底辺採集職の俺、ダンジョンブレイク工業はじめました!~本ダンジョンはすでに攻略済みです。勇者様、今さら来られても遅いのでお引き取りを!~

日奈 うさぎ

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第四章 首都遠征編

第45話 目指せ代替コア!

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 代替コアは最深部には無かった。
 しかしそれらしい気配をウーティリスが見つけてくれたおかげで道は拓けたぞ。

 だからとさっそく足元に直通の道を掘ったのだが。

「気を付けよ、この先はおそらく魔物がおろう」

 本当なら土の中を掘り進めたかったが、今回はそうする訳にもいかない。
 ダンジョンから外れればウーティリスの感知能力が極端に落ち、正体不明な代替コアの存在を見失ってしまいかねないから。

 ゆえにこの先はダンジョン内部へと続いているのだ。
 だとすれば魔王の間である最深部と違い、雑魚の魔物がわんさかいるのは当然な訳で。

「だったら私が先行するからラングはサポートをお願い!」
「わかった。だが無理はするなよ? ここは上級よりも難易度が高いらしいぞ」
「ええっ!? そ、そうなの!? わ、わかったがんばる!」

 しかしチェルトは慌てるものの躊躇わず〝下〟に続く穴へと降りていく。
 さすがだな、自信とかよりもメンタルだけで乗り込みやがった。

 なので俺も負けじと彼女に続いて穴へと飛び込む。

 我ながらよく安定した角度の穴だ。滑らない程度にちゃんと形成してある。
 宝めがけて何度も掘ったしな、体がもうだいぶ覚えているようだ。

 お、さっそくチェルトが交戦に移っている。
 穴の向こうからも魔物が侵入してきていたらしい。

 しかしまだ未熟な所もあるのか、ディーフさんのようにはいかない。
 一匹二匹と討ち漏らしてしまい、魔物が俺へと目掛けて走り込んでくる。

 だがそれを魔掘具を横薙ぎする事で〝掘って〟やった。
 一瞬で消滅、アイテム化してインベントリ行きだ。ざまぁみろ!

 ――ただ、このままでは多勢に無勢か?

「ごめん! 思ったより魔物の数が多いよ!」
「くっ、チェルトだけじゃ荷が重いか!? だったら!」
「どうする気なのラング!?」
「狼狽えなくていい! うおおお、ブチ抜けぇぇぇッ!!!!!」

 ゆえに俺は再び魔掘具を奮った。
 チェルトをも巻き込み、魔物どもを一挙にして掘り尽くしたのだ。

 もちろんチェルトはまったくの無傷で無事だがな。

「な、なにが……魔物が、消えた!?」
「安心するな、まだ来るぞ!」
「う、うん!」

 とはいえこれも些末な量でしかない。
 気付けばまたわらわらと穴の先から魔物が現れ、こっちへ向かってくる。
 いずれも天井を歩ける虫型……言いたかないがあまり良い光景じゃない。

「これじゃラングが調査する時間を稼げないっ!」
「まずいのう、これはちと戦力不足かもしれぬのら」
「くっ、さすが超級、伊達じゃねぇって事か!」

 それに相手も一匹一匹が強いらしい。
 チェルトが一撃じゃ倒せないくらいの強さだ。
 たとえレア度の高い武器を持っていても、チェルト自身が振り回されている。

 やはりA級にならないとここでの戦いは厳しいか……?

「……ヒョオオオオオ!!!!!」
「なっ!!?」

 だがその時、何者かが頭上から降って来た。
 しかもまるで穴を飛び降りるように突き抜け、魔物に向かって突っ込んでいく。

 そして幾閃。

 なんと魔物達が一瞬にしてにバラバラとなっていく。
 俺もチェルトも、その光景を前にただ唖然とするばかりだ。

「こんな面白い事をしておるのなら何故ワシを誘わぬかぁ!」

 バ、バカな!? ディーフさんだと!?
 あの斬神鉄ディーフがいきなり参戦してきやがった!? 想定外だっ!

 まさかもしかして、俺達の行動が見破られていたのか!?

「お、おじいちゃん!?」
「おじいちゃんではない、ディーフと呼べぃ! 今のワシは戦友ぞ!」
「だが頼もしい! チェルト! ディーフさんと協力して道を切り拓いてくれ!」
「わ、わかったわ!」

 でもおかげで助かった。これなら先に行けるぞ!
 俺の正体がバレるかもしれないが、もうそんな事など見られた今はどうでもいい!

「ふはははは! 心躍るぞ! 久しいのう、この敵の強さ! 全盛期の頃を思い出すわァァァ!」
「さすがおじ――ディーフね! 一気に勢いがこっち側に向いたわ!」
「よし、このまま一気に穴を抜けよ! 二人はわらわ達を守るのら!」
「なぁにお前が仕切ってんだ! ……まぁいいか、抜けるぞっ!」

 勢いづいた事で俺達はあっという間に駆け抜けられ、とうとう穴の奥へ。
 中間層のとある部屋へと三人揃って降り立つ事ができた。

 しかしまだ魔物の勢いは衰えない。
 むしろ敵が一層強いとさえ感じるほどで、六本足の獣や甲殻爬虫類までが見える。
 見ただけでヤバイって思える奴らばかりだ。

「おおおっ!? こやつら、なかなか強いぞ!?」
「おそらく代替コアの力をふんだんに受けているからであろう! 気を抜くと危険なのら!」
「この甲殻堅い!? 剣が通らないよ! 攻撃は避けられるくらい遅いけどっ!」

 勢いで飛び込んでみたが、これはまずいな。
 ならいっそ代替コアをスキルでザクッとやって早々に撤収するか!?

「それはならぬぞラング! 代替コアの正体がつかめぬ以上、スキルを使ってしまうのは危険なのら!」

 それもダメか!? クソッ!

「ちぃ、意外に面倒なこった! なら俺も戦いに加わってやる!」
「そうしてくれぬか! これではおちおち穴も掘っておられまい!? せぇぇい!」

 それにディーフさんも割とキツめだ。それだけ魔物の勢いがすごい。
 小さな小部屋かと思っていたが、こいつらは周辺一帯から一気に集まってきているようだ。
 まるで代替コアを必死に守ろうとしているかのようだよ。

 こうなったら……戦いでも俺の本領を発揮してみるとしようか!
 ただし、あくまでも採掘士としてな……!
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