37 / 80
第三十六話
しおりを挟む
あれやこれやと話をまとめて、エルフたちを村へ運ぶ。
担げるのが二人までだから、何往復もして連れていく。
全員を連れて行ったら、今度は『土魔法』で居住空間の拡張と変形。
ブルーオークとレッドゴブリンの分だと大したプラスにならなかったため、今までと変わらない魔力量だが、それでも数日の休みで十分に魔力はもとに戻った。
眠っている年寄り組の住居には影響が出ないよう注意しつつ、外壁の拡大と補強、居住空間の増加と、農業ができそうな広い畑と水引き、本当の街を見てきたことだから、それを参考に地形を好き勝手作り変える。
魔力は腐る程あるんだと、セナは底を尽きる勢いで注ぎ込む。
仮に改造する目途が立たなくても、魔力を潤沢に蓄えた土地ならそれだけ活力のある土壌になる。
地面がうっすらと光るくらいの魔力量を含み、村は少しだけ強くなった。
「セナさんのその魔力量、やっぱり何度見ても規格外っていうか、僕も何度か自分の部屋の形を変えようとしたんですけど、全然無理で。」
「ハロの魔力も結構全部もらってるから、少し土が動いただけでもすごい方だと思うけどな。」
そんな話をしながら、エルフたちの居住スペースを頑強にしていく。
「こいつらは人間を嫌っている。だけど悪いやつじゃない。俺がいない間、守ってくれ。」
「はい。僕の命に代えても。絶対に。」
少し重いと思ったが、覚悟は強い方がいい。
セナの魔力が尽きた頃、一本の塔のようなものができていた。
魔力が尽きたので横になっていたセナは、朝日が昇るのを見ながらハロに聞く。
「なにか周辺で怪しい物を見たとか、凶悪そうな魔物を見たとか、そんなことはないか?」
「今のところはありませんが、セナさんが行った街、ここ数日の間に結構な人数が入っていましたね。冒険者がかなり多く、貴族風の身なりの者もいましたよ。」
「……知らなかったな。街の中で生活していると、そういうのには気づかない。」
元々その街が出入りの多い街だったのならそれでもいいが、もし別の何かだったなら情報は集めておきたい。
そう思いつつ、セナは朝寝としゃれこんだ。
◇◆◇
それから、少しの間村の人たちと話して、起きてきたドルドさんに泣かれたりと、いろいろなことがあった。
にぎやかで温かい気持ちを蓄えて、セナは夜にまた街の方に行く。
ベルモットがついて来ようとして、セナが渋って、オーラが助け船を出して、結局街の中にはベルモットとユゥリがついてくることになった。
少し不安に思いつつ、しかし、二人が一緒なことに心強いものも感じて、セナの足取りは少し軽やかだった。
街の廃墟に着いたセナは、ベルモットとユゥリにステータスを振り分けた。
ステータスは入ったときとあまり変わらないが、スキルはそれなりの数だったので役割と用途に合わせて振り分ける。
「あと、これ、護衛。」
【固有スキル】の中にあった【春スライム】というものを召喚する。
桃色で、馬のヒズメのような模様がついている、人の頭くらいのサイズのスライム。
今後、セナが外出しているときにはこいつがセナの代わりに守る。
もう一個、【鉄鋼龍メタドラ】というのも召喚できるらしいが、街中でドラゴンを召喚するのも問題になると思い自重した。
「こいつが二人の危険を察知して守ってくれる。それと同時に俺に危険を教えてくれる。」
春スライムをユゥリに預け、セナは少しの間の仮眠に入る。
村の方でも少し休憩したが、睡眠があるのとないのとではやはり差があるらしい。
セナに寄り添うように横になったベルモットの体温を感じながら、セナは眠りについた。
担げるのが二人までだから、何往復もして連れていく。
全員を連れて行ったら、今度は『土魔法』で居住空間の拡張と変形。
ブルーオークとレッドゴブリンの分だと大したプラスにならなかったため、今までと変わらない魔力量だが、それでも数日の休みで十分に魔力はもとに戻った。
眠っている年寄り組の住居には影響が出ないよう注意しつつ、外壁の拡大と補強、居住空間の増加と、農業ができそうな広い畑と水引き、本当の街を見てきたことだから、それを参考に地形を好き勝手作り変える。
魔力は腐る程あるんだと、セナは底を尽きる勢いで注ぎ込む。
仮に改造する目途が立たなくても、魔力を潤沢に蓄えた土地ならそれだけ活力のある土壌になる。
地面がうっすらと光るくらいの魔力量を含み、村は少しだけ強くなった。
「セナさんのその魔力量、やっぱり何度見ても規格外っていうか、僕も何度か自分の部屋の形を変えようとしたんですけど、全然無理で。」
「ハロの魔力も結構全部もらってるから、少し土が動いただけでもすごい方だと思うけどな。」
そんな話をしながら、エルフたちの居住スペースを頑強にしていく。
「こいつらは人間を嫌っている。だけど悪いやつじゃない。俺がいない間、守ってくれ。」
「はい。僕の命に代えても。絶対に。」
少し重いと思ったが、覚悟は強い方がいい。
セナの魔力が尽きた頃、一本の塔のようなものができていた。
魔力が尽きたので横になっていたセナは、朝日が昇るのを見ながらハロに聞く。
「なにか周辺で怪しい物を見たとか、凶悪そうな魔物を見たとか、そんなことはないか?」
「今のところはありませんが、セナさんが行った街、ここ数日の間に結構な人数が入っていましたね。冒険者がかなり多く、貴族風の身なりの者もいましたよ。」
「……知らなかったな。街の中で生活していると、そういうのには気づかない。」
元々その街が出入りの多い街だったのならそれでもいいが、もし別の何かだったなら情報は集めておきたい。
そう思いつつ、セナは朝寝としゃれこんだ。
◇◆◇
それから、少しの間村の人たちと話して、起きてきたドルドさんに泣かれたりと、いろいろなことがあった。
にぎやかで温かい気持ちを蓄えて、セナは夜にまた街の方に行く。
ベルモットがついて来ようとして、セナが渋って、オーラが助け船を出して、結局街の中にはベルモットとユゥリがついてくることになった。
少し不安に思いつつ、しかし、二人が一緒なことに心強いものも感じて、セナの足取りは少し軽やかだった。
街の廃墟に着いたセナは、ベルモットとユゥリにステータスを振り分けた。
ステータスは入ったときとあまり変わらないが、スキルはそれなりの数だったので役割と用途に合わせて振り分ける。
「あと、これ、護衛。」
【固有スキル】の中にあった【春スライム】というものを召喚する。
桃色で、馬のヒズメのような模様がついている、人の頭くらいのサイズのスライム。
今後、セナが外出しているときにはこいつがセナの代わりに守る。
もう一個、【鉄鋼龍メタドラ】というのも召喚できるらしいが、街中でドラゴンを召喚するのも問題になると思い自重した。
「こいつが二人の危険を察知して守ってくれる。それと同時に俺に危険を教えてくれる。」
春スライムをユゥリに預け、セナは少しの間の仮眠に入る。
村の方でも少し休憩したが、睡眠があるのとないのとではやはり差があるらしい。
セナに寄り添うように横になったベルモットの体温を感じながら、セナは眠りについた。
40
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる