底辺採集職の俺、ダンジョンブレイク工業はじめました!~本ダンジョンはすでに攻略済みです。勇者様、今さら来られても遅いのでお引き取りを!~

日奈 うさぎ

文字の大きさ
上 下
47 / 148
第四章 首都遠征編

第47話 大腿コア、出土!

しおりを挟む
 代替コアがあると思しき場所を掘ったら、ケツが出た。
 まさかダンジョンコアの代わりにケツが働いていたなんてな。

 つまり大腿だいたいコアって事かよ!

「しかしなんだろう……ウーティリスと比べて、やたらデカい……!」
「なしてわらわと比べるのら」

 だがそのサイズは圧倒的に巨大だ。
 双丘の一瓜が俺の頭より大きい。
 あとなんかものすっごいぷるんっと柔らかそう。

 ――おっといかん、これ以上特徴を挙げたらまずい気がする。

「な、なんじゃ、こんな所にどうして尻があるんじゃ!?」
「どういう事なの……あ、ラング見ちゃダメよ!」
「もう手遅れだ。あとそうも言ってられん」

 そうだ。これがウーティリスと同じなら掘り起こしてあげた方がいい。
 ダンジョンコア扱いされているならなおさらだ。

 そこで俺はマトックを短く持ち、矛先で削るように掘り始めた。
 幸いこれでも掘削力は維持されていて、ごりごりと岩塊が削ぎ落ちていく。

『あ、あ、いいれすぅ~~~その調子、れすぅ~~~』
「お、声が聞こえたな」
「声? 何を言っておるのか」
「さぁ……」

 どうやら二人にはこの声が聞こえないらしい。
 となるときっとウーティリスの心の声も聞けないだろうな。

 だが待ってくれ、待ち遠しいのはわかるけどケツを揺らさないでくれ。
 この大きさは俺にはちょっと危険だから!

『大人しくしておれ、このデカケツゥ!』
『あらぁ~~~その声はもしかしてぇ~~~』
『なんら、わらわの事を知っとる奴か』

 そうそう、そうやって引き付けてくれよウーティリス。
 俺が掘り当てるまで待っててくれよな。

 しっかし、意外に大きいぞこれ!?
 人間の平均サイズよりもずっと!
 この大きさたまらね――いや、ちょっと大き過ぎないか!?
 師匠よりもずっとデカいじゃないか……!

 ふう、なんとか腰回りを掘りきる事ができたぞ。

「ラング君、急いでくれ! 魔物がやってきたぞ!」
「わかってます! だけどこいつぁ……」

 だけど大き過ぎてウーティリスみたいに引っこ抜くのは不可能だ。
 この調子だと胸部辺りが絶対ネックになる!

「くっそぉ! 急ぐしかねぇぇぇ!!!」
「ええい、わらわにもピッケルを貸せ! わらわも掘るぅ!」

 こんな時くらい神の力でドーンってやれないのかよ!?
 神様ってやつは意外に不便だな!

 仕方ないので言われた通りにピッケルを渡すと、ウーティリスも必死に反対側面を掘り始めた。 

『くすぐったい、れすぅ~~~』
「我慢せい! もうすぐなのら!」
「ああくそっ、暴れるなって言ってるだろ!? 肉が引き千切れそうだぞ!?」

 くっ、ダンジョン相手だとウーティリスみたいな強靭さは出せないのか!?
 まったく、面倒な制約だ! あと暴れるから掘りにくい!

 それにウーティリスと違って言う事を聞かない奴だ。
 なんだか掘り起こすのが面倒になってきたぞ!?

「いかーん! 敵の勢いが活気づいてきおった!」
「ちょっともうギリギリだよーっ!」

 くそっ、勇者組ももう限界に近い!
 これは間に合うのか!?

「うおおおおおおおお!!!!!」
「にゃにゃにゃにゃあああ!!!!!」

 下半身出たっ! 足も太い!
 あと上半身をどうにかすればいいのか!

「大型もきおったぁ!!! 抑えきれんぞぉ!?」
「もうだめっ、ラングーーーッ!!!」

 く、ダメだ、間に合いそうにない!
 こうなったら俺もまた戦列に加わって――

 うっ!? なんだ!?
 またデカケツが輝き始めて!? うおおお!?

「ギ、ギエエエエ!!?」「ギョエエエエエッ!!!」
「なんじゃ、魔物が消し飛んでいく!?」
「なにこれ、なんの光なの!?」

 そうして間もなくして光は収まったが、危機も去った。
 周囲に集まっていた魔物が一瞬にして消え失せたのだ。

 なんだっていうんだ、今のは?

「ほほう……まさかお前だったとはのう。まぁええか。ならほれ、下半身は出とるのだから後はもう自分で出られよう?」
『はぁーーーい』

 でも一方のウーティリスはいつもの調子を取り戻していたようだ。
 デカケツに一発ビンタをかまし、ぶるるんっと震わさせている。

 するとデカケツがウーティリスの声に呼応して、自分で踏ん張り始めた。

 だがその途端、「ゴゴン! ゴゴン!」と地鳴りが上がって地面もが揺れ始める。
 まるで力が籠るたびに震えるケツと呼応しているかのようだ!
 一体どれだけの力で踏ん張ってるんだよ!?

 ――あ、これはちとまずいかもしれん……!

 ケツが揺れるにつれ、周囲の岩にどんどんと亀裂が帯びていく。
 しかも遂には壁面すべてに亀裂が走り、天井にまで届いて瓦礫を落とし始めたんだが!?

「な、なんじゃあ!?」
「やばいって、離れよう!?」
「うおおおおっ!」
「ま、まってぇ、わらわをおいていかないれぇ~~~!」

 やっぱりだ!
 この規模はヤバいぞ! このままじゃ生き埋めになっちまう!

 そう察した俺達は咄嗟に飛び出し、その場から一気に離れた。
 出遅れたウーティリスも首根っこを掴んで一斉退避だ。

 そうしてその間もなくにケツ周りの壁面が弾けるように崩落。
 掘っていた跡をも巻き込み、崩れ、先の空間がとうとう瓦礫に埋まってしまった。

「な、なんだったんじゃ、今のは……」
「わかんない……」

 一方の俺達は通路に逃げ込んでなんとか無事。
 それで振動も収まったので、恐る恐る崩落跡へと近寄っていく。

 そうした途端の事だった。

「なんじゃ、瓦礫がっ!?」
「持ち上がって!?」
「吹き飛んだぁぁぁ!?」

 あとはもうただ戦慄するばかりだ。
 常識外れな事ばかりが起きて、それでもって人影が現れたのだから。

 神々しく輝く白い翼を広げながら。

「太陽神ニルナナカ~~~堂々復活れすぅ~~~!」

 ただし豊満ボディも眩しいっ! 色んな意味で!
 師匠をも越える超ボリュームのおかげで俺の顎は開きっぱなしだ。
 もっとも、大き過ぎて俺の好みの範疇から外れてはいるが。

「おーニルナナカ、久しぶりらのう」
「あーやっぱり~~~ウーティリスちゃんらったぁ~~~!」

 そうか、太陽神はウーティリスとマブダチだったっけか。
 たまたまの偶然だが、運良く再会を果たせたんだな。

 まさか神がダンジョンコアの身代わりになっていたとは驚きだが。
 だけど助けられて良かったよ。

 これでもう神が一人じゃないって証明ができたのだから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大地魔法使いの産業革命~S級クラス魔法使いの俺だが、彼女が強すぎる上にカリスマすぎる!

倉紙たかみ
ファンタジー
突然変異クラスのS級大地魔法使いとして生を受けた伯爵子息リーク。 彼の家では、十六歳になると他家へと奉公(修行)する決まりがあった。 奉公先のシルバリオル家の領主は、最近代替わりしたテスラという女性なのだが、彼女はドラゴンを素手で屠るほど強い上に、凄まじいカリスマを持ち合わせていた。 リークの才能を見抜いたテスラ。戦闘面でも内政面でも無理難題を押しつけてくるのでそれらを次々にこなしてみせるリーク。 テスラの町は、瞬く間に繁栄を遂げる。だが、それに嫉妬する近隣諸侯の貴族たちが彼女の躍進を妨害をするのであった。 果たして、S級大地魔法使いのリークは彼女を守ることができるのか? そもそも、守る必要があるのか? カリスマ女領主と一緒に町を反映させる物語。 バトルあり内政あり。女の子たちと一緒に領主道を突き進む! ―――――――――――――――――――――――――― 作品が面白かったらブックマークや感想、レビューをいただけると嬉しいです。 たかみが小躍りして喜びます。感想などは、お気軽にどうぞ。一言でもめっちゃ嬉しいです。 楽しい時間を過ごしていただけたら幸いです。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

魔法省魔道具研究員クロエ

大森蜜柑
ファンタジー
8歳のクロエは魔物討伐で利き腕を無くした父のために、独学で「自分の意思で動かせる義手」製作に挑む。 その功績から、平民ながら貴族の通う魔法学園に入学し、卒業後は魔法省の魔道具研究所へ。 エリート街道を進むクロエにその邪魔をする人物の登場。 人生を変える大事故の後、クロエは奇跡の生還をとげる。 大好きな人のためにした事は、全て自分の幸せとして返ってくる。健気に頑張るクロエの恋と奇跡の物語りです。 本編終了ですが、おまけ話を気まぐれに追加します。 小説家になろうにも掲載してます。

劣等冒険者の成り上がり無双~現代アイテムで世界を極める~

絢乃
ファンタジー
 F級冒険者のルシアスは無能なのでPTを追放されてしまう。  彼は冒険者を引退しようか悩む。  そんな時、ルシアスは道端に落ちていた謎のアイテム拾った。  これがとんでもない能力を秘めたチートアイテムだったため、彼の人生は一変することになる。  これは、別の世界に存在するアイテム(アサルトライフル、洗濯乾燥機、DVDなど)に感動し、駆使しながら成り上がる青年の物語。  努力だけでは届かぬ絶対的な才能の差を、チートアイテムで覆す!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...