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第七章 遠い異国への旅立ち編
第85話 本物よりもずっとヒロイック
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街で大騒ぎが起きていた。
それでその原因が何かをニルナナカが飛んで見てきたらしいのだが。
その中心には、なんとダンジョンブレイカーがいたらしい。
それは一体どういう事だ!?
俺は今ここにいるんだぞ!?
じゃあまさか俺を騙った偽物……!?
でもなんでこの地に?
俺はまだヴィンザルムで活動していないから誰も知らないはずなのに。
「よし、意地でもここを潜り抜けて見に行くぞ」
「わかったのら!」
「ウーちゃんは私が守るからラングは先行して!」
「おう!」
だから確かめねばならん。
ダンジョンブレイカーの装いをした誰が、何の目的で騒いでいるのか。
場合によっちゃ、タダでは済まさねぇぞ!(チェルトが)
そんな想いで野次馬を掻き分け進む。
文句を言われようがおかまいなしだ。
それで肉の壁を乗り越え、ついに中心部へと到達したのだが。
「――この野郎ッ!」
「ハッハッハーその程度か! 目を瞑っていても避けられるぞ!」
「チクショウがあっ!」
「それでも君達は勇者なのかな? ハッ!」
「うっげぇ!?」
なんか本当にいた。
しかも勇者と思われる相手達に囲まれながらも圧倒している。
青いマフラーにトレードマークの仮面。
そしてなぜか際どいブーメランパンツ一丁。
おまけに細くとも筋肉質でもう完全に変態じゃねぇかこれェ!
ニルナナカ、お前もしかして……俺が同じように見えてたの?
お前にはこれがダンジョンブレイカーに見えたの???
「その程度ではこのダンジョンブレイカーを倒す事はできないっ!」
うわぁマジで名乗りやがったアイツ!
無駄に爽やかだし、一体なんなの!?
「チクショウ! こうなったら……!」
「キツロッゴさん! 頼みますぅ!」
「ククク、どうやらこの俺、A級勇者キツロッゴの出番が来たようだな……!」
ウッ、なんだ、勇者どものを親玉が出てきた!?
A級勇者……そんなのを相手にして勝てるのかよアイツ!?
「今すぐキサマを血祭りにあげてぇ!」
「御託はいい、かかって来るんだ! 私は悪に屈しない!」
あ、でもなんかカッコよく見えてきたぞ、あの偽物。
スマートに立って腕を組みながら人差し指を差すポーズ、あれは見習いたい。
つぅか本物よりヒロイックってどういう事なんだよ!?
「このヤロォ……ブッ殺してやるッ!」
だが相手は筋骨隆々ですさまじい殺気を放っている。
あんな奴が相手じゃあの偽物でも――
――え?
「私はたとえ強敵であろうと立ち向かう。それが正義であり、勇者であり、人々を守りたいと願う信念なのだから……! ハァァァァァァ!!!」
ば、バカな、あの偽物……命波を放っている!?
あの緑色の輝きは間違いない!
それをなぜ俺の偽物が!?
「ハァーーーーーーッ!!!!!」
そんな偽物がすさまじい速さで飛び跳ね、空中でクルリと一回転。
直後、伸ばした片足を相手へと向け、一気に急降下。
そして直撃。
すさまじい衝撃波と共に、あのA級勇者がブッ飛ばされた!
「うっぎゃああああああ!!?」
「ば、バカなっ!? あのキツロッゴさんが!?」
「奴は化け物だ! 逃げろォーっ!」
圧倒的だ。
あの強さ、間違いなくディーフさんに匹敵する。
いや、命波が使えるならそれ以上かもしれん。
なら奴は一体、何者なんだ……!?
「すげえぞアンタ! あの横暴勇者どもをよくやってくれたあ!」
「ありがとう! ありがとう!」
「たしかダンジョンブレイカーとか名乗ってたよな!?」
「ありがとう、俺達の英雄ダンジョンブレイカー!」
「あっはっは、皆さん落ち着いて! これからは私が皆さんをお守りしますから安心してください! 私は皆さんの生活の味方です!」
締めにはこうして民衆に讃えられている。
俺が活躍するよりも先に。
奴の目的は一体……。
まさか俺をおとしめるためのギルドの罠?
いや、それならなぜ勇者どもを蹴散らした?
もしかしてディマーユさんの作戦の内なのか?
ダメだわからん!
「おや、君は……ハーベスターのラング君じゃあないか!」
「――え?」
「いやぁまさかこんな所で会うなんて奇遇だなぁ」
「は!?」
だが今、奴の目が俺を捉えていた。
それどころか名前まで呼び、ズンズンと近づいて来るんだが?
「あの明るい姪さんや、おお、チェルト君までいるじゃないか。もしかして新婚旅行だったりするのかい? ふふっ」
「え、ちょ」
「あっはっは! なぁに怖がる必要はないよ! 私もワイスレットから来たからね!」
「ぇええっ!?」
「ここで話すのもなんだから茶屋に行こう! せっかくだから色々話を聞きたいと思っていたんだ!」
な、なんなんだこの偽物!?
妙に馴れ馴れしいけど俺の知り合いなの!?
俺の事をよく知ってる風なんだけど!?
なのに俺、コイツの事まったくわかんないんだけどォォォーーー!?
だけど偽物とはいえ親切そうだったから無碍にはできず。
そこで俺達は彼に連れられ、ひと気の少ない喫茶店へと足を運んだのだった。
それでその原因が何かをニルナナカが飛んで見てきたらしいのだが。
その中心には、なんとダンジョンブレイカーがいたらしい。
それは一体どういう事だ!?
俺は今ここにいるんだぞ!?
じゃあまさか俺を騙った偽物……!?
でもなんでこの地に?
俺はまだヴィンザルムで活動していないから誰も知らないはずなのに。
「よし、意地でもここを潜り抜けて見に行くぞ」
「わかったのら!」
「ウーちゃんは私が守るからラングは先行して!」
「おう!」
だから確かめねばならん。
ダンジョンブレイカーの装いをした誰が、何の目的で騒いでいるのか。
場合によっちゃ、タダでは済まさねぇぞ!(チェルトが)
そんな想いで野次馬を掻き分け進む。
文句を言われようがおかまいなしだ。
それで肉の壁を乗り越え、ついに中心部へと到達したのだが。
「――この野郎ッ!」
「ハッハッハーその程度か! 目を瞑っていても避けられるぞ!」
「チクショウがあっ!」
「それでも君達は勇者なのかな? ハッ!」
「うっげぇ!?」
なんか本当にいた。
しかも勇者と思われる相手達に囲まれながらも圧倒している。
青いマフラーにトレードマークの仮面。
そしてなぜか際どいブーメランパンツ一丁。
おまけに細くとも筋肉質でもう完全に変態じゃねぇかこれェ!
ニルナナカ、お前もしかして……俺が同じように見えてたの?
お前にはこれがダンジョンブレイカーに見えたの???
「その程度ではこのダンジョンブレイカーを倒す事はできないっ!」
うわぁマジで名乗りやがったアイツ!
無駄に爽やかだし、一体なんなの!?
「チクショウ! こうなったら……!」
「キツロッゴさん! 頼みますぅ!」
「ククク、どうやらこの俺、A級勇者キツロッゴの出番が来たようだな……!」
ウッ、なんだ、勇者どものを親玉が出てきた!?
A級勇者……そんなのを相手にして勝てるのかよアイツ!?
「今すぐキサマを血祭りにあげてぇ!」
「御託はいい、かかって来るんだ! 私は悪に屈しない!」
あ、でもなんかカッコよく見えてきたぞ、あの偽物。
スマートに立って腕を組みながら人差し指を差すポーズ、あれは見習いたい。
つぅか本物よりヒロイックってどういう事なんだよ!?
「このヤロォ……ブッ殺してやるッ!」
だが相手は筋骨隆々ですさまじい殺気を放っている。
あんな奴が相手じゃあの偽物でも――
――え?
「私はたとえ強敵であろうと立ち向かう。それが正義であり、勇者であり、人々を守りたいと願う信念なのだから……! ハァァァァァァ!!!」
ば、バカな、あの偽物……命波を放っている!?
あの緑色の輝きは間違いない!
それをなぜ俺の偽物が!?
「ハァーーーーーーッ!!!!!」
そんな偽物がすさまじい速さで飛び跳ね、空中でクルリと一回転。
直後、伸ばした片足を相手へと向け、一気に急降下。
そして直撃。
すさまじい衝撃波と共に、あのA級勇者がブッ飛ばされた!
「うっぎゃああああああ!!?」
「ば、バカなっ!? あのキツロッゴさんが!?」
「奴は化け物だ! 逃げろォーっ!」
圧倒的だ。
あの強さ、間違いなくディーフさんに匹敵する。
いや、命波が使えるならそれ以上かもしれん。
なら奴は一体、何者なんだ……!?
「すげえぞアンタ! あの横暴勇者どもをよくやってくれたあ!」
「ありがとう! ありがとう!」
「たしかダンジョンブレイカーとか名乗ってたよな!?」
「ありがとう、俺達の英雄ダンジョンブレイカー!」
「あっはっは、皆さん落ち着いて! これからは私が皆さんをお守りしますから安心してください! 私は皆さんの生活の味方です!」
締めにはこうして民衆に讃えられている。
俺が活躍するよりも先に。
奴の目的は一体……。
まさか俺をおとしめるためのギルドの罠?
いや、それならなぜ勇者どもを蹴散らした?
もしかしてディマーユさんの作戦の内なのか?
ダメだわからん!
「おや、君は……ハーベスターのラング君じゃあないか!」
「――え?」
「いやぁまさかこんな所で会うなんて奇遇だなぁ」
「は!?」
だが今、奴の目が俺を捉えていた。
それどころか名前まで呼び、ズンズンと近づいて来るんだが?
「あの明るい姪さんや、おお、チェルト君までいるじゃないか。もしかして新婚旅行だったりするのかい? ふふっ」
「え、ちょ」
「あっはっは! なぁに怖がる必要はないよ! 私もワイスレットから来たからね!」
「ぇええっ!?」
「ここで話すのもなんだから茶屋に行こう! せっかくだから色々話を聞きたいと思っていたんだ!」
な、なんなんだこの偽物!?
妙に馴れ馴れしいけど俺の知り合いなの!?
俺の事をよく知ってる風なんだけど!?
なのに俺、コイツの事まったくわかんないんだけどォォォーーー!?
だけど偽物とはいえ親切そうだったから無碍にはできず。
そこで俺達は彼に連れられ、ひと気の少ない喫茶店へと足を運んだのだった。
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