強くて転生わからせ魔戦王!~最強魔力を得た私は最年少で女帝を目指す。もう大人?いいえ三歳児です。ざぁこな大人どもを逆に蹴散らし屈服無双!

日奈 うさぎ

文字の大きさ
上 下
4 / 45

第4話 どうやら私は疑われているらしい

しおりを挟む
 木陰からあらわれた叔母上が私へ懐疑の眼差しを向ける。
 わずかだが魔力の波動も感じるな、警戒状態か。

 となるとどうやら、私はすでに怪しまれていたらしい。

 ならば消すか?
 ――いや、まだその判断は早い。
 余計な失踪者を出すのも面倒だし、ママ上を悲しませるのは不本意だ。

 そこでまずは様子見に、軽い言い訳で受け流そうとしてみる。

「叔母さんが何か面白そうな事をしているのだと思って。興味が湧いて付いてきてしまったんです」
「えぇしっかり見ていたわ。魔力の残滓を追って来たんでしょう? 好奇心が強いのはわかるけれど、追い方は随分と手馴れているようだったわよ?」
 
 だが藪蛇だな。
 コイツ、なかなかに賢くて用意周到だ。
 ママ上とはまさに対極の、知識と理詰めを徹底した賢者タイプの人間か。

「……それで、ここに何があるんですか?」
「ここは村の境目。つまり〝聖護防壁〟がある場所なの。姉さんか義兄さんに教えて貰わなかった? 『この領域の外に出てはいけません』って」
「あぁその事ですか。それなら確かに教えてもらいました。外は魔物で溢れていて危ないから出てはいけないのだと」

 しかし言うに事欠いて、今さら聖護防壁の話ときたか。

 聖護防壁とは、転生前に私が世界中で構築した保護領域の事。
 その中では魔物や悪人もが力を抑えられる、人の生活圏を守る代物だ。

 でもそんなもの、今どきどこにでもあるだろうに。
 意図が読めんな、一体何が言いたいのだろうか――

「ならなぜ、ここにだけ聖護防壁がの? あれは三年前、魔戦王の処刑と共に消え去ったはずなのに」
「……えっ?」
「こんな不自然な事はありえないの。私はそこに意図的な何かを感じたのよ」

 だが叔母のこんな一言を前に、私は思わず首を傾げてしまった。

 聖護防壁が、「ここだけ」残っている……!?
 どういう事だ?

 それはおかしい。
 確か聖護防壁は私が死んだ後でも機能し続けるように構築したもの。
 星を巡る霊脈に力を注いで造り上げた、星の力の産物なのだから。

「今、世界は魔物の脅威に晒されているわ。だから新たな聖護防壁を構築するべく、多くの魔術師達が研究し続けている。けれどね、この村の防壁ほど完璧なものはまだ誰にも構築できはしない!」

 ただ、こう話している内に謎が紐解けて来たぞ。

 おそらく、私の処刑に使った転送魔術が不完全だったのだろう。
 だから霊界道へ放り込む際、うっかり星との繋がりに不具合をもたらしたのだ。
 何十人もの高位魔術師を集めていたのに、まったく情けない話だな。

 となると、この村の聖護防壁が残ったのはさしずめ、私が処刑直後にここへと転生した事で維持されたからか。

 だがそう唸るのもわかるぞ。
 あの聖護防壁はすでに失われた技術『古代アルティシアン星霊特術式』を応用した私の創作秘術なのだから。
 それで凡人どもがすぐさま同じ術を使える訳もなくて憤慨しているのだろう。
 逆ギレもはなはだしい。

「そんなものが未だ残り続けている原因を探そうとしていたのだけれど、すぐに見つかって手間が省けたわ」
「あの、誤解だと思いますけど」
「そうかしら? わずか三歳で大人のようにふるまえる貴女を疑うなという方が無理な話よ。そもそも他国の言語なんて誰に教わったのかしら?」
「それはママ上から――」
「メーネス姉さんは確かに知識もあるけれど、他人に物を教えられるようなできた人間では無いわ。ダグサ義兄さんはそもそもが読み書きすら困難なド底辺クソ野郎ですしね」

 まぁその焦りはわかるのだが。
 だからと言って縁者にその言い草はちょっとひどくない?
 しかも二人の実の娘に対して。

 魔戦王だった私でもそこまでは言わないよ? 私怨入ってない?

「魔術も村長に習ったとか言っても無駄よ。あの人は確かに昔学者だったけれど、魔術に関してはからっきしで人に教えるのにも匙を投げるくらいなのだから」

 ただ、それでいて冷静ではあるのだろう。
 確実に外堀を埋めて来て、私の逃げ道を奪っていくかのようだ。
 さすが故郷だけあって、この村に関しては私よりずっと詳しいらしい。

 となるとまさに藪蛇、突いたら蛇どころか妖魔蛇バジリスクが出てきそうだ。

「……理解できる事を理解したまでです。話はそんな事だけですか? なら興味が無いから私、家事があるので帰りますね」

 だったらここは一旦引き下がった方がいい。
 よけいな言い訳を返してドツボにハマるよりもな。

「そうはいかないわ」
「……ッ!?」
「悪いけれど、貴女をもう逃がすつもりは無い」

 だがどうやら私はすでに叔母上の術中にハマっていたらしい。

 突如として、薄暗い周囲に無数の輝きがともり始めた。
 この波動はすべて、魔力かッ!?

 しかもいずれも、殺意の込められた魔導式……!
 好きな場所に設置可能な、遠隔操作型の戦闘魔術だ。

「貴様が何者かはわからない。けれどもし本物のミルカと入れ替わったなどというような事実があるのならば、今ここでアタシが貴様を滅するッ!」

 この女は本気だ。
 本気で私を殺すつもりでここに誘い込んだのだろう。

 そしてその為にあらかじめ、無数の魔導式トラップを形成していたのだ!

「我が名はアウスティア王国・第一級国家錬成術士、イーリス=イオス=アイヴィー! ミルカを名乗りし怪しき存在よ、貴様を我が名のもとに断罪しようッ!!」

 更には魔杖をも呼び出し臨戦態勢へ。
 周囲の輝きも一層強さを増し、今にも何かが放たれそうな雰囲気だ。

 しかしまさか叔母が第一級国家錬成術士とはな。
 一筋縄ではいかない相手が初手障害になるとは思いも寄らなかった。

 まったく、私は相変わらず運が無い。
 どうしてくれようか、この危機的状況……!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...