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第19話 宿屋って暗殺とか怖いよね
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俺は今まで、まともに宿へ泊まった事が無い。
初日は瀕死だったし、二日目も気絶していたし。
気付いたらもう朝で、直前の記憶は一切無かった。
けど今回はようやく俺が受付をする事に。
いや、大した事ではないのはわかっている。
けれどこんな世界に来たからには些細な事でも体験してみたかったんだ。
それに、ホテルに泊まるってなんかワクワクするし!
それで俺が先頭となり、宿屋へ足を踏み入れる。
すると直後、受付カウンターの人に視線を奪われた。
ものすっごい可愛い娘が受付してたんだよ……!
水色の髪でウェーブが掛かってて、なにより笑顔が可憐で綺麗で!
声も優しく、「いらっしゃいませぇ~」って微笑み混じりに挨拶してくれたんだ。
なので俺は光速でカウンターへと腰を掛けていた。
彼女とキスせんばかりの距離まで顔を近づけて。
「四名、泊まりたいんだけど、部屋はあるかな?」
「はぁい。今は四人部屋しか空いてませんが、それでよろしければぁ!」
「ではそこで。あと良かったらこのお店のサービスを聞きたいんだけど……いいかい?」
「もちろんですぅ~!」
距離を詰める事が合法的に許されているので、なんだか気持ちも大きくなる。
おかげでこんなアプローチ出来る勇気がムクムクと湧いて来る様だよ。
相手も全然嫌がってないみたいだし。
物理的距離感が近いってイイな!
「な、なによ翔助ったら……こんな簡単に女の子にデレデレしちゃうなんて!」
「ハッハッハ、男子たるもの魅惑の女性に声をかけるのは当然の事ですからなぁ」
「でっすね。あの光景を見ていると昔を思い出しぃそうでっす。子供の頃はぁ、んもう一杯の男子にぃ告白されまくってぇ~!」
「え、ユーリスって告白された事あったの……?」
「余裕でありまっすよ。この通りぃウチ美少女でっすから! ウィシュカさんはぁないんでっすか?」
「……次の街で、また着替えトライしてみようかなぁ」
背後でも妙に盛り上がっているが、この際あっちは置いておこう。
俺は宿屋の受付嬢とお話するので精一杯だからな。
せっかくだから荷を下ろした後も話をしに行くとしようか。
それで記帳に四人の名前を書き、部屋を取る。
「それではごゆっくりどうぞ~!」
すると受付嬢が明るくこう返してくれた。
やっぱり可憐だと挨拶から何まで凄く様になってるよなぁ――
――外からスズメの様な鳴き声が聴こえて来る。
それとなんだか不思議と、身体が力で満ち溢れるかの様だ。
宿の受付中に少し視界が暗くなったと思ったが、一体何かあったのだろうか。
「おはようございます!」
そう思考していた矢先、受付嬢が意味のわからない事を言ってきた。
先と変わらず、カウンターへと腰を掛けていた俺に対して。
「え、待って何、一体どういう事!?」
「朝になりました!」
「なんで!? 今、受付しながら話してたよね!?」
姿勢はさっき話していた時と寸分も変わらない。
それどころか顔を合わせて話していたままなのに。
でも気付いたらもう朝だった。
おかしい。何かがおかしい。
俺は部屋を取った後、この受付嬢と楽しく話を交わすはずだったのに。
深夜までしっぽりと楽しみ、あわよくばを狙っていたのに。
「昨晩はお楽しみでしたね!」
「いや、何も記憶ないんだけど!? むしろ何があったの!?」
「またのお越しをお待ちしております!」
だがこんな時に限って受付嬢は問答無用で押し通してくる。
こうなるとむしろ俺との会話を嫌がっている様にしか思えないんだが!?
全く事情が呑み込めない。
それで助けを求める様に、慌てて仲間に振り向いたんだけども。
なぜかウィシュカやユーリス、そしてシスメさんもが視線を逸らしていた。
それも顔を赤らめ、恥ずかしそうにモジモジしながら。
「ほんと何があったのォォォ!?」
帰ってこい、俺の昨晩の記憶。
彼女達と一体何があったのか、その思い出を返して欲しい。
せめて何があったのかくらいは説明してくれないと、もう泣きそう。
その余りの辛さに、俺はカウンターへとうずくまる。
一夜の過ちを犯したかもしれないという罪深さに耐えきれなくて。
……もしかして余りにも罪深すぎて記憶が吹き飛んでしまったのか?
だとしたら一体どんなアブノーマルプレイをやらかしたんだ、昨夜の俺ェ!!?
「安心してくだされ翔助殿。昨夜の記憶は皆ありませぬ。宿屋に泊まると、宿泊者は受付した後から意識を強制で飛ばされ、朝を迎えてしまうのですぞ。その娘の台詞もテンプレですな」
「なにその紛らわしいテンプレ。誰なの台本用意した奴」
しかしどうやらそんな事実は無かったらしい。
図ったかのようなダウゼンの解説に、ホッと胸をなでおろす。
――って、これが落ち着いていられるかァァァ!!!!!
「つかなんだよ、そのRPGの宿システムをそのまま踏襲した仕様は!? なんで勝手に意識飛ばしちゃうんだよ! 夜にやれる事だって一杯あるのに!」
「意図はわかりませぬが、そういう仕様なのです。しかもそのお陰で、泊まり中は暗殺者からの奇襲を完全に防げるという話ですぞ」
「なんだか暗殺イベントを防ぐ為の仕方ない処置みたいに聞こえてしょうがないんだが? 設定班、もう少し考えよ!?」
『ターゲットが間違っています』
なにせその謎の仕様のお陰で、受付嬢との憩いの時間が潰されたからな。
まぁなんか距離感感じちゃったから意欲も削がれたけどさ。
いくらモブ役だろうと意思や個性はあるし、強制はいけないよな。
とりあえず、一泊を済ませたので宿を後にする。
少し心残りがあるのか、俺だけが後ろ髪を引かれつつ。
受付嬢、それだけ可愛かったから。
「しかし良かったのですかな、翔助殿?」
「何がだ、ダウゼン?」
「あの受付嬢をパーティに勧誘しなくても。好みだったのでは?」
「勧誘……?」
けどそんな折、ダウゼンがまたよくわからない事を言い始めて。
どうやら俺の知らないシステムがまだあったらしい。
失い掛けた淡い恋心はかろうじて潰えていなかった様だぞ……!
初日は瀕死だったし、二日目も気絶していたし。
気付いたらもう朝で、直前の記憶は一切無かった。
けど今回はようやく俺が受付をする事に。
いや、大した事ではないのはわかっている。
けれどこんな世界に来たからには些細な事でも体験してみたかったんだ。
それに、ホテルに泊まるってなんかワクワクするし!
それで俺が先頭となり、宿屋へ足を踏み入れる。
すると直後、受付カウンターの人に視線を奪われた。
ものすっごい可愛い娘が受付してたんだよ……!
水色の髪でウェーブが掛かってて、なにより笑顔が可憐で綺麗で!
声も優しく、「いらっしゃいませぇ~」って微笑み混じりに挨拶してくれたんだ。
なので俺は光速でカウンターへと腰を掛けていた。
彼女とキスせんばかりの距離まで顔を近づけて。
「四名、泊まりたいんだけど、部屋はあるかな?」
「はぁい。今は四人部屋しか空いてませんが、それでよろしければぁ!」
「ではそこで。あと良かったらこのお店のサービスを聞きたいんだけど……いいかい?」
「もちろんですぅ~!」
距離を詰める事が合法的に許されているので、なんだか気持ちも大きくなる。
おかげでこんなアプローチ出来る勇気がムクムクと湧いて来る様だよ。
相手も全然嫌がってないみたいだし。
物理的距離感が近いってイイな!
