12 / 80
第十二話
しおりを挟む
「てめぇ!よくも裏切ったな!がっ!!」
怒声が響き、盗賊の三班は全滅した。
セナの予想通り、ステータスを奪わなくても敵を一刀両断することができたし、その後は完全に絶命するまではステータスを奪えた。
やりたい実験は終わらせたし、三班は全員殺した。
見ぐるみから何から全部剥ぎ取って、アジトの方に死体は全部詰め込んだ。
すごい固有スキルには【アイテムボックス】や【異空間倉庫】なんかの収納スキルがあるらしいけど、セナは見たことがない。
ということで、生き残りの奴に道案内をさせて、秘密の場所とやらに行く。
それは、盗賊達がアジトにしていた洞穴がある山の反対側。
木で隠れていてちゃんとした道順じゃないと木に挟まってしまう場所に、小さな入り口の洞窟があった。
「オレたちは人攫いもやってまして、時々逃げ出す奴がいた時にこっそりくすねてここに集めてたんです。多分100万エル分くらいはありますぜ。」
セナの肩幅くらいの大きさの箱に、硬貨や宝石、金属類が入っている。
『鑑定』のスキルを持っていても、宝石の価値は分からないセナでも、売れると確信できる貴重なものばかり。
しかし、セナの関心はそれ以外にあった。
「この骨は?」
「それは攫った奴の物でさぁ。女が逃げたと言ってここに押し込んで飽きるまでヤるんです。ま、飯も無いから数日で死ぬんですけど。あっ、そういえばさっき捕まえたガキがいまして。」
ペラペラと聞きもしてないことを喋る盗賊の男について行き、洞窟の中の別室のような所につく。
そこには、12歳くらいの少女が手足を縛られ、猿轡をしていた。
泣き腫らした跡のある顔だが、服装は泥に塗れてるだけだ。傷もそんなに無い。
「昨日捕まえた一家の、長女だったかでしたね。確か3人姉妹と両親がいて、親父の方は殺したんですが、母親とは『楽しんで』、妹二人と売ったんですよ。やっぱ中古の母親は微妙で1万エルもしなかったんですけど、妹たちはそれぞれ15万エルもして、2人を売ったあたりでこいつが逃げ出したから、オレが先回って捕まえたんでさ。でも、他の奴らには逃げたって言って、だから三班にまで分けて来もしない冒険者を警戒してたんですよ。ま、結局ダンナが来たから意味はあったのか無かったのか。楽しめないまま死にたくなかったですし、ダンナもイッパツどうですかい?」
「そうだな。」
「でしょう!!さぁて、準備と致しまーーー」
「てめぇはステータスもスキルも要らねぇ。」
頭からつま先まで、薪割りのように縦に斬られた盗賊は、それ以上何も喋られず、呻き声すらなく前後に別れた。
胸糞悪い気分の話だったが、『怒りを抑える』練習と、『怒りを攻撃力に上乗せする』訓練に使えたから、ステータスとスキルは残してやった。
いや、こんなカスのステータスが自分の中に入るのすら嫌だという、スキル強奪という特異性故の感性ってだけだが。
実際、街の浮浪者やクソ女達のステータスが、セナに影響を与えているわけじゃ無い。
だが、今のセナはそれを掃き捨てる余裕がある。
というわけではないけれど。
それだけ生理的嫌悪が激しいということ。
「んぐぅうううううう!!!」
虚無を彷徨ってたセナの意識が、唸るような声で現実に引き戻される。
拘束されてた少女の声だ。
視線を向けると、動かせない手足を芋虫のように動かして逃げようとしている。
拘束用の縄を解こうと近づけば、それだけで更に暴れて逃げようとする。
仕方なく強引に掴んで、盗賊の1人が持っていた『火魔法』で縄を焼き切る。
口の猿轡は手で解けたが、誰だ片結びなんてしたやつ。
「ひ、ひ、人殺し!!!」
解放された少女は後退り、腰が抜けたのか四つん這いで逃げようとする。
しかし、出口はセナの後ろで、少女は袋の鼠の道を行っているだけだった。
「はぁ……命の恩人に向ける第一声がそれかよ。」
仕方なしに、少女の首筋に強めの手刀を入れ、意識を刈り取る。
『武術』のスキルにあった『当て身』という技能らしい。
気絶した少女を担ぎ上げ、ギルドへと戻ることにする。
筋力も伸びたから、このへそくりは宿に置いてから行こう。
怒声が響き、盗賊の三班は全滅した。
セナの予想通り、ステータスを奪わなくても敵を一刀両断することができたし、その後は完全に絶命するまではステータスを奪えた。
やりたい実験は終わらせたし、三班は全員殺した。
見ぐるみから何から全部剥ぎ取って、アジトの方に死体は全部詰め込んだ。
すごい固有スキルには【アイテムボックス】や【異空間倉庫】なんかの収納スキルがあるらしいけど、セナは見たことがない。
ということで、生き残りの奴に道案内をさせて、秘密の場所とやらに行く。
それは、盗賊達がアジトにしていた洞穴がある山の反対側。
木で隠れていてちゃんとした道順じゃないと木に挟まってしまう場所に、小さな入り口の洞窟があった。
「オレたちは人攫いもやってまして、時々逃げ出す奴がいた時にこっそりくすねてここに集めてたんです。多分100万エル分くらいはありますぜ。」
セナの肩幅くらいの大きさの箱に、硬貨や宝石、金属類が入っている。
『鑑定』のスキルを持っていても、宝石の価値は分からないセナでも、売れると確信できる貴重なものばかり。
しかし、セナの関心はそれ以外にあった。
「この骨は?」
「それは攫った奴の物でさぁ。女が逃げたと言ってここに押し込んで飽きるまでヤるんです。ま、飯も無いから数日で死ぬんですけど。あっ、そういえばさっき捕まえたガキがいまして。」
ペラペラと聞きもしてないことを喋る盗賊の男について行き、洞窟の中の別室のような所につく。
そこには、12歳くらいの少女が手足を縛られ、猿轡をしていた。
泣き腫らした跡のある顔だが、服装は泥に塗れてるだけだ。傷もそんなに無い。
「昨日捕まえた一家の、長女だったかでしたね。確か3人姉妹と両親がいて、親父の方は殺したんですが、母親とは『楽しんで』、妹二人と売ったんですよ。やっぱ中古の母親は微妙で1万エルもしなかったんですけど、妹たちはそれぞれ15万エルもして、2人を売ったあたりでこいつが逃げ出したから、オレが先回って捕まえたんでさ。でも、他の奴らには逃げたって言って、だから三班にまで分けて来もしない冒険者を警戒してたんですよ。ま、結局ダンナが来たから意味はあったのか無かったのか。楽しめないまま死にたくなかったですし、ダンナもイッパツどうですかい?」
「そうだな。」
「でしょう!!さぁて、準備と致しまーーー」
「てめぇはステータスもスキルも要らねぇ。」
頭からつま先まで、薪割りのように縦に斬られた盗賊は、それ以上何も喋られず、呻き声すらなく前後に別れた。
胸糞悪い気分の話だったが、『怒りを抑える』練習と、『怒りを攻撃力に上乗せする』訓練に使えたから、ステータスとスキルは残してやった。
いや、こんなカスのステータスが自分の中に入るのすら嫌だという、スキル強奪という特異性故の感性ってだけだが。
実際、街の浮浪者やクソ女達のステータスが、セナに影響を与えているわけじゃ無い。
だが、今のセナはそれを掃き捨てる余裕がある。
というわけではないけれど。
それだけ生理的嫌悪が激しいということ。
「んぐぅうううううう!!!」
虚無を彷徨ってたセナの意識が、唸るような声で現実に引き戻される。
拘束されてた少女の声だ。
視線を向けると、動かせない手足を芋虫のように動かして逃げようとしている。
拘束用の縄を解こうと近づけば、それだけで更に暴れて逃げようとする。
仕方なく強引に掴んで、盗賊の1人が持っていた『火魔法』で縄を焼き切る。
口の猿轡は手で解けたが、誰だ片結びなんてしたやつ。
「ひ、ひ、人殺し!!!」
解放された少女は後退り、腰が抜けたのか四つん這いで逃げようとする。
しかし、出口はセナの後ろで、少女は袋の鼠の道を行っているだけだった。
「はぁ……命の恩人に向ける第一声がそれかよ。」
仕方なしに、少女の首筋に強めの手刀を入れ、意識を刈り取る。
『武術』のスキルにあった『当て身』という技能らしい。
気絶した少女を担ぎ上げ、ギルドへと戻ることにする。
筋力も伸びたから、このへそくりは宿に置いてから行こう。
50
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる