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第九章 同志達よ集え編
第116話 限界カミサマバトル勃発
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ダンタネルヴとリブレーの超絶バトルはそれはすさまじいものだった。
ダンタネルヴが鬼の形相で汚い言葉を投げ、リブレーがそれをあざ笑って返す。
そうして過激にヒートアップしながら戦いは最終局面へ。
「バーカバーカッ! リブレーのバカ生魚ーーーッ!!!」
『どの口が言うか干物クソアホンタネルヴーーーッ!!!』
「どっちもどっちらな」
すでに互いに理知的さは失われ、もはや子どもの喧嘩である。
だがそんな感情のぶつかり合いのせいか、すでに社長室は熱風と冷氷の吹き荒れる極限地帯と化してしまっている。
おかげで俺達は廊下からでの見学を余儀なく無くされていた。
「すっげえなぁ、神の喧嘩」
「脱出がちょっとでも遅れていたら危なかったね!」
「大気干渉が始まると人の体内からでも容赦なく影響を与えるからのう、その結果がアレという訳なのら」
しかし残念ながら全員無事とはいかなかった。
ウーティリスがふと指を差した方へと目を向ければ、そこには痛々しい様子が。
入口を挟んで向こうにいるのは、うつ伏せで突っ伏しているディマーユさん。
ただし左尻にドでかいツララを突き刺した状態でと、ケツを持ち上げていてとても痛そう。
それなので今はラクシュから回復魔法を受けて安静にしている。
「グルオオオオオオオ!!!!!」
『キシャアアアアアアア!!!!!』
「止まんねーな、あの二人」
「ほっとけば数年も続くくらいらしのう」
「それ、俺達とんでもない巡り合わせをやらかしちまったんじゃないか?」
「ふふっ、そうかもしれぬな」
そんなとんでもない状況なのだが、ウーティリスはなにか愉快そうだ。
神だから楽観的であるだけなのか、別の意図があるのか。
「しかしわらわは無駄とは思わぬ」
「どうして?」
「それは喧嘩の影響がこの部屋だけにしか及ぼしていないという事に理由がある」
「あ……」
そう言われてみればそうだ。
神の喧嘩は天変地異すら引き起こすもので、本来ならどんな程度だろうとこんな小さい部屋で収まるもんじゃないはず。
なら今頃、俺達だって悠長にはしていられないだろう。
だったらなぜ?
「おそらくはダンタネルヴがあの部屋にあらかじめ結界を張っておったのであろう。何があっても影響を外にもたらさぬようにとな」
「じゃあ人為的に防いでる状況って事なのか、これは」
「うむ。そしてそれはリブレーも気付いておる」
「えっ?」
それってどういう事だ?
安心して喧嘩できるとでも思っているとか?
「いいや違う。これは言うなれば、リブレーなりの恩返しみたいなものらの」
「これが恩返し、だとぉ……!?」
「まぁ落ち着いて聞いておればいずれわかろう」
「れすぅ~~~」
「私はちっともわかんないんだけどー……」
こうしている間にも扉の縁に霜がついては溶けて蒸発、そんな常軌を逸した光景が何度も繰り返されている。
そこまでの攻防となればもはや恩返しどころか意趣返しだ。
被害者が出ている以上なおさらに。
ならいったいどういう意図があるってんだリブレー?
お前は一体何をしようとしている……!?
「ゼエッ! ゼエッ!」
『ハヒッ、ハヒッ……な、情けないにもほどがあるわクソアホンタネルヴ! 久しく見ぬ内に随分と衰えたようじゃないのさ、キャハハハ!』
「キサマも信者がいなくなったせいで随分と勢いが落ちたな、ハァ、ハァ」
『あ、あちしは元々崇められる系の神じゃねーしっ!』
お、なんだ、途端に攻防が止んだ?
「……まぁ丁度いい、ここまでにするぞリブレー。今日は客人もいるのだからな」
『あちしもその客の一人なのらが……まぁよいわ。貴様の陣地内という事でここは大人しく引き下がってやるのよさ』
どうやら戦いがもう終わったらしい。
少しだけ頭を覗かせてみると、荒れた部屋の状態がみるみるうちに変わっていく。
燃え盛る炎は消え、こびりついた氷は解け、吹き荒れていた熱・冷風も勢いを落としていて。
ダンタネルヴもまた焦げて湿った服をササッと手で払い、落ち着きを取り戻したようだ。
「だがここまでだ。もうキサマとは金輪際話したくもない」
『それはあちしも一緒なのよさ。こんな埃っぽい所、誰が二度とくるもんか』
ただ仲直りしたって訳じゃなさそうだが。
なんだこれ、結局バトっただけじゃねぇか……?
