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第五章 ギルド圧政強化編
第57話 ニルナナカは人気者?
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どうやらニルナナカはスキルを与えるタイミングを待っていたらしい。
鈍い女だと思っていたが、配慮の点に関しては鋭かったようだ。
それで俺はスキルを得て、さっそくギルドへと向かう事にした。
――なのだが。
「で、本当にニルナナカちゃんまで付いてくる気なんですかい」
「はぁ~~~い~~~あの家は~~~狭くて退屈なのれぇ~~~」
「俺に対しても遠慮なしかよ、ったく……」
ニルナナカがギルドまでついてくるというのだ。
首都じゃ屋敷の敷地から出なかった奴がどういう風の吹き回しなんだぁ?
ウーティリスだけでも目立つってのに……こりゃ一悶着を起こしそうだな。
「おぉ、なんだあのビッグバンボディは!?」
「でかい、そしてでかいっ!」「たまんねぇぜありゃあ……」
「それがなんでハーベスター野郎と一緒に歩いてやがんだ!?」
案の定、勇者どもの反応がすごかった。
一斉に視線釘付けで一階フロアが静まり返るほどだ。
だがそれを無視し、受付へ。
すると見た事のない女がいつものカウンターに立っていた。
「らっしゃいやせー、何用っすか」
「あれ、いつものナーシェさんは?」
「本日ぁ休みっすぅ」
「それで君は?」
「新人のぉキルシュっすぅ、以後よろしくっすぅ」
不愛想な女だ。
そばかすが浮いた顔に体調の悪そうな目元。
他に特徴のない上にあんまり元気もない。
ああ、ナーシェちゃんは一体どこへ行ってしまったのか。
二日も連続で休むなんて、勤勉な彼女らしくないぞ。
「ラング=バートナァァァ!!!!!」
「だからいつもうるせぇって鉄面皮メガネ!」
「誰なのですかその女は! そんなムチムチと! このドヘンタイ!」
「連れてるだけでヘンタイ扱いはコイツにも失礼だろ!? あー俺の遠い親戚だよ! 身寄りが無くなったから頼って来た一七歳!」
「……なんだ、そうでしたか。翼人の親戚とはまた幅広い家族層をお持ちで」
新人と比べるとレトリーの方がまだマシかな。
うっとおしいが、表情がある分はまだ話しやすいし。
「それでダンジョン情報は? お仕事ある?」
「あーハーベスターだったすかぁ。あるんじゃないっすかねぇ?」
「適当だな、オイ」
あーこれ、典型的な底辺嫌いだ。
ハーベスターだとわかった途端にますます不機嫌そうになったし。
まぁいいや、リスト確認をと……
「おいおいラングゥ、随分とすげえ女を連れてるじゃねぇか」
「なんなら俺達が代わりに家族になってやってもいいんだぜぇ?」
ううっ、こいつら!?
やっぱりニルナナカに誘われてきやがったか!?
こうなるのは予想できていたんだ。
ニルナナカは実際、体付きは元より顔付きも綺麗だ。
少し丸みはあるが小顔だし、見た目の包容力が半端じゃない。
ウーティリスと違って、男を誘うような存在感を醸し出しているからな。
『だからなーぜそこでわらわを比較対象にするのら』
だが俺には止めようもないぞ!?
抵抗しようものなら今ここで切り捨てられる事さえあり得る!
「なぁいいだろぉネェちゃん! 俺達と行こうぜぇ?」
「え~~~お断りれすぅ~~~」
「まぁそう言わずにぃ」
「え~~~絶対に嫌れすぅ~~~」
「こ、この女、ハッキリ言いやがんな……」
「つか力つえぇ!? 腕引っ張っても動かねぇぞ!?」
くっ、ニルナナカの腕まで掴んで調子に乗って!?
お前ら、未就職の未成年には勇者でも手出し禁止って法律を忘れたのか!?
「まぁいい。おい女! 俺達と来やがれ!」
「しっぽり楽しませてやるからよぉ!」
ニルナナカは動じていない。
しかしこのままでは本当に連れ去られてしまうぞ!
どうすればいい、どうすれば……!
「――待ちたまえ君達、麗しいレディにそれ以上手を挙げれば勇者としての気品を疑われてしまうよ?」
「「「ッ!?」」」
なんだ、出入口の方から声が!?
妙な風体の優男が、出入口のふちに寄りかかって立っている!?
だが、見た事がない顔だ。
「なんだぁテメェ?」
「俺らがB級勇者だって事をわかって言ってんのかああん!?」
いやお前らも。別にB級ってそこまで珍しくないだろうが。
何いきなり現れた相手にイキってんだよ。ニルナナカが欲しくて必死か。
むっ、例の男が歩み寄って来る。
「いやぁ良くない、良くないよこれは。先から話を聞くに、彼女は一七歳らしいじゃあないか。そんな子に手を出すなんてこの国の法を犯す気かい?」
「あぁん!? 知った事か! 俺達が法だ!」
青と白で象った丈の短い法衣に、澄ました顔と薄黄緑の短髪。
それでいて堂々とした立ち振る舞いは崩さず、常に正姿勢。
この立ち振る舞い……こいつ、できる!?
「見た感じ、こいつぁ神官士だろうぜ!」
「いいさ、やっちまええっ!」
「お待ちくださいませぇ勇者様がたァ!」
くっ、それでも勇者どもが止まらない!?
レトリーの制止もまったく聞いちゃいないぞ!?
「ふぅ、なら仕方ないねぇ……〝コンバット・イミティション〟ッ!」
「――ッ!?」
な、なんだ、男の体が一瞬藍色に輝いて――
そして直後、俺は目の当たりにする事になるのだ。
この謎の男が見せつけた、圧倒的なまでの超戦闘力を。
鈍い女だと思っていたが、配慮の点に関しては鋭かったようだ。
それで俺はスキルを得て、さっそくギルドへと向かう事にした。
――なのだが。
「で、本当にニルナナカちゃんまで付いてくる気なんですかい」
「はぁ~~~い~~~あの家は~~~狭くて退屈なのれぇ~~~」
「俺に対しても遠慮なしかよ、ったく……」
ニルナナカがギルドまでついてくるというのだ。
首都じゃ屋敷の敷地から出なかった奴がどういう風の吹き回しなんだぁ?
ウーティリスだけでも目立つってのに……こりゃ一悶着を起こしそうだな。
「おぉ、なんだあのビッグバンボディは!?」
「でかい、そしてでかいっ!」「たまんねぇぜありゃあ……」
「それがなんでハーベスター野郎と一緒に歩いてやがんだ!?」
案の定、勇者どもの反応がすごかった。
一斉に視線釘付けで一階フロアが静まり返るほどだ。
だがそれを無視し、受付へ。
すると見た事のない女がいつものカウンターに立っていた。
「らっしゃいやせー、何用っすか」
「あれ、いつものナーシェさんは?」
「本日ぁ休みっすぅ」
「それで君は?」
「新人のぉキルシュっすぅ、以後よろしくっすぅ」
不愛想な女だ。
そばかすが浮いた顔に体調の悪そうな目元。
他に特徴のない上にあんまり元気もない。
ああ、ナーシェちゃんは一体どこへ行ってしまったのか。
二日も連続で休むなんて、勤勉な彼女らしくないぞ。
「ラング=バートナァァァ!!!!!」
「だからいつもうるせぇって鉄面皮メガネ!」
「誰なのですかその女は! そんなムチムチと! このドヘンタイ!」
「連れてるだけでヘンタイ扱いはコイツにも失礼だろ!? あー俺の遠い親戚だよ! 身寄りが無くなったから頼って来た一七歳!」
「……なんだ、そうでしたか。翼人の親戚とはまた幅広い家族層をお持ちで」
新人と比べるとレトリーの方がまだマシかな。
うっとおしいが、表情がある分はまだ話しやすいし。
「それでダンジョン情報は? お仕事ある?」
「あーハーベスターだったすかぁ。あるんじゃないっすかねぇ?」
「適当だな、オイ」
あーこれ、典型的な底辺嫌いだ。
ハーベスターだとわかった途端にますます不機嫌そうになったし。
まぁいいや、リスト確認をと……
「おいおいラングゥ、随分とすげえ女を連れてるじゃねぇか」
「なんなら俺達が代わりに家族になってやってもいいんだぜぇ?」
ううっ、こいつら!?
やっぱりニルナナカに誘われてきやがったか!?
こうなるのは予想できていたんだ。
ニルナナカは実際、体付きは元より顔付きも綺麗だ。
少し丸みはあるが小顔だし、見た目の包容力が半端じゃない。
ウーティリスと違って、男を誘うような存在感を醸し出しているからな。
『だからなーぜそこでわらわを比較対象にするのら』
だが俺には止めようもないぞ!?
抵抗しようものなら今ここで切り捨てられる事さえあり得る!
「なぁいいだろぉネェちゃん! 俺達と行こうぜぇ?」
「え~~~お断りれすぅ~~~」
「まぁそう言わずにぃ」
「え~~~絶対に嫌れすぅ~~~」
「こ、この女、ハッキリ言いやがんな……」
「つか力つえぇ!? 腕引っ張っても動かねぇぞ!?」
くっ、ニルナナカの腕まで掴んで調子に乗って!?
お前ら、未就職の未成年には勇者でも手出し禁止って法律を忘れたのか!?
「まぁいい。おい女! 俺達と来やがれ!」
「しっぽり楽しませてやるからよぉ!」
ニルナナカは動じていない。
しかしこのままでは本当に連れ去られてしまうぞ!
どうすればいい、どうすれば……!
「――待ちたまえ君達、麗しいレディにそれ以上手を挙げれば勇者としての気品を疑われてしまうよ?」
「「「ッ!?」」」
なんだ、出入口の方から声が!?
妙な風体の優男が、出入口のふちに寄りかかって立っている!?
だが、見た事がない顔だ。
「なんだぁテメェ?」
「俺らがB級勇者だって事をわかって言ってんのかああん!?」
いやお前らも。別にB級ってそこまで珍しくないだろうが。
何いきなり現れた相手にイキってんだよ。ニルナナカが欲しくて必死か。
むっ、例の男が歩み寄って来る。
「いやぁ良くない、良くないよこれは。先から話を聞くに、彼女は一七歳らしいじゃあないか。そんな子に手を出すなんてこの国の法を犯す気かい?」
「あぁん!? 知った事か! 俺達が法だ!」
青と白で象った丈の短い法衣に、澄ました顔と薄黄緑の短髪。
それでいて堂々とした立ち振る舞いは崩さず、常に正姿勢。
この立ち振る舞い……こいつ、できる!?
「見た感じ、こいつぁ神官士だろうぜ!」
「いいさ、やっちまええっ!」
「お待ちくださいませぇ勇者様がたァ!」
くっ、それでも勇者どもが止まらない!?
レトリーの制止もまったく聞いちゃいないぞ!?
「ふぅ、なら仕方ないねぇ……〝コンバット・イミティション〟ッ!」
「――ッ!?」
な、なんだ、男の体が一瞬藍色に輝いて――
そして直後、俺は目の当たりにする事になるのだ。
この謎の男が見せつけた、圧倒的なまでの超戦闘力を。
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