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第二章 逆襲のダンジョンブレイク編
第17話 ダンジョン攻略って意外に簡単じゃないか
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まさか一つ目、初手一掘りで魔王を仕留めてしまうなんて。
それにしたって急過ぎだろう!? 何も聞いていないんだが!?
「いやー言ったらまたグチグチと考え始めて面倒らなーって思って」
「だったら初手くらい練習させて!? うっかりしくじったらヤバイだろォ!?」
「まぁまぁこうして一発で仕留められたし?」
「うぐっ……」
ウーティリスも確信があったんだろうな。
俺なら信じてやってくれるって。
しかしやはり心臓に悪い!
事実がわかった途端に胸がもうバックバクだよ!
あ、でもちゃんとインベントリには「死の魔王ダルグス」って入ってるな。
しかもさりげなく説明文が長いし。
でも長すぎて面倒だから読まなくていいやな。
そうして心を落ち着かせていると、ウーティリスが腕の裾をクイクイ引いてきた。
「ほれほれ、後がつかえておるからさっさと財宝を得て次へ行くのら」
「お、おう……それで、財宝はどこだろうか?」
いかんいかん、慌てすぎて本懐を忘れる所だったぞ。
――と、そんな訳で辺りを見回したらそれはすぐ見つかった。
人の腰ほどもある大きな宝箱だ。
しかも金色に光った随分と豪勢な。
こんなすごい物、初めて拝むぜ……!
「蓋の印に触れてみよ。さすれば勝手に開いてくれよう」
「よし、こうか? おおっ、本当に開いた!」
それで言われた通りに手を触れてみる。
そうすると「ゴゴゴ」という擦れた音と共に蓋がスライドし、中身が露わになった。
おお、お宝一つどころじゃないぞ!
なんだかいくつもゴロゴロ転がっているじゃないか!
ピカピカした剣に鎧、金塊や綺麗な水晶球、薬品などもあるな!
「品定めは後ででもよかろう? 今はサクっとゲットしておくのら」
「それもそうだな。どうせ俺じゃ価値もわからんし。そいやさっ!」
それらをさっそくピッケルでドズンと一掘り。
一瞬で箱を残してインベントリへと突っ込んでおく。
「他にも遠方に残り十ヶ所もある。長丁場になるであろうから覚悟せよ!」
「おう、この調子でガンガン行くぜ!」
「らが、場を離れる前に痕跡は消しておくのら」
「それはどうすりゃいい?」
「なーに簡単よ、得た岩塊を掘った道側より使用すればよい。さすれば勝手に地形に補完されて不自然なく元通りとなろう」
「そ、そういうものなんだな」
「そういうものなのら。決してご都合展開などではないから安心せい」
なんだ、ご都合展開って。まぁいいか。
魔王の宝は頂いたし、ひとまずここは退散しておく事にする。
ウーティリスに教えられた通り、穴側から岩塊を使用して塞ぐ事も忘れない。
――そこからは勢いのまま掘り進み、各所の宝箱を順番に掘り取っていった。
時には掘った瞬間に魔物と遭遇したりもしたが、すぐに埋め立てて事なきを得る。
そうして掘っては埋めてを繰り返し、次々と宝をゲットする事ができたのだ。
すべてはウーティリスの的確な指示のおかげだな!
「……ふぃー、これであと残り一つか」
それでようやく十個目の財宝を手に入れて一息。
最深部から登りながらの採掘なのでさすがに疲れたし時間もかかった。
時間的感覚はもうわからないが、朝くらいにはなっているかもしれないな。
「ずいぶんと疲弊しているのう?」
「ずっと起きっぱなし掘りっぱなしだったからさすがにな。だがあと一ヶ所だ。その一仕事をサクッと終えてさっさとずらかろう」
「無理せんでもいいのだぞー。残っておるのは浅層の宝だしのう、どうせ価値などほとんどあるまいて」
「いや、やるなら徹底的にだ。奴らへは一ルカたりとも渡さねぇ」
そうさ、やると決めたからにはやりきってみせる。
それが幼少期より修行で培われてきた執念ってやつよ!
