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第十八話
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全身が燃える。
焼ける、燻る、燃え尽きる、焦げる。
裂ける、割れる、砕ける、捥げる。
セナの全身を未体験の刺激が貫く。
1万と5000のステータスを有する化け物を一瞬で焼き尽くすような魔法を放つ怪物がいる。
体感時間で1時間。実時間で30秒もの火炙りで、セナは全てを悟った。
「ぉぉおおおおまぁぁぁぁええええぇえええええがぁぁぁああああああ!!!!!」
炭化した腕を伸ばす。
片目も燃えてるため視界が悪いが、炎の動きから誰から炎が出ているかはわかる。
「しぃいいいいいいいいいねぇええええええええぐっ!?」
胸に深々と剣が刺さる。
その剣から、先ほどとも比べられない青い炎が吹き出し始める。
「ぁああああっぎゃああああああ!!!!」
伸ばした腕は炭化しすぎでボロリと取れた。
「チッ、しぶといな。早く死ねよ。」
内臓が焼ける。内側から高火力で焼かれて、感覚も消えてきた。
「クソが、異教徒のバケモンが、僕の神聖な炎をこんなに浴びやがって、贅沢なやつ。」
「しぃぃぃぃいいいいいいねぇええええええええええ!!!」
捥げた腕を相手に伸ばす。
できる。やれる。
その確信が、セナにしかできない不可能を可能にする。
「『剛腕』レベル3ぃぃぃいいいいい!!!」
『究極的暴君』の副次的効果の副作用。
『究極的暴君』によって奪ったスキルは重複する。重複したスキルは効力を増す。
しかし、それは人間の肉体のデザイン的には完全なバグ。
普通ならありえない事象に世界の処理が及ばず、突発的なバグを芋づる式に発現させる。
例えば、失った肉体の断面から、スキルが形を成して飛び出してきたり。
「ぐぇっ!?な、なんだこいつっ!?」
「つぅぅううううかぁぁあああああああまぁぁぁあえたぁああああ!!!!」
ステータスを、スキルを奪う。
名前も知らない相手の力を引き摺り出して、己がモノに。
「なんだこれっ!あつっ!?なんっ、ぎゃあああ!!」
炎を操るスキルが無くなったから、炎はそいつにも牙を剥く。
追加の出火がなくなったから、自然と熱は消えていく。
皮膚の炭化は奪いたての『聖魔法』で癒していく。
ステータス【+60000】
固有【神魔法:業炎】
その他スキル【17個】
名前も知らない相手は大物だったらしい。
しかし、よく見れば団長とかいう男とは別のやつだった。
先程まで話していた団長とやらは、セナに殺された男を見て腰を抜かしていた。
まだ視界は悪い。意識はハッキリと、思考はぐちゃぐちゃに。
セナの精神を痛みと絶望が絶え間なく研磨していく。
「し、神聖騎士が、やられたっ!!?うそだっ!そんなバカな!」
さっき燃やした男は神聖騎士というらしい。
60000という膨大なステータスを持った化け物だ、相当に高い地位にいた者だろう。
『剛腕レベル3』で形成された腕は消える気配がない。
それどころか、腕の切断面から徐々に肉体として馴染んできているようにも思える。
セナの意識に、ユゥリの姿が映る。
この手法であれば、ユゥリの体も元に戻るのではないか。
「神聖騎士が死んだ責任はっ!私がとるのか!?い、嫌だっ!どうすれば!」
腰を抜かしたまま、騎士団の団長はごちゃごちゃと喚いている。
周りには数人の雑魚ばかり。
「【神魔法:豪炎】」
セナの手に宿るのは赤と朱で生まれた炎の塊。
今までの【炎魔法】とは比べ物にならない高火力の炎。
これを、これを異教徒に投げつけ、神敵を殲滅ーーーー
セナは瞬間的に敵団長に近寄り、頭を鷲掴む。
【神魔法:豪炎】を擦りつけ、他のステータスにも手をつけず、頭を殴り抜いて殺した。
気持ち悪い。
セナは嘔吐した。
脳を直接撫でつけられるような不快感が、魂に唾を吐かれるような嫌悪感が、そして、体を貫くような快感が、セナを襲った。
ほとんど反射の動きだった。
ヤバいとかマズイとか考える前にセナは動いていた。
嘔吐の感覚を残したまま、セナは残りの騎士たちも皆殺しにした。
焼ける、燻る、燃え尽きる、焦げる。
裂ける、割れる、砕ける、捥げる。
セナの全身を未体験の刺激が貫く。
1万と5000のステータスを有する化け物を一瞬で焼き尽くすような魔法を放つ怪物がいる。
体感時間で1時間。実時間で30秒もの火炙りで、セナは全てを悟った。
「ぉぉおおおおまぁぁぁぁええええぇえええええがぁぁぁああああああ!!!!!」
炭化した腕を伸ばす。
片目も燃えてるため視界が悪いが、炎の動きから誰から炎が出ているかはわかる。
「しぃいいいいいいいいいねぇええええええええぐっ!?」
胸に深々と剣が刺さる。
その剣から、先ほどとも比べられない青い炎が吹き出し始める。
「ぁああああっぎゃああああああ!!!!」
伸ばした腕は炭化しすぎでボロリと取れた。
「チッ、しぶといな。早く死ねよ。」
内臓が焼ける。内側から高火力で焼かれて、感覚も消えてきた。
「クソが、異教徒のバケモンが、僕の神聖な炎をこんなに浴びやがって、贅沢なやつ。」
「しぃぃぃぃいいいいいいねぇええええええええええ!!!」
捥げた腕を相手に伸ばす。
できる。やれる。
その確信が、セナにしかできない不可能を可能にする。
「『剛腕』レベル3ぃぃぃいいいいい!!!」
『究極的暴君』の副次的効果の副作用。
『究極的暴君』によって奪ったスキルは重複する。重複したスキルは効力を増す。
しかし、それは人間の肉体のデザイン的には完全なバグ。
普通ならありえない事象に世界の処理が及ばず、突発的なバグを芋づる式に発現させる。
例えば、失った肉体の断面から、スキルが形を成して飛び出してきたり。
「ぐぇっ!?な、なんだこいつっ!?」
「つぅぅううううかぁぁあああああああまぁぁぁあえたぁああああ!!!!」
ステータスを、スキルを奪う。
名前も知らない相手の力を引き摺り出して、己がモノに。
「なんだこれっ!あつっ!?なんっ、ぎゃあああ!!」
炎を操るスキルが無くなったから、炎はそいつにも牙を剥く。
追加の出火がなくなったから、自然と熱は消えていく。
皮膚の炭化は奪いたての『聖魔法』で癒していく。
ステータス【+60000】
固有【神魔法:業炎】
その他スキル【17個】
名前も知らない相手は大物だったらしい。
しかし、よく見れば団長とかいう男とは別のやつだった。
先程まで話していた団長とやらは、セナに殺された男を見て腰を抜かしていた。
まだ視界は悪い。意識はハッキリと、思考はぐちゃぐちゃに。
セナの精神を痛みと絶望が絶え間なく研磨していく。
「し、神聖騎士が、やられたっ!!?うそだっ!そんなバカな!」
さっき燃やした男は神聖騎士というらしい。
60000という膨大なステータスを持った化け物だ、相当に高い地位にいた者だろう。
『剛腕レベル3』で形成された腕は消える気配がない。
それどころか、腕の切断面から徐々に肉体として馴染んできているようにも思える。
セナの意識に、ユゥリの姿が映る。
この手法であれば、ユゥリの体も元に戻るのではないか。
「神聖騎士が死んだ責任はっ!私がとるのか!?い、嫌だっ!どうすれば!」
腰を抜かしたまま、騎士団の団長はごちゃごちゃと喚いている。
周りには数人の雑魚ばかり。
「【神魔法:豪炎】」
セナの手に宿るのは赤と朱で生まれた炎の塊。
今までの【炎魔法】とは比べ物にならない高火力の炎。
これを、これを異教徒に投げつけ、神敵を殲滅ーーーー
セナは瞬間的に敵団長に近寄り、頭を鷲掴む。
【神魔法:豪炎】を擦りつけ、他のステータスにも手をつけず、頭を殴り抜いて殺した。
気持ち悪い。
セナは嘔吐した。
脳を直接撫でつけられるような不快感が、魂に唾を吐かれるような嫌悪感が、そして、体を貫くような快感が、セナを襲った。
ほとんど反射の動きだった。
ヤバいとかマズイとか考える前にセナは動いていた。
嘔吐の感覚を残したまま、セナは残りの騎士たちも皆殺しにした。
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