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第二章 逆襲のダンジョンブレイク編

第19話 待望のお宝鑑定タァ~イム!

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 ひとまず存在が知られた事は置いておいて、家に帰る事にした。
 不安は拭えないが、慌てても仕方がないしな。

「しかしどうして上級ダンジョンにC級なんかが入り込んでいたのやら」
「おおかた浅層なら魔物もまだ弱いと知って賭けにでたのであろう。そなたの知る通りなら、浅層の宝でさえ彼奴等にはよい資金源となるであろうからのー」

 たしかに。特にマキシエリクサーなんてエリクサーの上位だしな。
 そんなのなら百万ルカもくだらないだろうよ。

 それどころか場合よってはゼロが一つ二つ多いかもしれない。
 なにせ富豪がこぞって手に入れたがる逸品なのだから、きっと金になど糸目もつけないだろうし。

 ある意味で火種になりそうな代物だ。
 これは表に出さない方がよさそうか。

「帰ったらまず状況確認をしてからお宝鑑定するのら」
「ああ、防犯対策もしっかりやっておかないとな」

 だからって宝を家に置いておくのも危険だ。
 あの家は鍵なんて有って無いようなものだからな。
 それなので出発前に茣蓙ござで縦穴を隠してきたくらいだぜ。

 ともあれ地下室はまだ安全な方だ。
 だからと、ようやく帰ってきてすぐに荷物をどさりと降ろす。
 それで即座に自分の家へと上がり、安全確認をしてから再び地下へ戻る。

「上も問題なさそうだ。それじゃあさっそくお宝の確認でも始めるか!」
「うむーっ! どんなのが採れたのか楽しみらのう!」

 そうしたら待っているのは待望の財宝鑑定タイムだ。
 たくさん手に入れたからな、この時が楽しみでしょうがなかったぁ!

 そんな訳でインベントリを覗き、アイテム欄に触れて取得物を確認する。
 すると岩塊の中にいくつもあるわあるわ、特殊なアイテムらしき名前が。

・裂空剣ディオスマイザ
・極光の鎧
・ゴールドインゴット×3
・虹天のランプ
・マキシエリクサー×3
・ハイエリクサー×6
・ストレイトポーション×2
・疾風の面具
・アダマント鉱×2
・ハリエントグローブ材×2
・鮮血の糸×2

 ……うん、なかなかのラインナップだ。
 剣と鎧はわからないからどうでもいいとしよう。
 薬品だけでも一財産分といった感じだな。素材もレア級ばかりだし。
 さすがにこの辺りは表に出すのは少々危険か。

 ゴールドインゴットは彫金士に渡せはそこそこな値段で買い取ってくれそう。
 換金できそうなのはこれくらいだな。

 あとランプはそうだな、せっかくだしウーティリスの部屋に飾ろう。
 今のままだと洞窟の中と大差ないし。

「うむうむ、殊勝な心掛けらのう! 大切にさせてもらおう!」
「ああ、こんなのしかなくて悪いけどな。他に何か欲しいのあるか?」
「気にせんでよい。虹天のランプはこれでとても良い物らからのう」

 さっそくインベントリから取り出してみると、両手で乗りきるくらいの小さな水晶球が落ちてきたので受け取る。
 それをウーティリスに手渡すと、嬉しそうに両腕でギュッと抱き締めてくれた。

 なんだ、そういう可愛らしい所もあるじゃないか。
 気取っていないで普段からこうなら愛着だってすぐ湧くだろうに。

「さて、残りはこの疾風の面具か。これは俺でも備えられそうだな」

 そして最後がこの疾風の面具。
 目の周りの部分だけを隠せるようになっていて、偽装にはぴったりだ。
 今後の活動で身バレしないよう、これを付けていくのがいいかもしれない。

 しかし何が「疾風」なのか。

「それを備えると素速さが上がるのら」
「ほぉ? 試しに着けてみるか。……おっ、これは!?」

 なんだ、身に着けた途端に体が浮いた感じがした!?
 それくらいに体が軽くなったんだ!

「おまけに走行速度も飛躍的に上がろうな」
「本当か!? じゃあちょっとひとっ走り!」

 それなので物は試しにと、遠征で開けた穴へと向いて大地を蹴る。
 するとすさまじい重圧と共に、視界が一気に真っ暗へ。
 それで振り返れば、ランプの微かな輝きがはるか先に見えた。

「お、おいおい、跳び過ぎだろう!?」

 想像以上の能力だ!
 これならもしかしたらA級勇者の速さにも勝てるんじゃないか!?
 だとすれば、また勇者に遭遇しても楽に逃げられるかもしれない!

 この面具は俺の標準装備として最適だ。
 しょっぱなから良い物を手に入れたな。

「おー戻ってきおったな。どうであったか?」
「ああ、顔も隠せるし最高だなこれは」
「ふふっ、魔剣や霊鎧よりもはるかにレア度の低いそんな小物で喜ぶのはそなたくらいではないか~?」
「ははっ! かもしれん!」

 仕方ないさ、勇者向けの装備なんざもう微塵も興味もないしな。
 むしろ伝説の掘削道具があるならそっちの方がずっと欲しい。

 なんたって俺は採掘士一筋だからな。
 こうなった以上、もはや勇者になんざ未練なんて欠片もないね。
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