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第二章 逆襲のダンジョンブレイク編
第18話 欲に駆られてまずいことになった!
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このダンジョンに残るお宝はあと一ヶ所。
浅層の物だから価値がないとは言われたが、このまま引き下がるつもりはねぇ。
勇者には一ルカたりとも渡すつもりはねぇからな!
そのためなら徹夜だろうがやりきってやるぜ!
「よし行くぞ! 最後の場所を教えてくれ!」
「この先を真っ直ぐら。しかし何度も言うが、くれぐれも慎重にのう。あくまでここはダンジョンの外ゆえ、わらわの感知能力は制限されてしまうからの」
「おう、任せろ!」
大丈夫だ、問題ない。
魔物と遭遇した時の対処方法はすでにこの数回で学んだ。
ディグ・アンド・フィル――その切り替えタイミングも徐々に詰めているしな!
その自信の下に、俺は最後の財宝への一掘りをかます。
そうして大穴が開き、ダンジョンの中が露わとなった。
「おっと、外しちまったか」
「ほら言わんこっちゃない」
しかし宝箱は未だ健在。
わずかに掘削軌道を外してしまっていたらしい。
だが、それなら直接得るだけだ。
「最後のお宝くらいは直接手に取りたいよなぁ~」
「宝は宝であろう。変に色気づいていないで、さっさと取って行くのら」
「まぁそう言うなってぇ!」
なにせ今度は小さな小箱でしかない。
中に入っているのはどうせ一個の何かだ。
だったら気分だけでも味わいたい。
さてどれどれ、どんな宝が入っているかな?
「これは……薬品か」
「うむ、マキシエリクサーらの。どんな難病やケガだろうと一瞬で完治するスグレモノなのら」
「それってレア鉱石以上の価値の代物じゃねぇか!? 浅層でこれはすげえな!」
「エリクサーくらい低級ダンジョンでも出るであろう……何を驚いておる」
何ィ!? おいおい冗談じゃないぞ!?
エリクサーっていったら金持ちが欲しがってたまらないっていう至極の逸品だぜ?
おかげで噂じゃ「ほとんど手に入らない幻の神薬」とか言われているってのに。
もしかして財宝の価値もギルドや勇者達が歪めているんじゃないだろうな?
だとしたらドえらい事実だぞ、それは。
「ま、まぁいい。これはこれで取っておくとしよう。何かに使えるかも――」
「お、おい誰だアイツ!?」
「――ッ!?」
うっ、人の声だとっ!?
とっさに顔だけでわずかに振り向くと、人影が二人。
勇者だ! 二人の勇者が正規ルートからやってきていたのだ!
「もう別の勇者が入っていたのか!?」
「いや、ここにはまだ俺達しかいないはずだぜ!?」
悠長にしすぎて攻略が始まってしまったのか!?
いや、だが俺は奴らを知っている! 奴らはたしかC級勇者のはず!
上級に入れるような奴らじゃない!
い、いや考えている暇はないぞ!
すぐに逃げなければ!
「あ、野郎逃げやがった!」
「待ちやがれこの怪しい奴めえっ!」
そこで俺はすかさず走り出し、元来た穴へと飛び込む。
そして即座に岩塊を使用、一瞬で穴を塞いだ。
フゥーーー間一髪!
あれがB級、あるいはA級だったらまずかった。
逃げても追いつかれる可能性があったしな、危機一髪だ。
「ほぉら言わんこっちゃない。さっさとやれと言うたであろうに」
「す、すまん……欲に駆られてつい」
「それでは後で心変わりしても仕方ないのぉ~?」
「面目ない……それだけは無いと信じたいな」
ただ、俺の存在が知られてしまったのは不味いかもしれん。
俺の正体には気付いていなかったみたいだが、一体どうなる事か。
あ、ウーティリスは見られていないだろうな?
「安心せい、鞄の中にしっかり隠れておったわ」
「さすが神様、抜け目がない」
「そなたが間抜けなだけなのら」
「ウッ」
くぅ~~~言い返せないっ!
「ま、彼奴らの身体パラメータでは掘って追う事などできまい。そなたの感じた通り身バレもしていなさそうだしの、このまま帰ってもよかろー」
「ウーティリス様の観察眼に感謝いたしますよ~っと」
仕方ないので、俺達はこのまま帰る事にした。
あとで大騒ぎになってなければいいのだが。
宝への期待と世間への不安を持ち帰る事になるなんて、すごい複雑だぁ……。
浅層の物だから価値がないとは言われたが、このまま引き下がるつもりはねぇ。
勇者には一ルカたりとも渡すつもりはねぇからな!
そのためなら徹夜だろうがやりきってやるぜ!
「よし行くぞ! 最後の場所を教えてくれ!」
「この先を真っ直ぐら。しかし何度も言うが、くれぐれも慎重にのう。あくまでここはダンジョンの外ゆえ、わらわの感知能力は制限されてしまうからの」
「おう、任せろ!」
大丈夫だ、問題ない。
魔物と遭遇した時の対処方法はすでにこの数回で学んだ。
ディグ・アンド・フィル――その切り替えタイミングも徐々に詰めているしな!
その自信の下に、俺は最後の財宝への一掘りをかます。
そうして大穴が開き、ダンジョンの中が露わとなった。
「おっと、外しちまったか」
「ほら言わんこっちゃない」
しかし宝箱は未だ健在。
わずかに掘削軌道を外してしまっていたらしい。
だが、それなら直接得るだけだ。
「最後のお宝くらいは直接手に取りたいよなぁ~」
「宝は宝であろう。変に色気づいていないで、さっさと取って行くのら」
「まぁそう言うなってぇ!」
なにせ今度は小さな小箱でしかない。
中に入っているのはどうせ一個の何かだ。
だったら気分だけでも味わいたい。
さてどれどれ、どんな宝が入っているかな?
「これは……薬品か」
「うむ、マキシエリクサーらの。どんな難病やケガだろうと一瞬で完治するスグレモノなのら」
「それってレア鉱石以上の価値の代物じゃねぇか!? 浅層でこれはすげえな!」
「エリクサーくらい低級ダンジョンでも出るであろう……何を驚いておる」
何ィ!? おいおい冗談じゃないぞ!?
エリクサーっていったら金持ちが欲しがってたまらないっていう至極の逸品だぜ?
おかげで噂じゃ「ほとんど手に入らない幻の神薬」とか言われているってのに。
もしかして財宝の価値もギルドや勇者達が歪めているんじゃないだろうな?
だとしたらドえらい事実だぞ、それは。
「ま、まぁいい。これはこれで取っておくとしよう。何かに使えるかも――」
「お、おい誰だアイツ!?」
「――ッ!?」
うっ、人の声だとっ!?
とっさに顔だけでわずかに振り向くと、人影が二人。
勇者だ! 二人の勇者が正規ルートからやってきていたのだ!
「もう別の勇者が入っていたのか!?」
「いや、ここにはまだ俺達しかいないはずだぜ!?」
悠長にしすぎて攻略が始まってしまったのか!?
いや、だが俺は奴らを知っている! 奴らはたしかC級勇者のはず!
上級に入れるような奴らじゃない!
い、いや考えている暇はないぞ!
すぐに逃げなければ!
「あ、野郎逃げやがった!」
「待ちやがれこの怪しい奴めえっ!」
そこで俺はすかさず走り出し、元来た穴へと飛び込む。
そして即座に岩塊を使用、一瞬で穴を塞いだ。
フゥーーー間一髪!
あれがB級、あるいはA級だったらまずかった。
逃げても追いつかれる可能性があったしな、危機一髪だ。
「ほぉら言わんこっちゃない。さっさとやれと言うたであろうに」
「す、すまん……欲に駆られてつい」
「それでは後で心変わりしても仕方ないのぉ~?」
「面目ない……それだけは無いと信じたいな」
ただ、俺の存在が知られてしまったのは不味いかもしれん。
俺の正体には気付いていなかったみたいだが、一体どうなる事か。
あ、ウーティリスは見られていないだろうな?
「安心せい、鞄の中にしっかり隠れておったわ」
「さすが神様、抜け目がない」
「そなたが間抜けなだけなのら」
「ウッ」
くぅ~~~言い返せないっ!
「ま、彼奴らの身体パラメータでは掘って追う事などできまい。そなたの感じた通り身バレもしていなさそうだしの、このまま帰ってもよかろー」
「ウーティリス様の観察眼に感謝いたしますよ~っと」
仕方ないので、俺達はこのまま帰る事にした。
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