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第55話 ファンレターは突然に
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司条遥との攻略対決からはや一週間が過ぎた。
でもあれからやってくるのはマスコミくらいで、司条遥側からは何の通達も来ない。
勝負が一体どうなったのかもうやむやのままだ。
まぁ委員会が何かしら手を回しているのかもしれないけれど。
なにせ先日の攻略動画がすさまじい人気を博しているのだから。
恐ろしい事に、すえつぐの動画がたった三日で一億再生を突破してしまったのだ。
それどころか現在は三億を超え、なおカウントが意味不明なくらいに上昇し続けている。
正直もう規模がわからなさすぎてすごさを表現する術がない。
けどここまでくれば委員会も俺達が負けだと言えないらしい。
たしかにバトラー田辺側の動画ももうすぐ一億突破するけど、それでも受けているのはニッチな方向な訳で。
ええとまぁしいて言うなら?
お嬢様が泣き叫ぶ所を見るのが好きな変態紳士御用達の動画となった模様。
バトラー田辺側も開き直ったのか編集がモロネタだらけだからもう。
という訳で、動画は盛り上がっているけど世間は大人しい方。
そろそろマスコミも静かになってきたし、まともな学園生活が戻ってきた気がする。
「いいねいいね澪奈ちゃん、笑顔が可愛いよー!」
「フゥー! これどお!?」
「最高! もう大好き!」
「なんでグラビアゴッコやってんの? 澪奈パイセンとすえつぐ」
「俺に聞かないで?」
ただし今日はあのすえつぐが突撃インタビューしに来る日。
それでいざ授業が終わって部室に来たらこの調子である。
澪奈部長、なんで水着なんて着てるんですかね。
オフシーズンなのになんであるんですかね。
ちょっと俺には刺激が強過ぎます!
あ、でもちょっと胸元は寂しい、かな?
なるほど、コンが一切見向きもしなかったのはそういう事。
「それじゃみんな揃った所でさっそくだけど、インタビューをさせてもらうよ」
「あれ、すえつぐ今日助手がいるとか言ってなかったっけ」
「ああ、ちょっとやる事ができちゃったみたいで今日は僕だけなんだ。動画編集に凝ってる奴でさ、気になる事があるとすぐそっちに集中しちゃってねぇ」
おや、助手――というか弟さんは今日は来れないんだな。
この学校にいるというし、会ってみたかったんだけど。
そういえば前の席の緒方君も動画編集が好きだとか言ってたな。
もしかして彼とも協力したらもっといい動画を作れたりしないだろうか。
よくわかんないけど。
「まぁそんな事はどうでもいいとして。ではさっそくだけど話に入る前に、みんなに渡したい物がありまーす!」
「「「金一封!?」」」
「どうしてそこでそうなるのか」
「あはは、そうしたいのはやまやまだけど、まだ動画の収益振り込まれてないからちょっと待ってねー。で、今日持って来たのはなんと、みんなへのファンレターだよー!」
「「「ファンレター!!!」」」
お、おう、ファンレター!?
これはいくらなんでも俺だってわかる。
だけどなんですえつぐが俺達のファンレターなんて持ってるんだ?
「実はプレイヤーが学校関係の団体所属だと、ファンレターを直接送るのは禁止されているんだ。学業に支障をきたすからね主に教師陣が。だから代わりに僕がファンレターを集めて持って行こうって事になってね。そうしたらもう大反響さ!」
お、なんか床に置いてあった段ボール箱を取り出したぞ。
え、中は全部ファンレターなのか!? 機材入れかと思っていたのに!
「本当は書き込みに反応してくれればいいんだけど、生放送中は無理でしょ?」
「そりゃまーねぇ」
「だからファンレターを送ってくれたら、それを見せた反応を動画にしましょう、って事になりました!」
「わお、アナログっぽいけどそれも面白そうー!」
「という訳で、最初は宝春の最強エース間宮彼方君から!」
「お、俺から!?」
ま、まって、俺どう反応したらいいかわからないんだけど!?
せめて誰かの後にして欲しい!
「はいこれ」
「お"ッ!? 厚っ!? それが三束とか多っ!? これ全部ファンレター!?」
「うん、君への宛先がやっぱり一番だった。特に司条遥を助けたシーンがやっぱりすごすぎて。あれ反響すさまじいんだよねぇ」
「動画管理者だからこそわかる闇の真実ってやつね……フフフ」
で、これをどうすればいいのかな?
まさか全部返信して返すとかないよな?
「そこから三通くらい抜き取って、内容を読んであげて欲しいんだ。あとお返しの言葉も欲しいかな」
「あ、はい。えっとじゃあこれで。『間宮彼方さんへ。とってもかっこよい戦いをみせていただきました。おかげでもう一発でファンになってしまいました』えええ!? あ、いや、お、俺もこう言われて嬉しいっす……!」
「反応が初々しいねぇ彼方っち!」
「赤面する所がたまりませんなぁグッフフフフ!」
くっ、他人事だと思ってぇ!
つくしめ、あとで見てろよ!
その後も軽く読み流してちゃんと応えてあげた。
お礼とか言うくらいでいいんだろうか?
手紙の主はちゃんと見てくれるだろうか?
この動画の再生数どうなるかな!?
あああ、もう気になるううう!
でもあれからやってくるのはマスコミくらいで、司条遥側からは何の通達も来ない。
勝負が一体どうなったのかもうやむやのままだ。
まぁ委員会が何かしら手を回しているのかもしれないけれど。
なにせ先日の攻略動画がすさまじい人気を博しているのだから。
恐ろしい事に、すえつぐの動画がたった三日で一億再生を突破してしまったのだ。
それどころか現在は三億を超え、なおカウントが意味不明なくらいに上昇し続けている。
正直もう規模がわからなさすぎてすごさを表現する術がない。
けどここまでくれば委員会も俺達が負けだと言えないらしい。
たしかにバトラー田辺側の動画ももうすぐ一億突破するけど、それでも受けているのはニッチな方向な訳で。
ええとまぁしいて言うなら?
お嬢様が泣き叫ぶ所を見るのが好きな変態紳士御用達の動画となった模様。
バトラー田辺側も開き直ったのか編集がモロネタだらけだからもう。
という訳で、動画は盛り上がっているけど世間は大人しい方。
そろそろマスコミも静かになってきたし、まともな学園生活が戻ってきた気がする。
「いいねいいね澪奈ちゃん、笑顔が可愛いよー!」
「フゥー! これどお!?」
「最高! もう大好き!」
「なんでグラビアゴッコやってんの? 澪奈パイセンとすえつぐ」
「俺に聞かないで?」
ただし今日はあのすえつぐが突撃インタビューしに来る日。
それでいざ授業が終わって部室に来たらこの調子である。
澪奈部長、なんで水着なんて着てるんですかね。
オフシーズンなのになんであるんですかね。
ちょっと俺には刺激が強過ぎます!
あ、でもちょっと胸元は寂しい、かな?
なるほど、コンが一切見向きもしなかったのはそういう事。
「それじゃみんな揃った所でさっそくだけど、インタビューをさせてもらうよ」
「あれ、すえつぐ今日助手がいるとか言ってなかったっけ」
「ああ、ちょっとやる事ができちゃったみたいで今日は僕だけなんだ。動画編集に凝ってる奴でさ、気になる事があるとすぐそっちに集中しちゃってねぇ」
おや、助手――というか弟さんは今日は来れないんだな。
この学校にいるというし、会ってみたかったんだけど。
そういえば前の席の緒方君も動画編集が好きだとか言ってたな。
もしかして彼とも協力したらもっといい動画を作れたりしないだろうか。
よくわかんないけど。
「まぁそんな事はどうでもいいとして。ではさっそくだけど話に入る前に、みんなに渡したい物がありまーす!」
「「「金一封!?」」」
「どうしてそこでそうなるのか」
「あはは、そうしたいのはやまやまだけど、まだ動画の収益振り込まれてないからちょっと待ってねー。で、今日持って来たのはなんと、みんなへのファンレターだよー!」
「「「ファンレター!!!」」」
お、おう、ファンレター!?
これはいくらなんでも俺だってわかる。
だけどなんですえつぐが俺達のファンレターなんて持ってるんだ?
「実はプレイヤーが学校関係の団体所属だと、ファンレターを直接送るのは禁止されているんだ。学業に支障をきたすからね主に教師陣が。だから代わりに僕がファンレターを集めて持って行こうって事になってね。そうしたらもう大反響さ!」
お、なんか床に置いてあった段ボール箱を取り出したぞ。
え、中は全部ファンレターなのか!? 機材入れかと思っていたのに!
「本当は書き込みに反応してくれればいいんだけど、生放送中は無理でしょ?」
「そりゃまーねぇ」
「だからファンレターを送ってくれたら、それを見せた反応を動画にしましょう、って事になりました!」
「わお、アナログっぽいけどそれも面白そうー!」
「という訳で、最初は宝春の最強エース間宮彼方君から!」
「お、俺から!?」
ま、まって、俺どう反応したらいいかわからないんだけど!?
せめて誰かの後にして欲しい!
「はいこれ」
「お"ッ!? 厚っ!? それが三束とか多っ!? これ全部ファンレター!?」
「うん、君への宛先がやっぱり一番だった。特に司条遥を助けたシーンがやっぱりすごすぎて。あれ反響すさまじいんだよねぇ」
「動画管理者だからこそわかる闇の真実ってやつね……フフフ」
で、これをどうすればいいのかな?
まさか全部返信して返すとかないよな?
「そこから三通くらい抜き取って、内容を読んであげて欲しいんだ。あとお返しの言葉も欲しいかな」
「あ、はい。えっとじゃあこれで。『間宮彼方さんへ。とってもかっこよい戦いをみせていただきました。おかげでもう一発でファンになってしまいました』えええ!? あ、いや、お、俺もこう言われて嬉しいっす……!」
「反応が初々しいねぇ彼方っち!」
「赤面する所がたまりませんなぁグッフフフフ!」
くっ、他人事だと思ってぇ!
つくしめ、あとで見てろよ!
その後も軽く読み流してちゃんと応えてあげた。
お礼とか言うくらいでいいんだろうか?
手紙の主はちゃんと見てくれるだろうか?
この動画の再生数どうなるかな!?
あああ、もう気になるううう!
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