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第八章 古代神復活計画編
第97話 海中ダンジョンへ侵入せよ!
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ついに海中ダンジョンへの道が開いた。
船も穴の内壁面に錨をかける事で固定できたらしい。
なので後はこの穴を降りればいい訳なのだが……。
ちと少ししくじってしまい、降りるにしろ難儀しそうだ。
「すまねぇ! 勢いで掘っちまったから穴がほぼ垂直状態だ!」
当然ながら壁面には足をかける所一つすらありはしない。
だからと安易に飛び降りればダンジョンの入口に墜落してトマトジュースだろう。
下手すると足場にも乗れずに深海へ突入し、一瞬にして水圧で潰されかねん。
こりゃあやっちまったかな……。
「案ずるな、こうなる事はすでに想定済みだ」
「えっ?」
「お前達には空を飛べる心強い仲間がいるだろう?」
「あ……そうか、ニルナナカか!」
「れすぅ~~~!」
そうか、その手があった!
……ただ、なんだ?
いくらニルナナカとはいえ人を運ぶのは難儀するだろ……?
「何を心配しておるラング。ニルナナカのパワーはすでに知っておろう?」
「へ?」
「ダンジョンの岩盤を踏ん張るだけで破壊し、一区画を崩落させるほどぞ」
「あー……」
ああ~そういえばそんな事ありましたねぇ!
死に物狂いで逃げたあの出来事が!
――え、待って?
あれ本当にニルナナカが力だけでやり遂げたって事?
あのゆるゆるっ娘が怪力の権化って事なの?
「れすぅ~~~!」
「すでに全員乗れる台をここに用意してある。後はこれをニルナナカが下げつつ穴を滑空して降りればいいだけだ」
「すごく単純なんだけど明らかに構図が間違ってる!」
たしかに縄が括りつけられた木の板がある。
だけど普通に何人も乗れるくらい大きいし厚い。
それに縄も人の腕くらい太いんだけど!?
ニルナナカってこれ持って空飛べるのかよ!? 冗談だろ!?
「まぁ冗談かどうかは実際に見ればわかるだろう」
「そ、そうっすね……」
「それで侵入要員なのだが、ラングを筆頭に、ニルナナカ、チェルト、ラクシュ、あと干物になっているがウーティリス。そしてもう一人、商会の仲間を連れてきている」
「お?」
まだいつものメンバーなら身軽だからわからないでもない。
けどもう一人だって?
俺の知らない奴が来るのか?
「オラが来たんですねーっ!」
「うおっ、でけっ……!」
それで誰かが近づいてきたと思えば、これまたデカい奴がやってきた。
背丈がニルナナカにも負けない、筋肉の塊みたいな大男だ。
ただそれでいて表情がすっごいピュアッピュアなんだが!?
小さく丸い目がくりんとしていて笑顔が眩しい!
頭頂部にだけツンツンしている赤茶色い短毛が無駄に特徴的だよ!
「クリン=ナッシュっていうんですねーっ! よろしくですねーっ!」
名前もクリンなのかよ!
名が体を現しすぎて困惑しちまうよ!
「こやつも神依人でな、元々はギルド所属のA級勇者だ。しかし色々あって才能をはく奪される前に脱走し、そのまま我の軍門に下ったという訳だ」
「会長には頭が下がる想いなんですねーっ! だからラングさんには全力で応える腹づもりなんですねーっ!」
「お、おう、よろしくなクリンさんよ」
まぁなんにせよ頼もしい事に変わりはないか。
これでA級勇者三人に俺、と戦力的には申し分ないだろう。
あれ、でもディマーユさん自身がカウントされていないが?
「師匠は来ないんで?」
「ああ。我にもし万が一の事があればリミュネール商会が瓦解してしまうからな」
「だから俺みたいな実行役が必要だったって訳だ」
「うむ。それに船頭が残らなければ戻り場所の保証もできまい?」
「たしかに」
なるほど、ディマーユさんにはディマーユさんなりの役目があるって事か。
なら今回は俺達だけでやりきるとしよう。
あとはこれから入るダンジョンが上級クラスなら問題もないんだろうが。
「それと変に気を抜かぬようあらかじめ言っておく。今回のダンジョンは超級クラスだと思え」
「ですよねぇ……」
「長く放置されたのにはそういった理由もあったからな」
やっぱりそう来たか。
となると俺の無限穴掘りでスパッと奥まで行った方がいいな。
「それにもう一つだが……ここではラングのスキルによるショートカットは望めん。心しておけ」
「え……!?」
なに……!?
そ、それは一体どういう事だ!?
「今回のダンジョンもおそらくこの次元連掘の穴と同じ原理で構築されているはず。よって下手に穴を深く掘ってしまえば海中へ逆戻りとなりかねん」
「あ、そうか……」
「それに次元連掘は連発できない上に自在屈掘との併用が難しい。しかしそれを行うための経験がまだラングには不足している」
「なるほど、そこで欲を出せば一瞬で海の藻屑か……そいつぁたしかにリスキーだぜ」
つまりこの海ダンジョンにおいては俺の能力はほぼ役に立たない。
せいぜい魔物を掘るくらいだろうな。
だとすると事実上はA級勇者三人だけで攻略、か。
たしかディーフさんいわく、超級ってのは攻略にA級勇者が大勢導入されたって話だが、本当に大丈夫なのだろうか?
「まぁ戦いに関しては心配しておらん。ニルナナカがいるからな」
「れすぅ~~~!」
「そこでもニルナナカなの!? どんだけ買ってるのあの娘!?」
ちと普段のアイツを知ってるからとても信じられん。
いつもはただ歩くだけだし、動きものそっこいし堕肉だし。
あ、でもスキルを飛ばしてきた手首のスナップには異様なキレがあったな。
あのスナップを体現した力、信じてみるか……!
「よし、では全員足場台に乗れ! ニルナナカも彼らを落とさないよう気を付けてくれよ?」
「了解れすぅ~~~」
とにかく機は熟した。
そう言わんばかりの号令の下、俺達は足場台へと乗り込む。
その最中にも船員が縄を持ち上げ、空を飛ぶニルナナカへと伸ばした。
それでニルナナカが縄を掴み、翼を強く羽ばたき始めたのだが。
「う、うおおお!?」
「浮いたぁ!」
「さすがなんですねーっ!」
俺達四人と一干物を乗せていてもなお、足場台がふわりと宙へ。
そのままゆっくりと海穴へと向けて移動していく。
「落ちると危ないれすからぁ~~~縄を掴んでいて欲しいれ、すぅ~~~」
見上げればニルナナカが安定の飛行を見せてくれていた。
というか羽ばたきが豪快すぎて強風が吹き荒れているんだけど!?
本気で危ないので縄を掴んで身を守る。
そうする中で俺達はついに穴へと侵入を果たしていた。
「がんばってこいよ~~~あとお土産に期待しているからなぁ~~~!」
ったく師匠め、気軽に言ってくれちゃってよぉ。
こちとら決死の覚悟なんだからそんな余裕があるかどうか。
まぁいい、俺としても初めての素の探索なんだ。
今回はちと楽しませてもらうとしよう。
俺自身が採掘士としてどこまでダンジョンに通用するかを確かめながらな。
「見てあれ! 明かりが差し込んでる横穴があるよ!」
――お、思っていたよりずっと近い位置に入口があったな。
スキルと言えど距離感までは教えてくれないか。
「ニルナナカ、あの穴に入れるか?」
「おまかせれすぅ~~~!」
とはいえ入るのには何の支障もなかった。
なにせ入口はざっと見て「手を広げた人間一〇人が並んで入れる」くらいの高さと幅があったのだから。
おかげで悠々と着地を果たし、ダンジョンの奥を見据えられた。
幸い、入口付近に魔物の影はない。ここは安全地帯なようだ。
「よし……それじゃあみんな、俺達だけでの超級ダンジョン攻略だ。気を引き締めていくぞ!」
「「「おおーっ!」」」
「目標は海神リブレー復活! これだけは忘れるんじゃあねぇぞ!」
今回は時間制限こそないが、なにぶん相手が強力で油断ならない。
だからこそみんなで声を合わせて士気を整えるのだ。
無事に目的を果たし、全員が生きて帰る為にも。
船も穴の内壁面に錨をかける事で固定できたらしい。
なので後はこの穴を降りればいい訳なのだが……。
ちと少ししくじってしまい、降りるにしろ難儀しそうだ。
「すまねぇ! 勢いで掘っちまったから穴がほぼ垂直状態だ!」
当然ながら壁面には足をかける所一つすらありはしない。
だからと安易に飛び降りればダンジョンの入口に墜落してトマトジュースだろう。
下手すると足場にも乗れずに深海へ突入し、一瞬にして水圧で潰されかねん。
こりゃあやっちまったかな……。
「案ずるな、こうなる事はすでに想定済みだ」
「えっ?」
「お前達には空を飛べる心強い仲間がいるだろう?」
「あ……そうか、ニルナナカか!」
「れすぅ~~~!」
そうか、その手があった!
