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第九話

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 謎の奴隷商について、セナは考えるのをやめた。
目の前にある現実、無料で手に入れた奴隷に向き合う。

「ベルモット、ステータス弄るぞ。」
「はい、どうぞ。」

 ベルモットの手を掴み、ステータスを操る。

『ベルモット・カナメ 14歳 女
ステータス【250】+【50】
パッシブスキル
『清潔』レベル4
『奴隷紋』レベル10
+『奉仕』レベル2
+『剛腕』レベル2
+『健脚』レベル1
アクティブスキル
『奉仕』レベル4
『水魔法』レベル3
+『火魔法』レベル2
+『風魔法』レベル2
+『地魔法』レベル2
+『闇魔法』レベル1
+『光魔法』レベル3
+『治魔法』レベル1
固有スキル
【神の手】マッサージの極致であり、手先の器用さが格段に強化される。』

 魔法系はあらかた習得させた。
これで、ユゥリの世話は楽だろう。

 ベルモットに自分のスキルについて説明して、ユゥリの世話と、魔法の練習を命じて外へ出る。

「いや意味がわからんわ。」

◇◆◇

 セナは1人で冒険者ギルドに入った。
前の街とはまるで違う、活気に溢れた景色。
 ざっと鑑定してみた結果も、前の街より高水準。

平均的に1.5倍くらいの感覚。
 触れてステータスをちょろっと奪うか、スキルを奪うか。
『鑑定』スキル持ちからはそんなに奪えない。簡単にステータスを奪ったのがバレる。
 そういう確率はできるだけ下げたい。

どうしたものかと考えつつ、今のところは手をつけない方向で行く。

依頼書を貼ってある掲示板を発見し、寄ってみる。
 ちなみに、前の街にはそういうのは無かった。

「……!これだ。」

 セナが手を伸ばして取ったのは『盗賊の討伐』依頼。
盗賊であれば殺しても構わない。それに、殺してしまえばステータスの強奪もバレない。
 報酬も目的の10人組を倒せば五万エル、悪くない。

「えっと、セナさんはEランクですよね?盗賊の討伐はCランクですので、最低でもDランクでないと受けられません。」
「……えぇ。」
「まずはDランクの依頼を数回クリアして昇級しましょう。」
「……わかりました。」

 依頼書を元の場所に戻して、Dランクの依頼を探す。
面白そうなのは『ウルフの討伐』くらい。

 セナは少し考えてから、『ウルフの討伐』を受けることにした。

討伐のための道程、戦闘シーンカットォ!!

 ウルフだろうと、ステータスを奪えばこちらのもの。
 デコピンで死ぬ犬っころに何の恐怖が湧く。
殺したウルフの素材を剥ぎ取って、おニューの皮袋に入れる。

 毛皮と牙だけだから、かなり余裕がある。
10体分の素材を詰めたら、ギルドの方へ戻る。

その間、実に1時間!!

「はい、ちゃんと戦闘ができる方みたいですね。Eランクなのにいきなり『盗賊の討伐』なんて受けようとしたからびっくりしました。」

 クスクスと笑う受付嬢に悪意はない。
本当に可笑しくて笑ってる。

「換金終わりました。5600エルですね。」

ゴブリンよりウルフが安いわけじゃない。
ゴブリンは耳を200体分で5万、つまり一体じゃ250エル。
それに対してウルフは素材全部を10体で5600、一体で560エル。
 初心者向けの魔物はこれくらいの相場。

魔物のランクは冒険者ランクとそう変わらない。
Eが下でSまである。
 が、魔物は群で活動する時がある。
その場合は。10体を超えた段階で次のランクとして扱われる。
 つまり、Eランクのゴブリン10体だと、Dランクの難易度ということ。

「素材の剥ぎ取り技能、『解体』は待っていませんか?その剣で剥ぎ取ったのであれば器用だとは思いますけど、専門の人を連れた方がいいと思いますよ?」
「あ、あぁ、そうですね。考えておきます。はは。」
「またウルフの討伐をしますか?この調子なら明日にでもDランクになれますよ。頑張ってくださいね。」
「今日中にDランクになりたいって言ったらどうします?」
「ぇ……そうですね。ウルフの討伐ならあと4回、つまり40匹の納品があれば。でも、あまり無茶をしてはいけませんよ?」

 沈黙の後、40匹分のウルフ素材を集めると言って、セナはギルドから出て行った。

 あれ以上、あの場にいたくなかった。
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