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第3話 ピーニャさんらめええええええええ!!!!!

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「「ごちそうさまでした!」」

 なんだかんだありながらも食事を済ませ、声を合わせ締めくくる。
 思ったよりもずっと量があったので僕もピーニャさんも満足だ。

「しかしゆめじはエロいなー尻尾の触り方がとても慣れていたぞー」

 こんな事を恥ずかしげもなく言うピーニャさんの尻尾はもうフリッフリ。
 笑顔もだけど、嬉しそうに左右に揺れる尻尾が感情をしっかり教えてくれる。

「うん、昔ネコを飼っていたからね。あの時の感覚でついつい触っちゃったけど」
「ネコ!?」

 けど、こんな話題を振った途端に尻尾がピーンと伸びる。
 しかもそれどころかピーニャさんが僕に覆いかぶさるように乗りかかって来た!?

「ゆめじの世界にもピーニャみたいなネコがいるのかー!?」
「え、世界? あ、うん、まぁいるよ。ピーニャさんと違って抱えられるくらいの小ささだけど」
「見たいのだー! どんなネコなのか見てみたいのだーっ!」

 そして遂には僕の肩をガクガクと揺らしてやりたい放題。
 つか力つよっ! 首が、首が痛いです!

「わ、わかりました! わかりましたから揺らすのやめてぇ!」
「よし、すぐ見せるのだー」
「は、はい……。確かスマホにまだ写真が残っていたよな……あ、あった。これです。チロっていうんですけど」
「ぴゃーっ! きゃわいいのだあああ!!」

 ただそんなパワフルなピーニャさんもやっぱり女の子だったらしい。
 スマートフォンに残っていたネコの画像を見せてあげると、食い付くように取り上げて眺め始める。
 どうやらスマートフォンの扱いもしっかり知っているらしく、フリックして別の画像まで見ているようだ。

「はう~ん、ゆめじの世界のネコもいいのだぁ……」
「尻尾の毛の長さはピーニャさんと同じくらいだよ。長毛種でもっふもふだったんだ」
「いい趣味してるなゆめじー、お礼に尻尾でぺたぺたしてあげるのだ」

 そんな画像がピーニャさんの心を掴んだらしく、僕の膝に尻尾がぺたんぺたんと打ち付けられる。
 懐かしいなぁ、チロも昔こうやって僕に構ってくれたっけ……。

 あ、いけない涙が。

「ところでゆめじ、この後はどうする予定なのだ?」

 でもやっぱりピーニャさんは空気が読めない子だった。
 直後にはスパっと話題を切り替え、おまけに尻尾が僕の頬をぱしーんと叩いて悲壮感を叩き壊す。
 まぁあのまましみじみしちゃうよりかはずっといいけども。

「えっと……そうだなぁ、とりあえずお風呂にでも入りたい所だけど、もう疲れて歩きたくないや」
「ならいい事を教えてあーげるーのだー!」

 すると何を思ったのか、ピーニャさんが立ち上がってトテトテと部屋の奥へ。
 さっきから気になっていた障子張りの戸に手をかけ、ニタァとした顔を僕に向けてくる。

「見て驚けーなーのだー! ッバァーン!」
「えっ!? うそっ、ベランダが露天風呂になってる!?」
「ふふふー当旅館の自慢の一つなのだ!」

 そうして見せてくれたのは、ベランダの先に隠れていた石造りの露天風呂。
 外は暗くて景色が見えないけれど、雰囲気だけはもう満点の様相だ。
 すごい! こんな豪華な旅館に泊まったのは生まれて初めてだよ!

 確かに旅館の中にはこんな部屋がある所もあるけど、どれもお高くてなかなか手がでなかったものだ。
 だから夢にまで見ていたんだけど、まさかこんな唐突に叶うなんて。

 おかげでもう大興奮で立ち上がり、思うままに駆け寄っていた。
 こんなの見せられたらもう疲れなんて関係無いんだってね。

「それじゃ一緒に入るのだ」
「――え?」

 けどそんな声がふと聞こえて、僕は耳を疑う。
 それで咄嗟にピーニャさんに振り向いてみたのだが。

 なんかもうすでに着物を半分脱ぎ終えているですけど!?
 ちょ、ちょっと待って!? どういう事!?

「ちょ、待って、待ってピーニャさん、なんで脱いで!?」
「服を脱がないと温泉入れないのだ」
「だからなんで一緒に入るって、ええっ!?」

 も、もしかしてここって……そういう感じの旅館だったりしますのォォォ!? 

 僕が慌てようが恥ずかしがろうがもう彼女は止まらない。
 遂には着物を投げ捨て、下着をもババーンと脱ぎ捨ててしまった!

 で、その下にはちゃっかりと水着が。際どいけど。
 
「あ、水着着てたのね……」
「入浴用水着なのだ。ささ、ゆめじも脱ぐのだ」
「え、でも僕水着なんて――」
「ゆめじはお客様だからいらないのだ。ほら、ピーニャが脱がしてあげるのだー!」
「いいっ!?」

 しかも今度はピーニャさんの怪しい手付きが僕の服を狙う。
 わしゃわしゃと指々をくねらせ、口が裂けんばかりのニタリ顔を浮かべながら。

 そしてその手が繰り出したテクニックはもうすさまじかった。
 ちょっと手を奮うだけで僕の服が一つ、また一つポポーンと宙を舞う事に。
 極めつけはパンツ一枚となった僕にまで容赦なく目を輝かせていて。

「あ、ああ……」
「観念するのだ~! もう後には引けなーいのだー! ヒーッヒッヒ!」
「あ、ら、らめえええええええーーーーーー!!!!!」

 こうして僕はそのテクニシャンなピーニャさんの毒牙にかかり、みごと全裸にさせられてしまったのだった。
 
 なんだろう僕、嬉しいのか悲しいのかもうわかりません。
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