
この場合はもうレミフィさんが噛まないと気が済まないんだって。
とはいえ占有というのは儀式的な話で、実際に占有権が生まれる訳じゃない。
その事はレミフィさんもわかった上で、ただ噛みたくてたまらなかったのだと。
それが彼女にとっての何よりもの性的欲求だったから。
愛情の形は種族・生物にとってそれぞれ。
その事をここで改めて教えられた僕なのでした。
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる