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第8話 GO!GO!ダンジョン!

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 俺達が話をしている間に、もうプレイヤー全員がダンジョンの入口近くにスタンバイしていた。
 あとは先行部隊である楠のプロチームが入るのを待つだけか。

「よしみんな、今日も力を合わせてこの戦いを無事に乗り切ろう!」

 そんな楠が声を上げ、遂にダンジョンへと突入していく。
 薄い光の膜を走って抜け、次々に人がなだれ込んでいくぞ!

 たしか俺達のチーム突入は最後のほうだったか。
 一応格式があるようなのでここはじっと我慢だ。

「きたきたぁ! 宝春学園GO~!」
「イエーイっ!」

 そして遂に俺達の番。
 最後尾のチームと一緒にとうとうダンジョンへと足を踏み入れる。

 ……中は天然洞窟といった感じか。
 床面こそ不思議と整っているけれど、天井からは無数の鍾乳石が垂れ下がっている。
 そんな薄暗い中に大勢なだれ込む風景の方がずっと異質だ。

 でもそんな時、一人の人物を基にプレイヤー達が右へと曲がっていく。
 よく見ると、不自然に四角く掘り出されたような通路があった。

「各自、自分用の武器をすぐに選んでくれ! えり好みしている暇はないぞ!」

 そう声を上げたのは誘導していたその人物――楠だ。
 だが、それにしても武器とは一体?

 でもそう思いつつ通路を通った途端、奇妙な部屋に辿り着いた。

 まるでくりぬいたかのように整った石レンガ張りの部屋だ!
 しかも部屋の中にたくさんの武器が立てかけて並べられている!?

「彼方、好きな武器を選んで使っていいよ! きっとどれも余るから!」
「え、ええ!?」

 いきなりそんな事を言われても困る!
 せめてこれくらいは事前に教えて欲しかったよ!

 本当によりどりみどりだ。
 片手剣や大剣、槍や杖、斧やら金槌、鞭とかもう多彩過ぎて把握しきれない。

「こ、これ全部持っていくとかってアリですかね?」
「アッハハ、それはさすがにナシっしょ~。どれかに絞った方がいいよぉ? ダンジョンでは持つ武器で職業が変わって、職ごとにレベルってのが設定されててねぇ。戦い続けると上がっていくんよぉ~」
「レベルが上がらないと?」
「単純に弱いままだしぃ! なら経験値を一つの職に集中させた方がマシっしょ?」

 なるほど、ダンジョン攻略ではそうやって効率化を目指しているんだな!
 そういう事なら仕方がない。じゃあどれを選ぼうか。

 つくしはそんな中で片手杖を取っている。
 澪奈部長は片手剣と小盾、モモ先輩は大杖だ。

 すると突然、三人の姿がふわっと輝いて――いきなり姿が変わった!?

 つくしは白に黄色の刺繍が入ったジャケットとロングスカートに。
 澪奈部長は少し露出の多めだけど軽そうな銀緑の鎧に。
 モモ先輩は黒くておどろおどろしいローブへと。
 でもちゃんと学園の刺繍が変化後でも装備に浮き上がっている!

 よく見たら変わっているのは彼女達だけじゃない。
 周りの人も武器を取ってどんどんと姿を変えていく!?

「んふふー彼方驚いてる! 実はレベルが上がるとダンジョン内で能力が向上するだけじゃなく、こうして持ち込み品も勝手にランクアップして変わってくれるの! へんしーんって!」
「しかもぉ、プレイヤーの趣向に寄せてくれる親切設計だしぃ♪」
「クシシッ、つまりここからが我が内に秘めたる暗黒の力の本領発揮よ……!」
「すごいなダンジョン!」

 すごい、かっこいい! 俺も変身したい!
 なので俺もその勢いに乗り、せっかくだからと使った事のない小斧を取ってみた。
 よし、変・身ッ!

 だけど姿は変わらない。なぜだ!

「あーごめん彼方、最初はレベル1だから装備は変わらないよー」
「くうっ、俺も姿を変えてみたかったのにぃ……!」
「ちなみにこうやって各自の能力が見られまーす! 見ろ! すてーたすおーぷん!」
「あ、本当だ。俺のレベルは1……やっぱ初めてだからかー」

 まぁ仕方ない、なら小斧レベルを上げるために頑張るとするか。

 どうやらステータスオープンで自分だけでなく人の能力も見られると。
 ふむふむ。つくしは錫杖で、澪奈部長は小剣と盾、モモ先輩は長杖か。
 レベルだけでなく装備の名称や各能力値、使える魔法も見られるな。

「それにしても彼方っち、妙に順応してるよねぇ。もうステータス操作も覚えてっし」
「驚きうすーい! つまんなーい!」
「まるで俺の反応を見て楽しんでるみたいな言い草だなぁ」
「フフフ、当たらずとも遠からずね……ダンジョンを知らない人なんて今どきレアだもの」

 とはいえ最初から武器を用意してくれるのはとても助かる。
 素手で挑まされるよりもずっと気楽だからな。
 このダンジョンというものは思ったよりプレイヤーに優しい造りをしているようだ。

 そんな武器をみんな持ったからか、部屋からどんどんと出ていく。
 ここからがきっと本番なのだろう。

 そこで俺達もその流れに乗り、本筋の道へと駆け足で戻るのだった。
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