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第41話 司条遥の華麗なる企み

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 司条遥達の登場シーンには俺達も驚かされてしまった。
 まさか最新式のドローンに乗って盛大にやって来るとは思いもしないだろう。

 そして奴らは遥を中心にして、規律正しく並んで歩いて来る。
 その完璧なまでの統率っぷりには度肝さえ抜かれてしまいそうだ。

 おまけにあの笑み。
 憎たらしいが、あまりにも余裕が見えて逆にすごいとさえ思えてしまうぞ!?

「ではさっそく着替えて出撃して頂きましょう」
「着替え? そんなの必要ありませんことよ」
「「「えっ?」」」

 だが奴らの余裕はそこだけに留まらなかった。
 司条遥はさらに不敵な笑みを浮かべ、仲間ともども自らの肩を掴んでいて。

 しかも奴らが一斉に、制服を一瞬にしてはぎ取っただって!?

 その途端、奴らの下から純白のスーツが露わに。
 金の装飾をあしらった豪華絢爛な様相が!

 あいつら、この為だけに脱ぎ捨て用の制服を用意していたのかよ!?

「もう着替えは済んでありますので、さっそくですがナンバーワンの責務を果たすために先に突入させていただきますわぁ!」
「わかりました!」
「それではみなさん、行くとしましょう」
「「「ハイッ!」」」

 その足並みもあざやかだ。
 すべてが打合せ通りと言わんばかりの、一糸乱れない揃った走り。
 そんな奴らが躊躇う事なく一直線にダンジョンへと向かっていく!

「ちぃ!? まさかあの女っ!? こんな事のためにここまで演出するなんて!?」
「タク! 私達もはやく着替えないと!」

 大阪や東北チームも慌てっぷりがすごい。
 彼等にとってもこれは予想外だったようだ。

 けどなんだ、四位五位はまったく動じる様子がないぞ……!?
 まさか、あいつら――

「さて……悪いな、関西、東北。俺らもさっさと行かせてもらうとするぜェ」
「じゃあねーせいぜい足掻いて?」
「んなっ!?」

 悪い予感が当たってしまった。
 まさか四位と五位もが司条遥同様、服を一瞬で脱ぎ去ったなんて!?

 あの二チームもすでにスーツを着込んでいたのか!
 しかもそのための使い捨ての服までも用意していた!?
 まさかこれも、司条遥の差し金なのか!?

「まさかあのドリルッ!? ワシらが結託する事を読んでやがったかあッ!!?」

 四位五位もがダンジョンに向けて走っていく!
 これでは出遅れもいい所だぞ!?

 くっ、こうなる事は奴らの計画の範疇だったんだ。
 俺達が二位三位と組む事も、それで勝つ気でいる事も!

 その上で、奴らはさらに軽く乗り越えていきやがった!
 完全に出し抜かれたぞ……!

「東北ッ! 宝春! さっさと着替えていくぞ! 考えてる暇はねぇー!」 
「お、おう!」
「じょーだんきついってぇ! みんな急ぐよ!」
「でも俺達のスーツが!?」
「あっ!? もお~~~どうしてこう段取り悪いかなぁあーしらは!」

 対して俺達はあまりにも無知過ぎた。
 トップオブトップスとしての対応が普段とどこまで違うかなど、未知の領域過ぎて。

 だからいつも通りに対応していたらこのザマだ!

「お前達! これを受け取れえっ!」
「先生!? タイミングバッチリじゃんっ!」

 ッ!? でも紅先生が機転を利かしてくれていた!?
 先生がすでにバスから新品のスーツを持って来てくれていたのか! よしっ!

 それを受け取り、すぐさま着替え室へ走る。

 新品のスーツはなんか格好良い。
 黒基調は変わらないが、青のラインが入ってスタイリッシュになっている。
 これだけでも気分が跳ね上がるようだ!

 そんなスーツへ速攻で着替え、ダンジョン前へと向かう。
 つくし達も同じくらいに出てきたから揃っての出撃だ。

 だが俺達は思わず入口前でつい足を止めてしまった。
 入口の中すぐに設置されていたオブジェを前にして戦慄させられた事によって。

 人が括りつけられた木の幹が置かれていたのだ。
 先日めった刺しされた子がそのままの状態で。

「なんやカラス除けかいな……!」
「魔物もやる気十分って感じね」

 その惨状には大阪や東北チームも驚愕を隠せないでいる。
 ここまでの殺意を見せつけられたのは彼等も初めてだったらしい。

「彼方」
「なんだ? つくし」
「あれも蘇生できる?」
「ダンジョンがある限りは行けると思う。ただ……」
「だねぇ、今はあの子に悪いけど優先度低いっしょ。攻略を急がなきゃ」
「ああ、でも終わったら必ず助ける!」
「んじゃ行くよぉ宝春がくえーん!」
「「「おおー!」」」

 すぐに蘇生できなくてすまない。
 けど既に死んでいるなら今は後回しにさせてくれ!
 今生きている人を救う、それが一番大事な事だから。

 そう想いを胸に秘め、俺達はダンジョンへと突入した。

 目的はあくまで人質救助とダンジョンの破壊。
 勝負はその末の成果にゆだねるしかない。
 その事だけは忘れてはいけないのだ。

 俺達がトップオブトップス――日本最高峰のプレイヤーチームである限り。
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