22 / 65
第二章
第22話 首都にやってきました!前編(ミネッタ視点)
しおりを挟む
「ミネッタちゃん、ほら目的地が見えたよぉ」
「わぁ……あれが首都フェテニスかぁ! さっすがおっきいー!」
村から荷車便を使って丸二日、ようやくやってきました首都フェテニス!
故郷とは規模が違い過ぎてもう驚きしかないよー。
――という訳で荷車に揺られながら遂に街の中へ。
乗り場まで辿り着くと、御者さんに感謝をしてから荷台を降りた。
街の中はもう人、人、人だらけ!
村ではほぼいない冒険者もちょーっと眺めるだけで何人も見つかる! すごい!
「あの冒険者さんたちが少しでも村にきてくれていたらブルーイッシュウルフにも困らされなかったんだけどなぁ。ま、そのおかげでネルルちゃんに出会えたからいいんだけど」
こんなことをぼやきつつ大通りを進む。
確かこの辺りに待ち合わせ場所の神像があったはず――あ、あった!
大通りは十人が並んでも塞ぎきらないくらい広い。
そんな道の中央にポツンと至高神オーヴェルの像が立っていて。
それで像の傍に歩み寄っては辺りをキョロキョロと伺ってみる。
「ここで合ってる、よね?」
「お、いたいた! おーい、ミネッター!」
するとすぐに聞き慣れた声が。
振り向くと知った顔の男が手を振って走って来た。
「あっ、ファズ! ひっさしぶりーっ!」
よかった間違い無い、幼馴染のファズだ!
でもちょっと筋肉質になったかな? 顔も少し大人びたなー。
「久しぶりだなぁミネッタ、元気そうじゃん」
「えへへ、最近色々と面白いことがあってますます元気になっちゃったよー」
「ははっ、お前らしいわ」
「ファズはファズでなんか変わったね。さすが兵士って感じ。もう働き始めて二年くらいになるの?」
「まだ新米っ気は抜けないけどな。それでも総隊長の遣いっぱしりとかやらされてるからそれなりの出世筋だとは思うぜー?」
「へぇ~~~さすがだねぇファズは。昔っから頑張り屋だったもんね」
「あのアホ家族どもに付き合えてるお前の方がスゲーわ」
「ププッ、それだけが私の取り得だけどっ!」
ハッキリ言う所はあいかわらずだ。ウチの兄貴たちに対する嫌悪感も。
さすが、あのお父さんと兄貴たちがのさばってるから村にいたくないって理由で上京しただけのことはあるわー。
「それにしても、お前もフェテニスに来るとは思わなかったよ。いきなり手紙が来た時はビックリしたもんだ」
「あはは、ちょっとやりたいことがあってさー」
「俺を呼びつけたのもそれが理由だろ? 何がしたいんだ?」
「それがねー」
やっぱりファズに嘘は付けないなー。
こういう所もちゃんとお見通しなんだから。
ま、隠すつもりは毛頭ないんだけどね。
「実は私さ、冒険者になろうと思って」
「ほぉ」
「実はさ、最近とある友達が出来て。それでその友達にね、『ミネッタさんは魔獣使いの素質があるかもしれません』って教えてもらったの」
「あぁ、そうかもしれないな。ミネッタは昔から動物に好かれること多かったし」
「うん。だからそのお友達のためにも冒険者登録して、魔獣使いのライセンス取っておこうかなって思って。ほら、村の外も何かと物騒だからさー」
その方がきっとネルルちゃんの役にも立ちそうだしね。
あんなちっちゃい子を放っておく訳にもいかないし、危ない目に遭う前に守ってあげるための力を付けなきゃ!
「すごいな、ミネッタは」
「ええ~? なんで~?」
「だって一人で何でもやろうとしちまうし、実際出来るんだからさ。俺だってそこまで器用なことは出来ないよ」
「いやぁ~~~それほどでもぉ!」
あらあら、ファズ君なんだかホント大人びたねぇ。
前はこんな褒めてくれることなんて無かったのに。
「もしかしてその友達って……男、だったりする?」
うん?
なんでそんなこと思うんだろ?
「違うよー女の子だよ」
「そ、そうか! ホッ……」
なに胸をなでおろしてるのかなぁ。
村に他の男友達がいるのはファズだって知ってるはずなのに。
何か心配事でもあるのかな? よくわかんないけど。
「それでね、ファズには道案内をしてもらいたくて。私この街初めてだからさー」
「あ、ああ、冒険者組合本部でいいか?」
「うん、確か今も冒険者登録の受付期間中だよね」
「期間は春先から夏にかけてだし、まだ春になりたてだから問題無いだろ」
「おっけーじゃあ案内よろしくぅ!」
「よぉし、任せろ! ついでに飯の美味しい店にも連れてってやるよ!」
「わお! 楽しみぃ!」
ふふっ、さすが都会っ子ファズ君だわ。
頼るべき者は幼馴染ってね!
あ、でもお腹空いたし、先にご飯でもいいかなー?
「んじゃこっちに――」
けどそう思った途端、ファズの背後に大きな人影が。
しかもその人影が大きく両腕を掲げると、「ドズンッ!」と彼の両肩に両手が押し付けられた。
「んッゴォ!!?」
「あぁ~~~っとぉ悪いけどデートのお時間はここまでになりまぁす! いいですねぇファズ=デシカ一等補佐官殿ぉ?」
「え"ッ!?」
しかもファズ君、なぜか「ギギギ」と首をひねって振り向いていて。
見上げた傍から顔が驚愕と畏怖で震えてる。
「あ、ああ、ジェイル総隊長、殿ォ……!?」
「おーうファズ君。探したよぉ?」
話からしてこの人はファズの上司かな?
言われて見れば兵士らしく凄い屈強。
だけどニタニタしていてなんだか妙に緩いというか。
渋めのがっしりした顔付きで無精髭だからか少し格好悪い感じ。
ただあのファズ君が怯えすくむ辺り、きっとすごい人なんだろうなぁ。
「わぁ……あれが首都フェテニスかぁ! さっすがおっきいー!」
村から荷車便を使って丸二日、ようやくやってきました首都フェテニス!
故郷とは規模が違い過ぎてもう驚きしかないよー。
――という訳で荷車に揺られながら遂に街の中へ。
乗り場まで辿り着くと、御者さんに感謝をしてから荷台を降りた。
街の中はもう人、人、人だらけ!
村ではほぼいない冒険者もちょーっと眺めるだけで何人も見つかる! すごい!
「あの冒険者さんたちが少しでも村にきてくれていたらブルーイッシュウルフにも困らされなかったんだけどなぁ。ま、そのおかげでネルルちゃんに出会えたからいいんだけど」
こんなことをぼやきつつ大通りを進む。
確かこの辺りに待ち合わせ場所の神像があったはず――あ、あった!
大通りは十人が並んでも塞ぎきらないくらい広い。
そんな道の中央にポツンと至高神オーヴェルの像が立っていて。
それで像の傍に歩み寄っては辺りをキョロキョロと伺ってみる。
「ここで合ってる、よね?」
「お、いたいた! おーい、ミネッター!」
するとすぐに聞き慣れた声が。
振り向くと知った顔の男が手を振って走って来た。
「あっ、ファズ! ひっさしぶりーっ!」
よかった間違い無い、幼馴染のファズだ!
でもちょっと筋肉質になったかな? 顔も少し大人びたなー。
「久しぶりだなぁミネッタ、元気そうじゃん」
「えへへ、最近色々と面白いことがあってますます元気になっちゃったよー」
「ははっ、お前らしいわ」
「ファズはファズでなんか変わったね。さすが兵士って感じ。もう働き始めて二年くらいになるの?」
「まだ新米っ気は抜けないけどな。それでも総隊長の遣いっぱしりとかやらされてるからそれなりの出世筋だとは思うぜー?」
「へぇ~~~さすがだねぇファズは。昔っから頑張り屋だったもんね」
「あのアホ家族どもに付き合えてるお前の方がスゲーわ」
「ププッ、それだけが私の取り得だけどっ!」
ハッキリ言う所はあいかわらずだ。ウチの兄貴たちに対する嫌悪感も。
さすが、あのお父さんと兄貴たちがのさばってるから村にいたくないって理由で上京しただけのことはあるわー。
「それにしても、お前もフェテニスに来るとは思わなかったよ。いきなり手紙が来た時はビックリしたもんだ」
「あはは、ちょっとやりたいことがあってさー」
「俺を呼びつけたのもそれが理由だろ? 何がしたいんだ?」
「それがねー」
やっぱりファズに嘘は付けないなー。
こういう所もちゃんとお見通しなんだから。
ま、隠すつもりは毛頭ないんだけどね。
「実は私さ、冒険者になろうと思って」
「ほぉ」
「実はさ、最近とある友達が出来て。それでその友達にね、『ミネッタさんは魔獣使いの素質があるかもしれません』って教えてもらったの」
「あぁ、そうかもしれないな。ミネッタは昔から動物に好かれること多かったし」
「うん。だからそのお友達のためにも冒険者登録して、魔獣使いのライセンス取っておこうかなって思って。ほら、村の外も何かと物騒だからさー」
その方がきっとネルルちゃんの役にも立ちそうだしね。
あんなちっちゃい子を放っておく訳にもいかないし、危ない目に遭う前に守ってあげるための力を付けなきゃ!
「すごいな、ミネッタは」
「ええ~? なんで~?」
「だって一人で何でもやろうとしちまうし、実際出来るんだからさ。俺だってそこまで器用なことは出来ないよ」
「いやぁ~~~それほどでもぉ!」
あらあら、ファズ君なんだかホント大人びたねぇ。
前はこんな褒めてくれることなんて無かったのに。
「もしかしてその友達って……男、だったりする?」
うん?
なんでそんなこと思うんだろ?
「違うよー女の子だよ」
「そ、そうか! ホッ……」
なに胸をなでおろしてるのかなぁ。
村に他の男友達がいるのはファズだって知ってるはずなのに。
何か心配事でもあるのかな? よくわかんないけど。
「それでね、ファズには道案内をしてもらいたくて。私この街初めてだからさー」
「あ、ああ、冒険者組合本部でいいか?」
「うん、確か今も冒険者登録の受付期間中だよね」
「期間は春先から夏にかけてだし、まだ春になりたてだから問題無いだろ」
「おっけーじゃあ案内よろしくぅ!」
「よぉし、任せろ! ついでに飯の美味しい店にも連れてってやるよ!」
「わお! 楽しみぃ!」
ふふっ、さすが都会っ子ファズ君だわ。
頼るべき者は幼馴染ってね!
あ、でもお腹空いたし、先にご飯でもいいかなー?
「んじゃこっちに――」
けどそう思った途端、ファズの背後に大きな人影が。
しかもその人影が大きく両腕を掲げると、「ドズンッ!」と彼の両肩に両手が押し付けられた。
「んッゴォ!!?」
「あぁ~~~っとぉ悪いけどデートのお時間はここまでになりまぁす! いいですねぇファズ=デシカ一等補佐官殿ぉ?」
「え"ッ!?」
しかもファズ君、なぜか「ギギギ」と首をひねって振り向いていて。
見上げた傍から顔が驚愕と畏怖で震えてる。
「あ、ああ、ジェイル総隊長、殿ォ……!?」
「おーうファズ君。探したよぉ?」
話からしてこの人はファズの上司かな?
言われて見れば兵士らしく凄い屈強。
だけどニタニタしていてなんだか妙に緩いというか。
渋めのがっしりした顔付きで無精髭だからか少し格好悪い感じ。
ただあのファズ君が怯えすくむ辺り、きっとすごい人なんだろうなぁ。
10
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
今さら帰ってこいなんて言われても。~森に移住した追放聖女は快適で優雅に暮らす~
ケンノジ
ファンタジー
「もうお前は要らない女だ!」
聖女として国に奉仕し続けてきたシルヴィは、第一王子ヴィンセントに婚約破棄と国外追放を言い渡される。
その理由は、シルヴィより強い力を持つ公爵家のご令嬢が現れたからだという。
ヴィンセントは態度を一変させシルヴィを蔑んだ。
王子で婚約者だから、と態度も物言いも目に余るすべてに耐えてきたが、シルヴィは我慢の限界に達した。
「では、そう仰るならそう致しましょう」
だが、真の聖女不在の国に一大事が起きるとは誰も知るよしもなかった……。
言われた通り国外に追放されたシルヴィは、聖女の力を駆使し、
森の奥で出会った魔物や動物たちと静かで快適な移住生活を送りはじめる。
これは虐げられた聖女が移住先の森の奥で楽しく幸せな生活を送る物語。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
神の使いでのんびり異世界旅行〜チート能力は、あくまで自由に生きる為に〜
和玄
ファンタジー
連日遅くまで働いていた男は、転倒事故によりあっけなくその一生を終えた。しかし死後、ある女神からの誘いで使徒として異世界で旅をすることになる。
与えられたのは並外れた身体能力を備えた体と、卓越した魔法の才能。
だが骨の髄まで小市民である彼は思った。とにかく自由を第一に異世界を楽しもうと。
地道に進む予定です。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる