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第四章
第46話 野菜愛を説くエリート根菜
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「要は愛なんだ。愛をもって根菜を扱うこと、それこそが正しく美味しく頂くコツなのだよ」
「はぁ、そうですか」
この結論に至るまでにもう三〇分ほどかかってしまいました。
その間ずっと正座させされてしまっていたので足が痺れて堪りません。
「ボク、感動した! これからは大事に根菜を食べるよ!」
そして何故かパピさんが感化されてしまっています。
胸元で両翼を合わせて涙する姿にマンドラゴラさんもウンウンと頷いてどこか満足そう。
……満足するの?
「あの」
「なんだいレディ、もう少し根菜への愛を説いて欲しいのかい?」
「いえ、それはもうお腹いっぱいなので。それよりも素朴な疑問があるのですが」
「よかろう、吾輩になんでも聞くといいのさ」
「では、貴方はなんで喋れているのです?」
「……ハハッ」
こう聞いたら頭の葉をサッと流すように撫でながら笑われました。
ちょっとピキッときましたがここは我慢いたしましょう。
「失敬、吾輩たちにとってはこう語れることも当然という認識だったもので、君たちの疑問に気付けなかったよ」
ですが気付かなかったのは本当に天然だったようです。
途端に頭を下げ、謝罪の意を示してくれました。
どこか偉そうな態度だけは変わりませんが。
「ならばまず吾輩がどうしてこう慈悲深いか、愛に溢れているのかを説明するとしよう」
「いえ、ですからそれはどうでもよくて」
しかしこの方、どうしても愛について語りたいようです。
何とか説得しようとしましたがもう止まりそうにもありません。
おかげでまた三〇分ほど延々と語られることに。
「――というような経緯があり、吾輩たちはエリート根菜としての道を勝ち取ったという訳なのさ」
「はぁ、そうですか」
あまりに退屈だったのか、チッパーさんもツブレさんも既に眠ってしまっています。
唯一パピさんだけは感動に染まり過ぎたせいで顔がもう涙と鼻水でドロドロに。
グモンさんは今日も蝶を追うのに夢中みたい。
それなのに未だ核心を語られていないことに呆れすら感じてなりません。
「あ、ボクちょっと出かけてくるね」
するとパピさんがお得意の感情切替で顔をスパッと正し、ササッと空へ飛び去ってしまいました。
これで真面目に聞いていたのがとうとうわたくし一人に。
「おやおや、もっとも敬虔な方が去っていってしまった。これでは愛を語るにも張り合いが無くなってしまったね」
マンドラゴラさんも肩を落としてなんだか残念そう。
まぁパピさんは自己中心的な所も強いですからね、仕方がありません。
「――ではリスナーが君だけとなったので本筋を語るとしよう」
ですが途端、声のトーンが若干重くなった気がしました。
まるでこの瞬間をずっと待っていたと言わんばかりの雰囲気です。
「吾輩たち植物はね、大地を通して記憶を継承するようになっているのさ。つまりこうして一緒に育った他の野菜たちも、物を言わずとも吾輩と同様の記憶がある」
「そ、それって、育つ土地が変われば記憶も変わるのでは?」
「ノンノン、記憶は何も大地だけに依存している訳じゃあない。吾輩たち自身にもまた記憶が保存され、育った後には種にも受け継がれるんだ」
本質を話し始めたと思いきや、途端にスケールの大きい話になりましたね。
ではこの話に一体どのような意図があるのでしょう?
「その記憶とはこう語るための言葉もそう。長い長い年月を経て大地に根付いた植物ネットワークにより、吾輩たちは既に君たち魔物の言葉をも把握しているんだよ」
「なるほど。マンドラゴラさん自体が魔物という訳ではないと」
「そう。そしてこの地にみなぎる成長の力が吾輩にこうして語るに足るまでの育成を促した」
そういうことですか。
この地の異常な肥沃さは植物を進化させてしまうほどに強力だったのですね。
「おかげで君ともようやく話せる時が来たよ、ネルル=エリス=ティエラ。聖女であった君とは一度でもいいから話してみたかったんだ」
……なるほど、そしてこの地での記憶の継承。
確かに、それなら転生前のわたくしのことも知っていても不思議ではありません。
ザバンとのやり取りもありましたし、その記憶も溜め込んでいるなら気付けるでしょう。
だからわたくし一人になるのを待った訳ですね。
多くの記憶を有しているからこそ相応に頭が回るようです。
「そんな君に頼みたいことがある。これは吾輩、エリート根菜としてのとても重要な頼みだ」
そして途端に滲む緊張感。
その真剣な眼差しにはもはや直視せざるを得ない。
今のわたくしにそんな彼の頼みを聞き入れられるか、不安で仕方がありません。
「……吾輩を一番に食べてくれ。そして出来ればテイスティングの後、忖度の無い正直な感想をありのまま大地に伝えて欲しいのだ」
「あの、それ、今普通にやろうとしていたことなんですけど」
はい、ええ心配して損しました。
そうですよね、エリート根菜って云わば品種改良された食材ってことですもんね。
「違う、違うんだよレディ……!」
え、違う?
それってどういう――
まさか聖女が食すことで何か凄いことが!?
「吾輩は調理などされずにそのまま齧られたいんだっ! マンドラゴラであるがままの吾輩を堪能してもらいたいんだよ!!!!!」
「そうですか」
別に何もありませんでした。
しかしもうマンドラゴラさんの欲望丸出しで興奮し、遂には両腕を自身を抱くように這わしました。
なんだか息も荒いし悶えているようにも見えますね。
「そこで一番味のわかるであろう君に味わってもらいたいんだ。抜きたてフレッシュな生マンドラゴラの味をッ!」
生マンドラゴラ……!
また妙に生々しい表現を。
ただ、こうも自我を見せられると食べること自体に抵抗を禁じ得ませんねぇ……。
「抵抗があるようだね。でも心配しなくていい」
「えっ?」
「我々はあくまで野菜で食材なのだ。つまりは食べられるために産まれたと言っても過言ではない。それに君たちの愛情を感じるほどだったお世話にも応えたいと思っている。だからね――」
でもマンドラゴラさんは止まりません。
なんか右腕を左手で掴み、震えるほどに力を籠め始めます。
するとメリメリという音が鳴り、遂にズバーーーッと右腕を自ら千切り取ってしまいました!
「ぎぃやああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「ヒィィーーーーーー!!!???」
「……はぁ、はぁ、さぁ召し上がれ……! さぁ!!!!!」
あ、あまりにショッキングでこちらがセルフ絶命しそうでしたよ!
さすがマンドラゴラって感じで迫真過ぎました! 怖い!
しかも取れた右腕を差し出してきていますし!
向けられた切れ端からはオレンジ色の汁が垂れて生々しいですぅ!!!
そのせいで思わずたじろいでしまいました。
幾ら何でもこんなの食べろって無理が過ぎませんか!?
「はぁ、そうですか」
この結論に至るまでにもう三〇分ほどかかってしまいました。
その間ずっと正座させされてしまっていたので足が痺れて堪りません。
「ボク、感動した! これからは大事に根菜を食べるよ!」
そして何故かパピさんが感化されてしまっています。
胸元で両翼を合わせて涙する姿にマンドラゴラさんもウンウンと頷いてどこか満足そう。
……満足するの?
「あの」
「なんだいレディ、もう少し根菜への愛を説いて欲しいのかい?」
「いえ、それはもうお腹いっぱいなので。それよりも素朴な疑問があるのですが」
「よかろう、吾輩になんでも聞くといいのさ」
「では、貴方はなんで喋れているのです?」
「……ハハッ」
こう聞いたら頭の葉をサッと流すように撫でながら笑われました。
ちょっとピキッときましたがここは我慢いたしましょう。
「失敬、吾輩たちにとってはこう語れることも当然という認識だったもので、君たちの疑問に気付けなかったよ」
ですが気付かなかったのは本当に天然だったようです。
途端に頭を下げ、謝罪の意を示してくれました。
どこか偉そうな態度だけは変わりませんが。
「ならばまず吾輩がどうしてこう慈悲深いか、愛に溢れているのかを説明するとしよう」
「いえ、ですからそれはどうでもよくて」
しかしこの方、どうしても愛について語りたいようです。
何とか説得しようとしましたがもう止まりそうにもありません。
おかげでまた三〇分ほど延々と語られることに。
「――というような経緯があり、吾輩たちはエリート根菜としての道を勝ち取ったという訳なのさ」
「はぁ、そうですか」
あまりに退屈だったのか、チッパーさんもツブレさんも既に眠ってしまっています。
唯一パピさんだけは感動に染まり過ぎたせいで顔がもう涙と鼻水でドロドロに。
グモンさんは今日も蝶を追うのに夢中みたい。
それなのに未だ核心を語られていないことに呆れすら感じてなりません。
「あ、ボクちょっと出かけてくるね」
するとパピさんがお得意の感情切替で顔をスパッと正し、ササッと空へ飛び去ってしまいました。
これで真面目に聞いていたのがとうとうわたくし一人に。
「おやおや、もっとも敬虔な方が去っていってしまった。これでは愛を語るにも張り合いが無くなってしまったね」
マンドラゴラさんも肩を落としてなんだか残念そう。
まぁパピさんは自己中心的な所も強いですからね、仕方がありません。
「――ではリスナーが君だけとなったので本筋を語るとしよう」
ですが途端、声のトーンが若干重くなった気がしました。
まるでこの瞬間をずっと待っていたと言わんばかりの雰囲気です。
「吾輩たち植物はね、大地を通して記憶を継承するようになっているのさ。つまりこうして一緒に育った他の野菜たちも、物を言わずとも吾輩と同様の記憶がある」
「そ、それって、育つ土地が変われば記憶も変わるのでは?」
「ノンノン、記憶は何も大地だけに依存している訳じゃあない。吾輩たち自身にもまた記憶が保存され、育った後には種にも受け継がれるんだ」
本質を話し始めたと思いきや、途端にスケールの大きい話になりましたね。
ではこの話に一体どのような意図があるのでしょう?
「その記憶とはこう語るための言葉もそう。長い長い年月を経て大地に根付いた植物ネットワークにより、吾輩たちは既に君たち魔物の言葉をも把握しているんだよ」
「なるほど。マンドラゴラさん自体が魔物という訳ではないと」
「そう。そしてこの地にみなぎる成長の力が吾輩にこうして語るに足るまでの育成を促した」
そういうことですか。
この地の異常な肥沃さは植物を進化させてしまうほどに強力だったのですね。
「おかげで君ともようやく話せる時が来たよ、ネルル=エリス=ティエラ。聖女であった君とは一度でもいいから話してみたかったんだ」
……なるほど、そしてこの地での記憶の継承。
確かに、それなら転生前のわたくしのことも知っていても不思議ではありません。
ザバンとのやり取りもありましたし、その記憶も溜め込んでいるなら気付けるでしょう。
だからわたくし一人になるのを待った訳ですね。
多くの記憶を有しているからこそ相応に頭が回るようです。
「そんな君に頼みたいことがある。これは吾輩、エリート根菜としてのとても重要な頼みだ」
そして途端に滲む緊張感。
その真剣な眼差しにはもはや直視せざるを得ない。
今のわたくしにそんな彼の頼みを聞き入れられるか、不安で仕方がありません。
「……吾輩を一番に食べてくれ。そして出来ればテイスティングの後、忖度の無い正直な感想をありのまま大地に伝えて欲しいのだ」
「あの、それ、今普通にやろうとしていたことなんですけど」
はい、ええ心配して損しました。
そうですよね、エリート根菜って云わば品種改良された食材ってことですもんね。
「違う、違うんだよレディ……!」
え、違う?
それってどういう――
まさか聖女が食すことで何か凄いことが!?
「吾輩は調理などされずにそのまま齧られたいんだっ! マンドラゴラであるがままの吾輩を堪能してもらいたいんだよ!!!!!」
「そうですか」
別に何もありませんでした。
しかしもうマンドラゴラさんの欲望丸出しで興奮し、遂には両腕を自身を抱くように這わしました。
なんだか息も荒いし悶えているようにも見えますね。
「そこで一番味のわかるであろう君に味わってもらいたいんだ。抜きたてフレッシュな生マンドラゴラの味をッ!」
生マンドラゴラ……!
また妙に生々しい表現を。
ただ、こうも自我を見せられると食べること自体に抵抗を禁じ得ませんねぇ……。
「抵抗があるようだね。でも心配しなくていい」
「えっ?」
「我々はあくまで野菜で食材なのだ。つまりは食べられるために産まれたと言っても過言ではない。それに君たちの愛情を感じるほどだったお世話にも応えたいと思っている。だからね――」
でもマンドラゴラさんは止まりません。
なんか右腕を左手で掴み、震えるほどに力を籠め始めます。
するとメリメリという音が鳴り、遂にズバーーーッと右腕を自ら千切り取ってしまいました!
「ぎぃやああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「ヒィィーーーーーー!!!???」
「……はぁ、はぁ、さぁ召し上がれ……! さぁ!!!!!」
あ、あまりにショッキングでこちらがセルフ絶命しそうでしたよ!
さすがマンドラゴラって感じで迫真過ぎました! 怖い!
しかも取れた右腕を差し出してきていますし!
向けられた切れ端からはオレンジ色の汁が垂れて生々しいですぅ!!!
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