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第三章
第35話 魔物のことを知ったからわたくしは。
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実は人を愛する魔物もいたのです。驚きませんか?
わたくしみたいに転生した訳じゃない魔物でも人を想えるんですよ。
この時やっとその事実に気付かされたのです。
今まで魔物の本質を理解っているようで何も理解っていなかったって。
転生前でも心では魔物と戦いたくない、仲良くしたいって思っていたから尚さらに。
だからそう気付かされた時、わたくしは自然と涙を流していました。
今まで誤解していたのがとっっっても恥ずかしくって。
「おいおい大丈夫か? 涙出てんぞ?」
「え、あ、はい。チッパーさんの言葉に感動してしまってぇ……」
「今のどこに感動する要素があんだよぉ」
このことがきっかけで魔物をもっと知りたいと思えました。
そんな欲求が沸々と湧いてきたのです。
「チッパーさんの話のおかげで色々とやりたいことが出来た気がします。なんだかいっぱい元気をもらっちゃいました!」
「お、おう、そうか」
「もはや命の恩人だけでは事足りませんね。貴方はわたくしの大恩人ですっ!」
だからこそ大恩人のチッパーさんを持ち上げ、感謝の意も込めてクルクル回り踊ってみせます。
彼はちょっと迷惑そうでしたけど、今はこれしかお礼が出来そうになくて。
湧いた欲求を満たすためにはこの水路に住み着く訳にもいきませんでしたから。
「チッパーさん、わたくし決めましたよ」
「な、な、なぁにがだぁ~~~?」
「わたくし、まずは家族のことを調べてみます。それから色んな魔物と会って色んなことを教えてもらいたい。チッパーさんが今教えてくれたみたいに。そのためにもこの水路からは出ようと思いますっ!」
「……そうかい。いい仲間になれると思ったんだが、まぁ仕方ねぇな」
チッパーさんは残念そうでしたが、こればかりは諦めざるを得ません。
ですから踊り終えるとチッパーさんを降ろし、笑顔で再び頭を下げました。
感謝と謝罪の意を込めて、その後の別れも決意して。
「んなら付いてきな。外まで案内してやるよ」
「はい、ありがとうございます!」
チッパーさんも諦めがついたようで、出口の方へと案内してくれました。
それでも道中の会話が少なかったのは彼なりに落胆していたからなのかもしれません。
それから三○分ほど歩き、ようやく出口へ。
ここまで本当に至れり尽くせりでしたね。
「ほら、あそこが外だ。あの先を越えりゃ街からも出られて平原に出るぜ」
本当ならもっと色々と話がしたいという欲求もありました。
ついてきて欲しいって言い出したい気持ちもありました。
でも彼にも生活やヌシとしての仕事もあるから、我儘も言えないと押し黙ります。
「おっ、そうだ! ちょっとここで待ってろ!」
するとチッパーさんが何かを思い付き、何かを持ってきてくれました。
「コイツをくれてやる。旅の餞別だ」
渡してくれたのは小さなどんぐり。
なんとまぁネズミらしく可愛いお土産でしたね。
「良いのですか?」
「おう。非常食にでもしてくれ」
「はい。何から何までありがとうございました、チッパーさん」
本当は木の実なんて食べられないし、食べたことは人間の頃でも無いのですが。
でも気持ちは嬉しかったので、御守にするつもりで遠慮なく受け取りました。
そして受け取ったどんぐりをギュッと握り締め、二人で出口へ。
「やはりここだったかぁ!」
「「――ッ!?」」
しかし突如、出口からこんな声と共に大きな黒い影がサッと現れたのです。
それもあの小太り気味の体格。
それは忘れられたくもない相手、魔物販売店の商人でした。
「チャーーームッ!!!!!」
「ううっ!?」
しかも彼は間髪入れずに能力をも発動させました。
それと共に視界が真っ暗となってしまいます。
せっかく人生目標が立ちそうだったのに、こんなことって。
そう一瞬過った絶望は、今芽生えた希望すら真っ黒に塗り潰すくらいに深かったのです。
わたくしみたいに転生した訳じゃない魔物でも人を想えるんですよ。
この時やっとその事実に気付かされたのです。
今まで魔物の本質を理解っているようで何も理解っていなかったって。
転生前でも心では魔物と戦いたくない、仲良くしたいって思っていたから尚さらに。
だからそう気付かされた時、わたくしは自然と涙を流していました。
今まで誤解していたのがとっっっても恥ずかしくって。
「おいおい大丈夫か? 涙出てんぞ?」
「え、あ、はい。チッパーさんの言葉に感動してしまってぇ……」
「今のどこに感動する要素があんだよぉ」
このことがきっかけで魔物をもっと知りたいと思えました。
そんな欲求が沸々と湧いてきたのです。
「チッパーさんの話のおかげで色々とやりたいことが出来た気がします。なんだかいっぱい元気をもらっちゃいました!」
「お、おう、そうか」
「もはや命の恩人だけでは事足りませんね。貴方はわたくしの大恩人ですっ!」
だからこそ大恩人のチッパーさんを持ち上げ、感謝の意も込めてクルクル回り踊ってみせます。
彼はちょっと迷惑そうでしたけど、今はこれしかお礼が出来そうになくて。
湧いた欲求を満たすためにはこの水路に住み着く訳にもいきませんでしたから。
「チッパーさん、わたくし決めましたよ」
「な、な、なぁにがだぁ~~~?」
「わたくし、まずは家族のことを調べてみます。それから色んな魔物と会って色んなことを教えてもらいたい。チッパーさんが今教えてくれたみたいに。そのためにもこの水路からは出ようと思いますっ!」
「……そうかい。いい仲間になれると思ったんだが、まぁ仕方ねぇな」
チッパーさんは残念そうでしたが、こればかりは諦めざるを得ません。
ですから踊り終えるとチッパーさんを降ろし、笑顔で再び頭を下げました。
感謝と謝罪の意を込めて、その後の別れも決意して。
「んなら付いてきな。外まで案内してやるよ」
「はい、ありがとうございます!」
チッパーさんも諦めがついたようで、出口の方へと案内してくれました。
それでも道中の会話が少なかったのは彼なりに落胆していたからなのかもしれません。
それから三○分ほど歩き、ようやく出口へ。
ここまで本当に至れり尽くせりでしたね。
「ほら、あそこが外だ。あの先を越えりゃ街からも出られて平原に出るぜ」
本当ならもっと色々と話がしたいという欲求もありました。
ついてきて欲しいって言い出したい気持ちもありました。
でも彼にも生活やヌシとしての仕事もあるから、我儘も言えないと押し黙ります。
「おっ、そうだ! ちょっとここで待ってろ!」
するとチッパーさんが何かを思い付き、何かを持ってきてくれました。
「コイツをくれてやる。旅の餞別だ」
渡してくれたのは小さなどんぐり。
なんとまぁネズミらしく可愛いお土産でしたね。
「良いのですか?」
「おう。非常食にでもしてくれ」
「はい。何から何までありがとうございました、チッパーさん」
本当は木の実なんて食べられないし、食べたことは人間の頃でも無いのですが。
でも気持ちは嬉しかったので、御守にするつもりで遠慮なく受け取りました。
そして受け取ったどんぐりをギュッと握り締め、二人で出口へ。
「やはりここだったかぁ!」
「「――ッ!?」」
しかし突如、出口からこんな声と共に大きな黒い影がサッと現れたのです。
それもあの小太り気味の体格。
それは忘れられたくもない相手、魔物販売店の商人でした。
「チャーーームッ!!!!!」
「ううっ!?」
しかも彼は間髪入れずに能力をも発動させました。
それと共に視界が真っ暗となってしまいます。
せっかく人生目標が立ちそうだったのに、こんなことって。
そう一瞬過った絶望は、今芽生えた希望すら真っ黒に塗り潰すくらいに深かったのです。
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