……ただ、なんだ?
いくらニルナナカとはいえ人を運ぶのは難儀するだろ……?
「何を心配しておるラング。ニルナナカのパワーはすでに知っておろう?」
「へ?」
「ダンジョンの岩盤を踏ん張るだけで破壊し、一区画を崩落させるほどぞ」
「あー……」
ああ~そういえばそんな事ありましたねぇ!
死に物狂いで逃げたあの出来事が!
――え、待って?
あれ本当にニルナナカが力だけでやり遂げたって事?
あのゆるゆるっ娘が怪力の権化って事なの?
「れすぅ~~~!」
「すでに全員乗れる台をここに用意してある。後はこれをニルナナカが下げつつ穴を滑空して降りればいいだけだ」
「すごく単純なんだけど明らかに構図が間違ってる!」
たしかに縄が括りつけられた木の板がある。
だけど普通に何人も乗れるくらい大きいし厚い。
それに縄も人の腕くらい太いんだけど!?
ニルナナカってこれ持って空飛べるのかよ!? 冗談だろ!?
「まぁ冗談かどうかは実際に見ればわかるだろう」
「そ、そうっすね……」
「それで侵入要員なのだが、ラングを筆頭に、ニルナナカ、チェルト、ラクシュ、あと干物になっているがウーティリス。そしてもう一人、商会の仲間を連れてきている」
「お?」
まだいつものメンバーなら身軽だからわからないでもない。
けどもう一人だって?
俺の知らない奴が来るのか?
「オラが来たんですねーっ!」
「うおっ、でけっ……!」
それで誰かが近づいてきたと思えば、これまたデカい奴がやってきた。
背丈がニルナナカにも負けない、筋肉の塊みたいな大男だ。
ただそれでいて表情がすっごいピュアッピュアなんだが!?
小さく丸い目がくりんとしていて笑顔が眩しい!
頭頂部にだけツンツンしている赤茶色い短毛が無駄に特徴的だよ!
「クリン=ナッシュっていうんですねーっ! よろしくですねーっ!」
名前もクリンなのかよ!
名が体を現しすぎて困惑しちまうよ!
「こやつも神依人でな、元々はギルド所属のA級勇者だ。しかし色々あって才能をはく奪される前に脱走し、そのまま我の軍門に下ったという訳だ」
「会長には頭が下がる想いなんですねーっ! だからラングさんには全力で応える腹づもりなんですねーっ!」
「お、おう、よろしくなクリンさんよ」
まぁなんにせよ頼もしい事に変わりはないか。
これでA級勇者三人に俺、と戦力的には申し分ないだろう。
あれ、でもディマーユさん自身がカウントされていないが?
「師匠は来ないんで?」
「ああ。我にもし万が一の事があればリミュネール商会が瓦解してしまうからな」
「だから俺みたいな実行役が必要だったって訳だ」
「うむ。それに船頭が残らなければ戻り場所の保証もできまい?」
「たしかに」
なるほど、ディマーユさんにはディマーユさんなりの役目があるって事か。
なら今回は俺達だけでやりきるとしよう。
あとはこれから入るダンジョンが上級クラスなら問題もないんだろうが。
「それと変に気を抜かぬようあらかじめ言っておく。今回のダンジョンは超級クラスだと思え」
「ですよねぇ……」
「長く放置されたのにはそういった理由もあったからな」
やっぱりそう来たか。
となると俺の無限穴掘りでスパッと奥まで行った方がいいな。
「それにもう一つだが……ここではラングのスキルによるショートカットは望めん。心しておけ」
「え……!?」
なに……!?
そ、それは一体どういう事だ!?
「今回のダンジョンもおそらくこの次元連掘の穴と同じ原理で構築されているはず。よって下手に穴を深く掘ってしまえば海中へ逆戻りとなりかねん」
「あ、そうか……」
「それに次元連掘は連発できない上に自在屈掘との併用が難しい。しかしそれを行うための経験がまだラングには不足している」
「なるほど、そこで欲を出せば一瞬で海の藻屑か……そいつぁたしかにリスキーだぜ」
つまりこの海ダンジョンにおいては俺の能力はほぼ役に立たない。
せいぜい魔物を掘るくらいだろうな。
だとすると事実上はA級勇者三人だけで攻略、か。
たしかディーフさんいわく、超級ってのは攻略にA級勇者が大勢導入されたって話だが、本当に大丈夫なのだろうか?
「まぁ戦いに関しては心配しておらん。ニルナナカがいるからな」
「れすぅ~~~!」
「そこでもニルナナカなの!? どんだけ買ってるのあの娘!?」
ちと普段のアイツを知ってるからとても信じられん。
いつもはただ歩くだけだし、動きものそっこいし堕肉だし。
あ、でもスキルを飛ばしてきた手首のスナップには異様なキレがあったな。
あのスナップを体現した力、信じてみるか……!
「よし、では全員足場台に乗れ! ニルナナカも彼らを落とさないよう気を付けてくれよ?」
「了解れすぅ~~~」
とにかく機は熟した。
そう言わんばかりの号令の下、俺達は足場台へと乗り込む。
その最中にも船員が縄を持ち上げ、空を飛ぶニルナナカへと伸ばした。
それでニルナナカが縄を掴み、翼を強く羽ばたき始めたのだが。
「う、うおおお!?」
「浮いたぁ!」
「さすがなんですねーっ!」
俺達四人と一干物を乗せていてもなお、足場台がふわりと宙へ。
そのままゆっくりと海穴へと向けて移動していく。
「落ちると危ないれすからぁ~~~縄を掴んでいて欲しいれ、すぅ~~~」
見上げればニルナナカが安定の飛行を見せてくれていた。
というか羽ばたきが豪快すぎて強風が吹き荒れているんだけど!?
本気で危ないので縄を掴んで身を守る。
そうする中で俺達はついに穴へと侵入を果たしていた。
「がんばってこいよ~~~あとお土産に期待しているからなぁ~~~!」
ったく師匠め、気軽に言ってくれちゃってよぉ。
こちとら決死の覚悟なんだからそんな余裕があるかどうか。
まぁいい、俺としても初めての素の探索なんだ。
今回はちと楽しませてもらうとしよう。
俺自身が採掘士としてどこまでダンジョンに通用するかを確かめながらな。
「見てあれ! 明かりが差し込んでる横穴があるよ!」
――お、思っていたよりずっと近い位置に入口があったな。
スキルと言えど距離感までは教えてくれないか。
「ニルナナカ、あの穴に入れるか?」
「おまかせれすぅ~~~!」
とはいえ入るのには何の支障もなかった。
なにせ入口はざっと見て「手を広げた人間一〇人が並んで入れる」くらいの高さと幅があったのだから。
おかげで悠々と着地を果たし、ダンジョンの奥を見据えられた。
幸い、入口付近に魔物の影はない。ここは安全地帯なようだ。
「よし……それじゃあみんな、俺達だけでの超級ダンジョン攻略だ。気を引き締めていくぞ!」
「「「おおーっ!」」」
「目標は海神リブレー復活! これだけは忘れるんじゃあねぇぞ!」
今回は時間制限こそないが、なにぶん相手が強力で油断ならない。
だからこそみんなで声を合わせて士気を整えるのだ。
無事に目的を果たし、全員が生きて帰る為にも。
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