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第六章 反逆の狼煙編
第65話 募るギルドへの不満と危機感
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師匠との再会の可能性が出てきたと思った途端のギルドの横暴。
俺はそのいらつきを抱えたまま三日間を過ごす事となった。
実際、その三日間は酷かったものだ。
通達直後に報酬をもらった者達が給与額に嘆き、わずかな日銭で水だけを買って帰る。
それが翌日にでもなれば痩せこけ、力を出す事さえままならない。
歩くだけでも辛そうにしている者をいつもの倍以上も見掛けた。
だから俺は密かにそんな者達を探し出し、夜な夜な食料を配り歩く事にした。
チェルトの協力もあってその調査や作業も問題なし。
おかげでおそらくは大体の人を救えたと思う。
しかしこんなのは所詮その場しのぎにしかならない。
早く何とかしなければ俺達の資産さえ消えかねない勢いなのだから。
だから何としてもギルドと勇者の横暴を止めねば。
そのためにと三日目の朝、俺はギルドへと足を運んだ。
内情を確かめるためと、仲間達の状況も知るために。
「おはようごぜぇますぅ、苦情は受け付けてませぇん」
「そんなんじゃない。キルシュも相当疲れてんなぁ」
「毎日毎日苦情ばっかでやってられませぇん。お仲間、止めてくれません?」
「それはギルド側にも問題があるからだろ?」
「けどそれは私達にもどうしようもないですぅううう」
あいかわらず業務態度が雑な女だ。
ちょっと優しくしただけで愚痴がボロボロと溢れ出てくるし。
どうやらナーシェちゃんはまだ休みのようだ。
これは本格的に、もう帰ってこないかもな。
「ラング=バートナー」
「お、今日は珍しいなレトリー。いつものメガネ芸はどうしたんだ?」
「……今日もナーシェ=アラーシェはお休みです。かくいうワタクシも午後半休を頂いておりますが」
「そ、そうか。教えてくれてありがとな」
「いえ、それがワタクシめらのお仕事ですから」
どうやらレトリーもそれなりに疲れているらしい。
ギルド所属とはいえ、俺達と応対せざるを得ない末端員だしな。
……いや、というよりこの雰囲気だと引け目を感じている、か。
今も俺の後ろで底辺職の人がイライラしているようだし、迂闊にふざけられないんだろうな。
「レトリーもキルシュもあまり無理すんなよ」
「そうとは言いますけどぉ、ウチらしかいないんでぇ」
「受付嬢も大変だな」
「その、あなた方の気持ちは察しますが、これも規則ですのでワタクシ達にはどうする事もできません。その事をあなたからもお仲間へ伝えてもらえますか?」
「……まぁ、努力はするよ」
とはいえ無駄だろうな。
仲間達も含め、みんなギルドに対してこれ以上ない不満を抱き始めている。
だから勇者に対してではなく、彼女達のような存在に当たり散らすしかない。
これは理屈抜きでどうしようもない事だ。
みんなが理性で抑えられるなら底辺職なんて割り当てられないだろうさ。
この事態をギルドマスターはどう受け止めているんだろうか。
これで高笑いしているようなら本気で救いようがないぞ。
しかしその事を今考えても無駄だ。
だから俺は挨拶を交わして受付を去った。
今日の収穫はこれだけで充分だろう。
とはいえ、離れた直後にはもう怒号が舞う。
後にも不満そうな顔をした人がいるし、きっとこれはまだ続くのだろうな。
そこで俺はそんな彼ら一人一人と肩を組み、なだめながらに一歩ずつゆっくりギルドの外へ。
俺を知らない奴でもこうして心配してやれば少しは気が紛れるだろうさ。
それで家へと帰った俺は、ただひたすら時を待った。
エリクスがいつ来るかわからない以上はそうするしかないのだ。
そうして気付けば日も暮れ、もう辺りは真っ暗に。
まさか騙されたか、などという思考さえよぎる。
そんな思考を払うためにと料理をこなしてウーティリス達に振舞う。
おかげでもう夕食も皿洗いまで済ませてしまったし、もう眠くなってきたな。
「もしもし、ラング君はいるかい?」
でもそんな時、ついに来る時がきた。
ドアを叩く音とともにこんな声が聞こえてきたのだ。
だから俺は急いで扉を開き、待望のエリクスとの再会を果たす。
「遅くなってすまない。少し立て込んでいてね、準備が遅くなってしまった」
「かまわんさ。それよりも一つ頼みがある」
「なんだい?」
「今日エリクスについていくのは、俺達全員にして欲しい」
さらにはすぐにこんな要求を突き付けてやった。
俺達がこの三日間の内に話し合った結論だ。
ウーティリスもチェルトもニルナナカも、みんな俺の大事な仲間だ。
それと同時にもう家族みたいな存在だし、仲間外れにはしたくない。
それに俺のやっている事を知っているからこそ、彼女達にも同伴する権利があるはずなんだ。
だから。
「頼む」
「……うん、わかった。まぁ元よりそのつもりではあったけどね。『君の協力者が願うなら連れてこい』と彼女からは言われているよ」
「助かる」
しかし何の心配もいらなかったようだ。
おかげで俺達四人は頷き合い、彼女達も家を出る準備を始める。
「ただ、目立たないようにして欲しいかな。これを着てからついてきて欲しいんだ」
するとエリクスが背負っていた黒マントの束を俺達に差し出した。
ちゃんと四着分ある。本当に想定していたって事なんだな。
だからと甘んじて受け取り、全員で身に着けて外へ。
もう月もあんなに高く昇っている。
ずいぶんと夜ふけになってしまっていたようだ。
これはマントのおかげで闇に紛れるのも簡単そうだな。
「さぁ行こう」
「どこへ行くんだ?」
「それはついてきてくれればわかるさ。はぐれないように注意してくれ」
そう注意を受けてすぐにエリクスが踵を返す。
よし、俺達もはぐれないように行くぞ。
『楽しみらのう、一体誰が待っているやら』
『れすねぇ~~~れもぉ、もうニルナナカ~~~おねむしたいれすぅ~~~』
まぁもう少しがんばってくれ。
もしかしたら眠気も覚めるような事態が待っているかもしれないからな。
そうさ、今日で俺達の何かが変わるかもしれない。
やるべき事が、進むべき道が定まるかもしれない。
それほどの驚愕な事実が待っている。
そんな予感がして、止まらないんだ。
俺はそのいらつきを抱えたまま三日間を過ごす事となった。
実際、その三日間は酷かったものだ。
通達直後に報酬をもらった者達が給与額に嘆き、わずかな日銭で水だけを買って帰る。
それが翌日にでもなれば痩せこけ、力を出す事さえままならない。
歩くだけでも辛そうにしている者をいつもの倍以上も見掛けた。
だから俺は密かにそんな者達を探し出し、夜な夜な食料を配り歩く事にした。
チェルトの協力もあってその調査や作業も問題なし。
おかげでおそらくは大体の人を救えたと思う。
しかしこんなのは所詮その場しのぎにしかならない。
早く何とかしなければ俺達の資産さえ消えかねない勢いなのだから。
だから何としてもギルドと勇者の横暴を止めねば。
そのためにと三日目の朝、俺はギルドへと足を運んだ。
内情を確かめるためと、仲間達の状況も知るために。
「おはようごぜぇますぅ、苦情は受け付けてませぇん」
「そんなんじゃない。キルシュも相当疲れてんなぁ」
「毎日毎日苦情ばっかでやってられませぇん。お仲間、止めてくれません?」
「それはギルド側にも問題があるからだろ?」
「けどそれは私達にもどうしようもないですぅううう」
あいかわらず業務態度が雑な女だ。
ちょっと優しくしただけで愚痴がボロボロと溢れ出てくるし。
どうやらナーシェちゃんはまだ休みのようだ。
これは本格的に、もう帰ってこないかもな。
「ラング=バートナー」
「お、今日は珍しいなレトリー。いつものメガネ芸はどうしたんだ?」
「……今日もナーシェ=アラーシェはお休みです。かくいうワタクシも午後半休を頂いておりますが」
「そ、そうか。教えてくれてありがとな」
「いえ、それがワタクシめらのお仕事ですから」
どうやらレトリーもそれなりに疲れているらしい。
ギルド所属とはいえ、俺達と応対せざるを得ない末端員だしな。
……いや、というよりこの雰囲気だと引け目を感じている、か。
今も俺の後ろで底辺職の人がイライラしているようだし、迂闊にふざけられないんだろうな。
「レトリーもキルシュもあまり無理すんなよ」
「そうとは言いますけどぉ、ウチらしかいないんでぇ」
「受付嬢も大変だな」
「その、あなた方の気持ちは察しますが、これも規則ですのでワタクシ達にはどうする事もできません。その事をあなたからもお仲間へ伝えてもらえますか?」
「……まぁ、努力はするよ」
とはいえ無駄だろうな。
仲間達も含め、みんなギルドに対してこれ以上ない不満を抱き始めている。
だから勇者に対してではなく、彼女達のような存在に当たり散らすしかない。
これは理屈抜きでどうしようもない事だ。
みんなが理性で抑えられるなら底辺職なんて割り当てられないだろうさ。
この事態をギルドマスターはどう受け止めているんだろうか。
これで高笑いしているようなら本気で救いようがないぞ。
しかしその事を今考えても無駄だ。
だから俺は挨拶を交わして受付を去った。
今日の収穫はこれだけで充分だろう。
とはいえ、離れた直後にはもう怒号が舞う。
後にも不満そうな顔をした人がいるし、きっとこれはまだ続くのだろうな。
そこで俺はそんな彼ら一人一人と肩を組み、なだめながらに一歩ずつゆっくりギルドの外へ。
俺を知らない奴でもこうして心配してやれば少しは気が紛れるだろうさ。
それで家へと帰った俺は、ただひたすら時を待った。
エリクスがいつ来るかわからない以上はそうするしかないのだ。
そうして気付けば日も暮れ、もう辺りは真っ暗に。
まさか騙されたか、などという思考さえよぎる。
そんな思考を払うためにと料理をこなしてウーティリス達に振舞う。
おかげでもう夕食も皿洗いまで済ませてしまったし、もう眠くなってきたな。
「もしもし、ラング君はいるかい?」
でもそんな時、ついに来る時がきた。
ドアを叩く音とともにこんな声が聞こえてきたのだ。
だから俺は急いで扉を開き、待望のエリクスとの再会を果たす。
「遅くなってすまない。少し立て込んでいてね、準備が遅くなってしまった」
「かまわんさ。それよりも一つ頼みがある」
「なんだい?」
「今日エリクスについていくのは、俺達全員にして欲しい」
さらにはすぐにこんな要求を突き付けてやった。
俺達がこの三日間の内に話し合った結論だ。
ウーティリスもチェルトもニルナナカも、みんな俺の大事な仲間だ。
それと同時にもう家族みたいな存在だし、仲間外れにはしたくない。
それに俺のやっている事を知っているからこそ、彼女達にも同伴する権利があるはずなんだ。
だから。
「頼む」
「……うん、わかった。まぁ元よりそのつもりではあったけどね。『君の協力者が願うなら連れてこい』と彼女からは言われているよ」
「助かる」
しかし何の心配もいらなかったようだ。
おかげで俺達四人は頷き合い、彼女達も家を出る準備を始める。
「ただ、目立たないようにして欲しいかな。これを着てからついてきて欲しいんだ」
するとエリクスが背負っていた黒マントの束を俺達に差し出した。
ちゃんと四着分ある。本当に想定していたって事なんだな。
だからと甘んじて受け取り、全員で身に着けて外へ。
もう月もあんなに高く昇っている。
ずいぶんと夜ふけになってしまっていたようだ。
これはマントのおかげで闇に紛れるのも簡単そうだな。
「さぁ行こう」
「どこへ行くんだ?」
「それはついてきてくれればわかるさ。はぐれないように注意してくれ」
そう注意を受けてすぐにエリクスが踵を返す。
よし、俺達もはぐれないように行くぞ。
『楽しみらのう、一体誰が待っているやら』
『れすねぇ~~~れもぉ、もうニルナナカ~~~おねむしたいれすぅ~~~』
まぁもう少しがんばってくれ。
もしかしたら眠気も覚めるような事態が待っているかもしれないからな。
そうさ、今日で俺達の何かが変わるかもしれない。
やるべき事が、進むべき道が定まるかもしれない。
それほどの驚愕な事実が待っている。
そんな予感がして、止まらないんだ。
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