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『第二部 乱界編』プロローグ
~ありしひのうた~
しおりを挟むある日……少年はその身を以って世界の急激な変化を垣間見た。
己の人生をも大きく変えたその出来事は、少年の心を大きく揺れ動かし成長させたのだった。
多くの恩人、多くの仲間、多くの友……急変した世界で彼は多くの人々と触れ合い、心に触れた。
その数こそ多いのかと問われれば決してそう多くはないのかもしれない。
けれどそれは少年にとって十分過ぎる程に強く濃く繋がった絆と成っていた。
故に……少年はそれを失う事を恐れたのだ。
求められ、良かれと思い、少年は戦場へ足を運ぶ。
だがその裏で蠢く悪意が少年の心を蝕み、深い黒で染め上げていく。
彼が求めうる想い、願い、望む形を……それらが無造作に、容赦無く覆い包み込んでいく。
人と獣、明と暗
果たしてどちらがどちらであるのか……その答えを導き出す事が出来るのは……どちら側でも無いのだろう。
分かつ理は、天の定めか
たとえそうであろうとも、人は望む……繋がり育む事でその答えの先を導き出す事を。
願わくば、永久の其であれ
出会えてしまった者達が築く、多くの者達の想いを繋ぐ調べ。
この物語は、少年が時を経て絆を継ぐ……その一片の語り事に過ぎない。
――――――
―――
―
そこは何処
闇に包まれた世界は無音を誘う
空には月が、星が、大地を照らすも黒の斑点が
覆い包んで闇の斜陽で全部塗り潰す
時折呼んだか風吹けば
黒の斑点は逆らう事無く揺ら揺らと
ちらりと覗く星々は煌ら煌らと
瞬き騒ぐ黒の空色は、誰ぞ心の写し絵か
「―――あれが、そうか」
闇に紛れ、低い声が森の囁きに紛れる。
月の明かりを受けた瞳が星の様に瞬き空を見上げていた。
「行くか?」
「当然だろう……」
その傍にも一人、もう一人……凝らしてみれば、闇に潜むのは大地の星の様。
先に声を上げた者が差すのは天。
「今こそその時……成さねばならぬ。 それこそが世界の―――」
「なれば問わぬ。 行くとしよう……神を堕とす為に―――」
その二言で……彼等は消えた。
地に残りし星々は、彼等の行く末を見届ける。
真っ直ぐと見据え、空を突く。
空と大地の狭間にて、一つの影が闇夜を劈く時……彼等には見えた。
大きな月すらも覆い隠さんばかりの……巨大な斑点が。
彼等は見る。
そこにある世界の可能性を。
「我々は……テンシとは成らぬ……!!」
時き継幻想 フララジカ……世界は緩やかに混ざり合う。
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