「な、なによ翔助ったら……こんな簡単に女の子にデレデレしちゃうなんて!」
「ハッハッハ、男子たるもの魅惑の女性に声をかけるのは当然の事ですからなぁ」
「でっすね。あの光景を見ていると昔を思い出しぃそうでっす。子供の頃はぁ、んもう一杯の男子にぃ告白されまくってぇ~!」
「え、ユーリスって告白された事あったの……?」
「余裕でありまっすよ。この通りぃウチ美少女でっすから! ウィシュカさんはぁないんでっすか?」
「……次の街で、また着替えトライしてみようかなぁ」
背後でも妙に盛り上がっているが、この際あっちは置いておこう。
俺は宿屋の受付嬢とお話するので精一杯だからな。
せっかくだから荷を下ろした後も話をしに行くとしようか。
それで記帳に四人の名前を書き、部屋を取る。
「それではごゆっくりどうぞ~!」
すると受付嬢が明るくこう返してくれた。
やっぱり可憐だと挨拶から何まで凄く様になってるよなぁ――
――外からスズメの様な鳴き声が聴こえて来る。
それとなんだか不思議と、身体が力で満ち溢れるかの様だ。
宿の受付中に少し視界が暗くなったと思ったが、一体何かあったのだろうか。
「おはようございます!」
そう思考していた矢先、受付嬢が意味のわからない事を言ってきた。
先と変わらず、カウンターへと腰を掛けていた俺に対して。
「え、待って何、一体どういう事!?」
「朝になりました!」
「なんで!? 今、受付しながら話してたよね!?」
姿勢はさっき話していた時と寸分も変わらない。
それどころか顔を合わせて話していたままなのに。
でも気付いたらもう朝だった。
おかしい。何かがおかしい。
俺は部屋を取った後、この受付嬢と楽しく話を交わすはずだったのに。
深夜までしっぽりと楽しみ、あわよくばを狙っていたのに。
「昨晩はお楽しみでしたね!」
「いや、何も記憶ないんだけど!? むしろ何があったの!?」
「またのお越しをお待ちしております!」
だがこんな時に限って受付嬢は問答無用で押し通してくる。
こうなるとむしろ俺との会話を嫌がっている様にしか思えないんだが!?
全く事情が呑み込めない。
それで助けを求める様に、慌てて仲間に振り向いたんだけども。
なぜかウィシュカやユーリス、そしてシスメさんもが視線を逸らしていた。
それも顔を赤らめ、恥ずかしそうにモジモジしながら。
「ほんと何があったのォォォ!?」
帰ってこい、俺の昨晩の記憶。
彼女達と一体何があったのか、その思い出を返して欲しい。
せめて何があったのかくらいは説明してくれないと、もう泣きそう。
その余りの辛さに、俺はカウンターへとうずくまる。
一夜の過ちを犯したかもしれないという罪深さに耐えきれなくて。
……もしかして余りにも罪深すぎて記憶が吹き飛んでしまったのか?
だとしたら一体どんなアブノーマルプレイをやらかしたんだ、昨夜の俺ェ!!?
「安心してくだされ翔助殿。昨夜の記憶は皆ありませぬ。宿屋に泊まると、宿泊者は受付した後から意識を強制で飛ばされ、朝を迎えてしまうのですぞ。その娘の台詞もテンプレですな」
「なにその紛らわしいテンプレ。誰なの台本用意した奴」
しかしどうやらそんな事実は無かったらしい。
図ったかのようなダウゼンの解説に、ホッと胸をなでおろす。
――って、これが落ち着いていられるかァァァ!!!!!
「つかなんだよ、そのRPGの宿システムをそのまま踏襲した仕様は!? なんで勝手に意識飛ばしちゃうんだよ! 夜にやれる事だって一杯あるのに!」
「意図はわかりませぬが、そういう仕様なのです。しかもそのお陰で、泊まり中は暗殺者からの奇襲を完全に防げるという話ですぞ」
「なんだか暗殺イベントを防ぐ為の仕方ない処置みたいに聞こえてしょうがないんだが? 設定班、もう少し考えよ!?」
『ターゲットが間違っています』
なにせその謎の仕様のお陰で、受付嬢との憩いの時間が潰されたからな。
まぁなんか距離感感じちゃったから意欲も削がれたけどさ。
いくらモブ役だろうと意思や個性はあるし、強制はいけないよな。
とりあえず、一泊を済ませたので宿を後にする。
少し心残りがあるのか、俺だけが後ろ髪を引かれつつ。
受付嬢、それだけ可愛かったから。
「しかし良かったのですかな、翔助殿?」
「何がだ、ダウゼン?」
「あの受付嬢をパーティに勧誘しなくても。好みだったのでは?」
「勧誘……?」
けどそんな折、ダウゼンがまたよくわからない事を言い始めて。
どうやら俺の知らないシステムがまだあったらしい。
失い掛けた淡い恋心はかろうじて潰えていなかった様だぞ……!
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