『そしてお前はこの埃っぽい場所で永遠に寂しく埋もれたままでおればいいのよさ』
「なぁにぃ……!?」
『その間にあちしは人間どもの自由を解放しぃ、世界中で崇められぇ、超絶美女神リブレー様として世界に君臨するであろうっ! キャッハハハ、超楽しみぃー!!!』
「き、キサマ……!?」
リ、リブレーの奴、そんな事考えてやがったのか!?
なんてしょうもない理想なんだ……!
『ああ~ん、ざんねぇん、そうして崇められる姿をお前に見せられなくてとっても残念なのよさ~! でもお前はここでずぅ~~~っと機械いじりでもしてしょーもない武具造ってるのがお似合いなのよさぁ~~~!!! ギョッヘッヘッヘ!』
「ギ、ギ ザ マァァァ……!!! ブルオアアアアアア!!!!!」
『ギャオオオオオオン!!!!!』
オーケー、第二ラウンド開幕だな。
こうなる事は話の流れでなんとなく読んでいたよ、ははっ。
……はやく終わんねぇかなぁコレ。
それで再びの攻防は約一時間ほど続いた。
おかげでチェルトはウーティリスとお昼寝。
ニルナナカは飽きてどこかに行ってしまった。
ディマーユさんはあいかわらずラクシュに治療を受けている訳だが。
しかし一方で息切れもなんのその、二人の叫びは社長室から絶えず響き続けていたものだ。
おかげでついには雷雲まで発生し、稲妻までほとばしらせていたのだから驚きである。
しかしそれも次第に勢力を緩め、雷雲も気付けば消えていて。
「ブハッ! カハッ!」
『ヒィッ、カヒッ!』
後に残ったのは灰になったデスクやソファー達。
部屋自体はあいかわらず保護されていて無事だが、内装は完全に終わっている。
よくまぁここまで盛大にやらかしたもんだよ。
あっ、よく見たらダンタネルヴのボトムが破れてケツが丸見えじゃねぇか!
ちくしょう! 野郎のケツは見ないで済んだと思ってたのにィィィ!!!
『し、仕方ないからこれで終わりにしておいてやるのよさ! まぁせいぜい指を咥えて見ていればいいわ!』
「ぬぅぅぅ~~~! やらせん、そんな事など吾人がやらせんぞッ! 絶対になぁ!」
「お、なんだ、妙な風向きになってきてないか?」
「んあ……おお、うまい事リブレーが誘い込んだのう。さすがは誘いの象徴よ」
まさかとは思ったが、ウーティリスの言う恩返しってのは本当なようだ。
どうやらリブレーの奴、意外にも相当したたかだったらしい。
あいつ、自らの悪態で俺達が望む形に軌道修正しやがった……!
……実は俺達にとっても鍛冶神の力は必要だった。
彼が造る武具はデザインこそともかく、性能は折り紙付きという事でな。
なにせたとえ普通の鉄を打ったとしても、現状で知られる最高峰の伝説級金属アダマンチウム製品を越える装備に仕上げちまう。
素材特製さえ極限強化してしまうその能力は、あの神を封じたゲールトと戦おうとしている今の俺達にとって必須要素だと言えるだろう。
だからこそ誘いを断られた時は残念で仕方がなかった。
先に掘りだしちまったモーリアンに嫉妬しちまうくらいにな。
だがその結論をまさかあのリブレーが覆すとは思わなかったぜ。
「ウーティリィィィスッ! 吾人は決めたぞッ! お前達に力を貸してやるッ! あンの魚類をのさばらせるのだけは絶対ゼッタイぜぇ~~~ったいに我慢ならんッ!!!」
「わーいやったー(棒)」
「欲しいのはなんだ!? 最強の剣か!? 防具か!? なんでも造ってやるよォォォ!!!!!」
「もう紳士さが欠片も残ってねぇじゃねぇか……」
まぁちとダンタネルヴ自体が目を血走らせてぶっ飛んでる訳だが。
よほどリブレーに好き勝手させるのが気に喰わないらしい。
しかしリブレー自身はと言えば途端に黙っちまってる。
こりゃ陰で「してやったり」とほくそ笑んでるのは想像に容易いな。
そのあくどさに今は感謝しよう。
俺達が願っていた形に見事持って行ってくれた事にな。
ダンタネルヴが鬼の形相で汚い言葉を投げ、リブレーがそれをあざ笑って返す。
そうして過激にヒートアップしながら戦いは最終局面へ。