それにしたって急過ぎだろう!? 何も聞いていないんだが!?
「いやー言ったらまたグチグチと考え始めて面倒らなーって思って」
「だったら初手くらい練習させて!? うっかりしくじったらヤバイだろォ!?」
「まぁまぁこうして一発で仕留められたし?」
「うぐっ……」
ウーティリスも確信があったんだろうな。
俺なら信じてやってくれるって。
しかしやはり心臓に悪い!
事実がわかった途端に胸がもうバックバクだよ!
あ、でもちゃんとインベントリには「死の魔王ダルグス」って入ってるな。
しかもさりげなく説明文が長いし。
でも長すぎて面倒だから読まなくていいやな。
そうして心を落ち着かせていると、ウーティリスが腕の裾をクイクイ引いてきた。
「ほれほれ、後がつかえておるからさっさと財宝を得て次へ行くのら」
「お、おう……それで、財宝はどこだろうか?」
いかんいかん、慌てすぎて本懐を忘れる所だったぞ。
――と、そんな訳で辺りを見回したらそれはすぐ見つかった。
人の腰ほどもある大きな宝箱だ。
しかも金色に光った随分と豪勢な。
こんなすごい物、初めて拝むぜ……!
「蓋の印に触れてみよ。さすれば勝手に開いてくれよう」
「よし、こうか? おおっ、本当に開いた!」
それで言われた通りに手を触れてみる。
そうすると「ゴゴゴ」という擦れた音と共に蓋がスライドし、中身が露わになった。
おお、お宝一つどころじゃないぞ!
なんだかいくつもゴロゴロ転がっているじゃないか!
ピカピカした剣に鎧、金塊や綺麗な水晶球、薬品などもあるな!
「品定めは後ででもよかろう? 今はサクっとゲットしておくのら」
「それもそうだな。どうせ俺じゃ価値もわからんし。そいやさっ!」
それらをさっそくピッケルでドズンと一掘り。
一瞬で箱を残してインベントリへと突っ込んでおく。
「他にも遠方に残り十ヶ所もある。長丁場になるであろうから覚悟せよ!」
「おう、この調子でガンガン行くぜ!」
「らが、場を離れる前に痕跡は消しておくのら」
「それはどうすりゃいい?」
「なーに簡単よ、得た岩塊を掘った道側より使用すればよい。さすれば勝手に地形に補完されて不自然なく元通りとなろう」
「そ、そういうものなんだな」
「そういうものなのら。決してご都合展開などではないから安心せい」
なんだ、ご都合展開って。まぁいいか。
魔王の宝は頂いたし、ひとまずここは退散しておく事にする。
ウーティリスに教えられた通り、穴側から岩塊を使用して塞ぐ事も忘れない。
――そこからは勢いのまま掘り進み、各所の宝箱を順番に掘り取っていった。
時には掘った瞬間に魔物と遭遇したりもしたが、すぐに埋め立てて事なきを得る。
そうして掘っては埋めてを繰り返し、次々と宝をゲットする事ができたのだ。
すべてはウーティリスの的確な指示のおかげだな!
「……ふぃー、これであと残り一つか」
それでようやく十個目の財宝を手に入れて一息。
最深部から登りながらの採掘なのでさすがに疲れたし時間もかかった。
時間的感覚はもうわからないが、朝くらいにはなっているかもしれないな。
「ずいぶんと疲弊しているのう?」
「ずっと起きっぱなし掘りっぱなしだったからさすがにな。だがあと一ヶ所だ。その一仕事をサクッと終えてさっさとずらかろう」
「無理せんでもいいのだぞー。残っておるのは浅層の宝だしのう、どうせ価値などほとんどあるまいて」
「いや、やるなら徹底的にだ。奴らへは一ルカたりとも渡さねぇ」
そうさ、やると決めたからにはやりきってみせる。
それが幼少期より修行で培われてきた執念ってやつよ!
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