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第2話 ダンジョン部へようこそ
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「着いたーっ!」
二人で素足のままパタパタ歩き、二階にある部屋へと辿り着く。
その間、およそ一分半。短い!
手を握られて夢心地になれたのはほんの一瞬だけだった。
校舎があと百メートル長ければもっと堪能できたのに!
い、いや、ダメだ。
そんなに長かったら虹岡さんの体力が持ちそうにない。
いいんだ、今はこれくらいでも充分なんだから!
今だけ、じゃないといいんだけど。
――それにしても、だ。
表札には『応接室』と書いてあるけど、ここに一体何の用が……?
「たのもーっ!」
だが虹岡さんは俺に考える間も与えず、すぐにバタァンと扉を開いた。
うん? 中に誰かいるぞ?
しかも二人、どちらも女子みたいだ。
「お、つくしじゃんー! 来たねぇ~!」
一人は見るからにギャルと言った感じの人。
ウェーブの掛かった茶色い髪に緑のラインがかかっているし、スマホはキラキラにデコっているし。なにより仕草がもう。
それに机に踵をかけていて色々と無防備過ぎなんだけど。
「クックック、我らの支配領域へようこそ……」
もう一人はなんだかこう、邪悪な感じでギャルの人と釣り合わない雰囲気。
メガネをかけていて、黒フードをかぶってニタァって感じで笑みを浮かべている。
不思議とメガネが輝いて目元が見えないのが怪しさ満点だ。
そしてどちらも制服のチェック色が青くないので上級生。
ギャルの人は赤だから三年生、邪悪の人のは緑だから二年生か。
「パイセン! 追加新人も連れてきたよー!」
「やるじゃんつくしィ! でかしたぁーーー♪」
虹岡さんは彼女達と知り合いなのか?
中学が同じだったりとかなのだろうか。
「という訳でー紹介しまーす! 同じクラスの間宮カタナ君!」
「彼方だけど?」
「いいねぇ男子ぃ! 一人くらいは欲しいなって思ってたんよぉ~」
そもそも彼女達は一体何の集団なのだろうか?
俺は一切何も聞かされていないのだけど。
「それでは~ようこそ彼方っち! 宝春学園ダンジョン部へ!」
――え? ダンジョン……部?
「……あれ? なんか反応薄くね?」
「ククク、困惑を隠せないようね。無理も無いわ。なぜならこの私が――」
「もしかしてつくしィ、そこんとこワケ話してないんじゃ?」
「えへへ、わっすれてたー!」
「はぁ~~~やっぱりかぁ!」
ダンジョンってなんだ? 新手の競技とかか?
そんな部パンフにも書かれてなかったはず。
ただこの名自体はたしか本屋で見かけた気がする。
けど、気に留めた事がないから何かまではわからないぞ?
もしかして俺みたいな世間知らずにはハードルが高いヤツなのでは!?
「ごめんねぃ彼方っち、つくしってばアホの子だからさぁ~」
「まぁそれは本人も自称してたし仕方ないですよ。気にしてないっす」
「ごっめーん!」
「んじゃそういう事でぇ、あーしらはぁダンジョン攻略をするための部でぇ――」
「すいません、そもそもダンジョンがわからないです」
「……え、マヂ?」
だからと正直に答えたら、三人揃って唖然っていう予想通りな反応が返ってきた。
や、やめろぅ! 珍獣を見るような目で見ないでほしい!
こ、これは仕方のない事なんだよ。
俺は今まで一身上の都合で世間への関心を一切失っていたんだから!
「今どきダンジョン知らないとかぁ、ある意味すごくね?」
「すいません、俺の家、テレビとかスマホとか無くて」
「えぇ~……随分とまぁ厳格なお家柄なんねぇ。ま~いいけどさぁ」
「んふふー! どうやらあたしに並ぶ逸材が現れたようだなー!」
「つくしぃ、そこ誇るトコじゃねーからぁ」
うーん、三人は予想外にも盛り上がってるみたいだけど、どうにも場違いな気がしてならない。
もしかしてダンジョンって、楽しいアトラクションとかだったりするのだろうか?
そんな場所に女子三人と男の俺一人、かぁ……。
俺、本当にここに来てよかったのかな?
二人で素足のままパタパタ歩き、二階にある部屋へと辿り着く。
その間、およそ一分半。短い!
手を握られて夢心地になれたのはほんの一瞬だけだった。
校舎があと百メートル長ければもっと堪能できたのに!
い、いや、ダメだ。
そんなに長かったら虹岡さんの体力が持ちそうにない。
いいんだ、今はこれくらいでも充分なんだから!
今だけ、じゃないといいんだけど。
――それにしても、だ。
表札には『応接室』と書いてあるけど、ここに一体何の用が……?
「たのもーっ!」
だが虹岡さんは俺に考える間も与えず、すぐにバタァンと扉を開いた。
うん? 中に誰かいるぞ?
しかも二人、どちらも女子みたいだ。
「お、つくしじゃんー! 来たねぇ~!」
一人は見るからにギャルと言った感じの人。
ウェーブの掛かった茶色い髪に緑のラインがかかっているし、スマホはキラキラにデコっているし。なにより仕草がもう。
それに机に踵をかけていて色々と無防備過ぎなんだけど。
「クックック、我らの支配領域へようこそ……」
もう一人はなんだかこう、邪悪な感じでギャルの人と釣り合わない雰囲気。
メガネをかけていて、黒フードをかぶってニタァって感じで笑みを浮かべている。
不思議とメガネが輝いて目元が見えないのが怪しさ満点だ。
そしてどちらも制服のチェック色が青くないので上級生。
ギャルの人は赤だから三年生、邪悪の人のは緑だから二年生か。
「パイセン! 追加新人も連れてきたよー!」
「やるじゃんつくしィ! でかしたぁーーー♪」
虹岡さんは彼女達と知り合いなのか?
中学が同じだったりとかなのだろうか。
「という訳でー紹介しまーす! 同じクラスの間宮カタナ君!」
「彼方だけど?」
「いいねぇ男子ぃ! 一人くらいは欲しいなって思ってたんよぉ~」
そもそも彼女達は一体何の集団なのだろうか?
俺は一切何も聞かされていないのだけど。
「それでは~ようこそ彼方っち! 宝春学園ダンジョン部へ!」
――え? ダンジョン……部?
「……あれ? なんか反応薄くね?」
「ククク、困惑を隠せないようね。無理も無いわ。なぜならこの私が――」
「もしかしてつくしィ、そこんとこワケ話してないんじゃ?」
「えへへ、わっすれてたー!」
「はぁ~~~やっぱりかぁ!」
ダンジョンってなんだ? 新手の競技とかか?
そんな部パンフにも書かれてなかったはず。
ただこの名自体はたしか本屋で見かけた気がする。
けど、気に留めた事がないから何かまではわからないぞ?
もしかして俺みたいな世間知らずにはハードルが高いヤツなのでは!?
「ごめんねぃ彼方っち、つくしってばアホの子だからさぁ~」
「まぁそれは本人も自称してたし仕方ないですよ。気にしてないっす」
「ごっめーん!」
「んじゃそういう事でぇ、あーしらはぁダンジョン攻略をするための部でぇ――」
「すいません、そもそもダンジョンがわからないです」
「……え、マヂ?」
だからと正直に答えたら、三人揃って唖然っていう予想通りな反応が返ってきた。
や、やめろぅ! 珍獣を見るような目で見ないでほしい!
こ、これは仕方のない事なんだよ。
俺は今まで一身上の都合で世間への関心を一切失っていたんだから!
「今どきダンジョン知らないとかぁ、ある意味すごくね?」
「すいません、俺の家、テレビとかスマホとか無くて」
「えぇ~……随分とまぁ厳格なお家柄なんねぇ。ま~いいけどさぁ」
「んふふー! どうやらあたしに並ぶ逸材が現れたようだなー!」
「つくしぃ、そこ誇るトコじゃねーからぁ」
うーん、三人は予想外にも盛り上がってるみたいだけど、どうにも場違いな気がしてならない。
もしかしてダンジョンって、楽しいアトラクションとかだったりするのだろうか?
そんな場所に女子三人と男の俺一人、かぁ……。
俺、本当にここに来てよかったのかな?
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