「バーカバーカッ! リブレーのバカ生魚ーーーッ!!!」
『どの口が言うか干物クソアホンタネルヴーーーッ!!!』
「どっちもどっちらな」
すでに互いに理知的さは失われ、もはや子どもの喧嘩である。
だがそんな感情のぶつかり合いのせいか、すでに社長室は熱風と冷氷の吹き荒れる極限地帯と化してしまっている。
おかげで俺達は廊下からでの見学を余儀なく無くされていた。
「すっげえなぁ、神の喧嘩」
「脱出がちょっとでも遅れていたら危なかったね!」
「大気干渉が始まると人の体内からでも容赦なく影響を与えるからのう、その結果がアレという訳なのら」
しかし残念ながら全員無事とはいかなかった。
ウーティリスがふと指を差した方へと目を向ければ、そこには痛々しい様子が。
入口を挟んで向こうにいるのは、うつ伏せで突っ伏しているディマーユさん。
ただし左尻にドでかいツララを突き刺した状態でと、ケツを持ち上げていてとても痛そう。
それなので今はラクシュから回復魔法を受けて安静にしている。
「グルオオオオオオオ!!!!!」
『キシャアアアアアアア!!!!!』
「止まんねーな、あの二人」
「ほっとけば数年も続くくらいらしのう」
「それ、俺達とんでもない巡り合わせをやらかしちまったんじゃないか?」
「ふふっ、そうかもしれぬな」
そんなとんでもない状況なのだが、ウーティリスはなにか愉快そうだ。
神だから楽観的であるだけなのか、別の意図があるのか。
「しかしわらわは無駄とは思わぬ」
「どうして?」
「それは喧嘩の影響がこの部屋だけにしか及ぼしていないという事に理由がある」
「あ……」
そう言われてみればそうだ。
神の喧嘩は天変地異すら引き起こすもので、本来ならどんな程度だろうとこんな小さい部屋で収まるもんじゃないはず。
なら今頃、俺達だって悠長にはしていられないだろう。
だったらなぜ?
「おそらくはダンタネルヴがあの部屋にあらかじめ結界を張っておったのであろう。何があっても影響を外にもたらさぬようにとな」
「じゃあ人為的に防いでる状況って事なのか、これは」
「うむ。そしてそれはリブレーも気付いておる」
「えっ?」
それってどういう事だ?
安心して喧嘩できるとでも思っているとか?
「いいや違う。これは言うなれば、リブレーなりの恩返しみたいなものらの」
「これが恩返し、だとぉ……!?」
「まぁ落ち着いて聞いておればいずれわかろう」
「れすぅ~~~」
「私はちっともわかんないんだけどー……」
こうしている間にも扉の縁に霜がついては溶けて蒸発、そんな常軌を逸した光景が何度も繰り返されている。
そこまでの攻防となればもはや恩返しどころか意趣返しだ。
被害者が出ている以上なおさらに。
ならいったいどういう意図があるってんだリブレー?
お前は一体何をしようとしている……!?
「ゼエッ! ゼエッ!」
『ハヒッ、ハヒッ……な、情けないにもほどがあるわクソアホンタネルヴ! 久しく見ぬ内に随分と衰えたようじゃないのさ、キャハハハ!』
「キサマも信者がいなくなったせいで随分と勢いが落ちたな、ハァ、ハァ」
『あ、あちしは元々崇められる系の神じゃねーしっ!』
お、なんだ、途端に攻防が止んだ?
「……まぁ丁度いい、ここまでにするぞリブレー。今日は客人もいるのだからな」
『あちしもその客の一人なのらが……まぁよいわ。貴様の陣地内という事でここは大人しく引き下がってやるのよさ』
どうやら戦いがもう終わったらしい。
少しだけ頭を覗かせてみると、荒れた部屋の状態がみるみるうちに変わっていく。
燃え盛る炎は消え、こびりついた氷は解け、吹き荒れていた熱・冷風も勢いを落としていて。
ダンタネルヴもまた焦げて湿った服をササッと手で払い、落ち着きを取り戻したようだ。
「だがここまでだ。もうキサマとは金輪際話したくもない」
『それはあちしも一緒なのよさ。こんな埃っぽい所、誰が二度とくるもんか』
ただ仲直りしたって訳じゃなさそうだが。
なんだこれ、結局バトっただけじゃねぇか……?
『そしてお前はこの埃っぽい場所で永遠に寂しく埋もれたままでおればいいのよさ』
「なぁにぃ……!?」
『その間にあちしは人間どもの自由を解放しぃ、世界中で崇められぇ、超絶美女神リブレー様として世界に君臨するであろうっ! キャッハハハ、超楽しみぃー!!!』
「き、キサマ……!?」
リ、リブレーの奴、そんな事考えてやがったのか!?
なんてしょうもない理想なんだ……!
『ああ~ん、ざんねぇん、そうして崇められる姿をお前に見せられなくてとっても残念なのよさ~! でもお前はここでずぅ~~~っと機械いじりでもしてしょーもない武具造ってるのがお似合いなのよさぁ~~~!!! ギョッヘッヘッヘ!』
「ギ、ギ ザ マァァァ……!!! ブルオアアアアアア!!!!!」
『ギャオオオオオオン!!!!!』
オーケー、第二ラウンド開幕だな。
こうなる事は話の流れでなんとなく読んでいたよ、ははっ。
……はやく終わんねぇかなぁコレ。
それで再びの攻防は約一時間ほど続いた。
おかげでチェルトはウーティリスとお昼寝。
ニルナナカは飽きてどこかに行ってしまった。
ディマーユさんはあいかわらずラクシュに治療を受けている訳だが。
しかし一方で息切れもなんのその、二人の叫びは社長室から絶えず響き続けていたものだ。
おかげでついには雷雲まで発生し、稲妻までほとばしらせていたのだから驚きである。
しかしそれも次第に勢力を緩め、雷雲も気付けば消えていて。
「ブハッ! カハッ!」
『ヒィッ、カヒッ!』
後に残ったのは灰になったデスクやソファー達。
部屋自体はあいかわらず保護されていて無事だが、内装は完全に終わっている。
よくまぁここまで盛大にやらかしたもんだよ。
あっ、よく見たらダンタネルヴのボトムが破れてケツが丸見えじゃねぇか!
ちくしょう! 野郎のケツは見ないで済んだと思ってたのにィィィ!!!
『し、仕方ないからこれで終わりにしておいてやるのよさ! まぁせいぜい指を咥えて見ていればいいわ!』
「ぬぅぅぅ~~~! やらせん、そんな事など吾人がやらせんぞッ! 絶対になぁ!」
「お、なんだ、妙な風向きになってきてないか?」
「んあ……おお、うまい事リブレーが誘い込んだのう。さすがは誘いの象徴よ」
まさかとは思ったが、ウーティリスの言う恩返しってのは本当なようだ。
どうやらリブレーの奴、意外にも相当したたかだったらしい。
あいつ、自らの悪態で俺達が望む形に軌道修正しやがった……!
……実は俺達にとっても鍛冶神の力は必要だった。
彼が造る武具はデザインこそともかく、性能は折り紙付きという事でな。
なにせたとえ普通の鉄を打ったとしても、現状で知られる最高峰の伝説級金属アダマンチウム製品を越える装備に仕上げちまう。
素材特製さえ極限強化してしまうその能力は、あの神を封じたゲールトと戦おうとしている今の俺達にとって必須要素だと言えるだろう。
だからこそ誘いを断られた時は残念で仕方がなかった。
先に掘りだしちまったモーリアンに嫉妬しちまうくらいにな。
だがその結論をまさかあのリブレーが覆すとは思わなかったぜ。
「ウーティリィィィスッ! 吾人は決めたぞッ! お前達に力を貸してやるッ! あンの魚類をのさばらせるのだけは絶対ゼッタイぜぇ~~~ったいに我慢ならんッ!!!」
「わーいやったー(棒)」
「欲しいのはなんだ!? 最強の剣か!? 防具か!? なんでも造ってやるよォォォ!!!!!」
「もう紳士さが欠片も残ってねぇじゃねぇか……」
まぁちとダンタネルヴ自体が目を血走らせてぶっ飛んでる訳だが。
よほどリブレーに好き勝手させるのが気に喰わないらしい。
しかしリブレー自身はと言えば途端に黙っちまってる。
こりゃ陰で「してやったり」とほくそ笑んでるのは想像に容易いな。
そのあくどさに今は感謝しよう。
俺達が願っていた形に見事持って行ってくれた事にな。
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