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第一三話
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しおりを挟む皆さまこんにちは、司会天使のパプリエルです。
いきなりですが、ここで問題です。
異世界物語における癒しと言ったら何でしょう?
華やかで可愛い女の子? それとも現実に無い不思議な景色?
もしかして手に汗握る熱血バトルですか?
いいえ、いずれも違います。
異世界の癒し、それはすなわち――パートナー獣です。
異世界には多くの獣型生物が存在します。
それも霊獣、聖獣、幻獣、神獣などなど、只の動物とは異なる者達が。
いずれも世界の一部として営みを築き、転行者とも関わります。
中には使役するなんて事も。
そんな理由で多くの世界にて親しまれているのではないでしょうか。
という訳で。
本日はとある世界より、その獣さん方一同をゲストにお迎えしております。
え、言葉がわからないんじゃないか?
いいえ、そんな事はございません。
本スタジオ界には高性能の自動翻訳機能が備えられておりまして。
たとえどの様な言語であろうと一瞬にして翻訳する事が可能なのです。
今までのゲスト様達も本機能のお陰で話が伝わっていた訳ですね。
潤沢な企画運営資き――総理大神様の御心のお陰でしょう。
さぁ早速スタジオが毛玉で溢れてまいりました。
たくさん来られましたねー。
毛むくじゃらのネズミさん。
二足歩行のネコさん。
お馴染みの月マーク付きイヌさん。
巨大な大鷲さん、その他諸々。
クジラさんとかどうやってここまで来れたんです?
っていうか毛玉扱いでいいの?
にしても。
いやーとても癒しに満ちてます。
この光景を見るだけでこう、キラッキラになれますね。
今の現場はリラクゼーションの宝庫なのではないでしょうか。
え、手元のコロコロは何だって?
気にしないでください今日の幸運アイテムです。
そんな感じで神聖な獣さま御一行が到着した訳ですが。
まずはお話をする前に、あるVTRをご覧になって頂きたいという要望を頂いております。
一体どの様な映像が映っているのでしょうか。
あ、映像オフの方は音声より雰囲気を感じ取って頂けると幸いです。
それではVTR、どうぞ。
『僕の名前はリアン。この神獣界に転生で迷い込んだ人間なんだ。生前は重度アレルギーの所為で動物に関わる事が出来なかったけれど、本当は動物がとっても大好きなんだ! だから転生した時、神様にアレルギーを取り除いてもらったよ。これで動物さん達と好き放題にモフモフ出来るね。とっても楽しみだなぁ』
『早速友達が出来たんだ。フェンリルっていう神獣らしいんだけど、とっても人懐っこくて。ほら見て、お腹をモフモフしてあげると(わうわう)とっても喜んでくれるんだぁ! 僕もとっても嬉しいなぁ』
『色んな友達が増えたなぁ。【わたねずみ】さん、【ゆうがねこ】さん、そして一番の友達フェンリルの【いぬきち】さん! 皆とってもいい子達で、僕の頼もしいパートナーさ!』
『あっ、危ない魔物がいる! どうしよう……えっ、【わたねずみ】さん戦ってくれるのかい!? ありがとう!(バリバリー!) おー、さすが神獣は凄いや! 魔物をこんな簡単に倒せちゃうなんて!』
『僕、こんなに一杯のモフモフに囲まれて幸せだなぁ。これならいつまででも楽しく暮らせそう。こんな世界に送ってくれて、神様感謝します』
以上がゲスト様の用意したVTRです。
実に朗らかな光景でしたね。
皆とても生き生きと楽しそうで。
転行者も願いが叶った様で、さぞ満足した事でしょうね。
おや、ネズミさんが挙手しています。
何か語りたいそうですね。
ではどうぞ。
「そりゃよゥ~お嬢さん、相手方はさぞかし満足だろうよゥ」
声野ぶとッ!!
なんかブルァァァとか言えそうな野太さなんですけど!?
見た目はもっこもこの可愛い手乗りネズミさんなんですけど、ギャップあり過ぎません?
「たりめェだ嬢ちゃん。こちとら何年生きてると思ってんだい。神獣だぜぃ? 最年少の亀公でもたった一万年よゥ。年季が違うってェもんだ」
そうですよね、神獣ですもんね。
神の使いとかで、私達天使と同格あるいはそれ以上の存在ですからね。
ご無礼、大変失礼いたしました。
「まぁ嬢ちゃんは別にかまやしねぇさね。この場に限っちゃそっちが格上よ。そうこの通りィ俺達ゃ格式を重んじるゥ。年功序列、技術能力、はてまた礼節などなど。いたらぬ方が頭を垂れるのは当然の事よ」
さすが、よくわかってらっしゃいます。
格式という物は万世共通ですね。神でもありますから。
特に世界がメジャー化したプロ神。
彼等は他の神達に崇められ、教えを請われると言います。
能力という格式を重んじた結果なのでしょう。
「しかしだ!! あの小僧は違ァァァうブルァァァ!! 長生きもしてねぃ!! 敬ってもいねぃ!! だから何が出来る? 神に力をもらっただけじゃあねぇかァァァ!! 小僧自身に何かが出来る訳じゃあねぇ~い!!」
あ、確かそう言われて見れば。
それでいきなり友達扱いですもんね。なんと畏れ多い。
「んでこれだ」(ピッ)
『えっ、【わたねずみ】さん戦ってくれるのかい!? ありがとう!』
「あの小僧、こっちの言い分なんざ全く聴きやしねぇ。一方的に意思を押し付けてきやがる。だから呼ぶ時はいつも突然よ。食事中でも、トイレ中でも、女と情事中だろうと所構わず召喚しやがるゥ。しかもどこぞのピ○○○○のノリで敵にぶつけやがンだよ。やめろォ、もうすぐ気持ち良くイく所だったんだぞ、どうしてくれんだこのフラストレィショォォォンッッッ!!!!!」
鬼畜ですね。(笑)
なるほど、皆さんの世界の転行者は相当にマイペースという訳ですか。
確かに、今まで紹介してきた方も中々ですが、これに勝るものは無いですね。
皆さんが頷いていた辺り、なんだかこれだけじゃない気がします。
おや……?
いつの間にやらネズミさんの姿がどこかに。お花摘みでしょうか。
あれネコさん、口元から何か紐みたいなのがぶら下がって……何故、口をモゴモゴさせてるのですか?
「只の癖だにゃ」
そうですか、癖ですか。
なら仕方ないですね。
それでは今回もトークを交えつつ、ゲストの皆さまに失敗談を語って頂きましょう。
神獣の皆さんと転行者リアンさんの間に起きた事柄とは果たして。
どうやら相当根深い問題な感じがありそう。
不幸センサー、とてつもなくビンビンです。
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