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約束の未来へ
149話 最終形態
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ハンドスラップをするように何度も鉤爪を床に叩きつけてくるアプロディテに、アトラスは見かけによらぬ素早いステップを小刻みに踏んで躱していく。
そうして懐近くにまで踏み込み、ブレイクパルチザンを大きく薙ぎ払う。
「フンッ!」
力任せで、それでいながら研ぎ澄まされた一閃は、アプロディテの黒鱗を斬り飛ばし、
「オラァッ!!」
兜割りのごとくブレイクパルチザンを振り下ろし、黒鱗を斬り飛ばした部位へ切っ先を叩き込む。
『ゴギ ガァ!?』
鋭く重々しい一撃に、アプロディテはたたらを践む。
サイクロプス程度なら一撃で撃破してしまうほどの攻撃力だ、アプロディテとてこれは効いたらしい。
怯むアプロディテに、再び飛び上がったアロウが飛び込む。
「だあぁぁぁッ!」
飛行加速のまま、再生しつつある黒翼の内側へプラズマソードを斬り込ませ、そこへエナジーライフルのゼロ距離射撃を敢行、黒翼の内部をズタズタに焼き切っていく。
「でえぇぃッ!」
そこへフェルテが疾風のごとく飛び掛かり、メイプルがダメージを与えた部分へ宝剣を勢いよく突き立て、抉るように斬り抜いてみせる。
宝剣自体にも光属性が纏われているのか、突き立て、斬り抜いた周囲の黒鱗を死滅させていく。
『ガギィィィィィ!!』
三箇所から波状に攻め立てられ、アプロディテは狂乱したかのように暴れ回る。
その拍子にアロウとアトラスは弾き飛ばされ、フェルテは素早く飛び下がる。
すぐさま、アプロディテは黒翼から誘導端末を射出、しかしアロウの攻撃によって数が減ったらしいそれらをアトラスに向けて飛ばす。
吹き飛ばされて受け身を取ろうとしていたところを攻められ、アトラスに多数の誘導端末が衝突、爆破されていく。
「アトラスさんッ!」
誘導端末の数が少ない分、ジルダが受けたほどのダメージではないかもしれないが、それでも大きなダメージに変わりはないだろう。
しかし、アトラスは怯むこと無く爆煙を斬り裂いて再び姿を現し、その左手にはギガンティックバズが担がれている。
「吹っ飛べ!!」
トリガーと共に砲口から大口径のロケット弾が撃ち出され、フェルテが斬り裂いた部位へ炸裂する。
『ゲ ギゴ……ッ』
不意に、アプロディテは弱々しく蹌踉めいた。
どうやらようやく弱り始めたのか、アプロディテはその動きを鈍らせ――
片翼しか無かった黒翼がもうひとつ背中を突き破って生え、歪んだ巻角が左側頭部にも伸び、全身の外側面に黒鱗がびっしりと並び、元より黒鱗があった部位は固まり合って甲殻となり、口は頬の上辺りまで裂け、鋭い牙が見え隠れする。
真っ赤な血眼を爛々と輝かせ、天を衝くかのように吼える。
それはもはや女神などではなく、在り得る限りの人の欲望と悪意を掻き集めてひとつの存在に凝縮したかのような、邪悪で禍々しい黒龍だった。
――先程の姿よりも洗練され、どこか統一感を得たため、恐らくはこれが最終形態なのだろう――
そうして懐近くにまで踏み込み、ブレイクパルチザンを大きく薙ぎ払う。
「フンッ!」
力任せで、それでいながら研ぎ澄まされた一閃は、アプロディテの黒鱗を斬り飛ばし、
「オラァッ!!」
兜割りのごとくブレイクパルチザンを振り下ろし、黒鱗を斬り飛ばした部位へ切っ先を叩き込む。
『ゴギ ガァ!?』
鋭く重々しい一撃に、アプロディテはたたらを践む。
サイクロプス程度なら一撃で撃破してしまうほどの攻撃力だ、アプロディテとてこれは効いたらしい。
怯むアプロディテに、再び飛び上がったアロウが飛び込む。
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そこへフェルテが疾風のごとく飛び掛かり、メイプルがダメージを与えた部分へ宝剣を勢いよく突き立て、抉るように斬り抜いてみせる。
宝剣自体にも光属性が纏われているのか、突き立て、斬り抜いた周囲の黒鱗を死滅させていく。
『ガギィィィィィ!!』
三箇所から波状に攻め立てられ、アプロディテは狂乱したかのように暴れ回る。
その拍子にアロウとアトラスは弾き飛ばされ、フェルテは素早く飛び下がる。
すぐさま、アプロディテは黒翼から誘導端末を射出、しかしアロウの攻撃によって数が減ったらしいそれらをアトラスに向けて飛ばす。
吹き飛ばされて受け身を取ろうとしていたところを攻められ、アトラスに多数の誘導端末が衝突、爆破されていく。
「アトラスさんッ!」
誘導端末の数が少ない分、ジルダが受けたほどのダメージではないかもしれないが、それでも大きなダメージに変わりはないだろう。
しかし、アトラスは怯むこと無く爆煙を斬り裂いて再び姿を現し、その左手にはギガンティックバズが担がれている。
「吹っ飛べ!!」
トリガーと共に砲口から大口径のロケット弾が撃ち出され、フェルテが斬り裂いた部位へ炸裂する。
『ゲ ギゴ……ッ』
不意に、アプロディテは弱々しく蹌踉めいた。
どうやらようやく弱り始めたのか、アプロディテはその動きを鈍らせ――
片翼しか無かった黒翼がもうひとつ背中を突き破って生え、歪んだ巻角が左側頭部にも伸び、全身の外側面に黒鱗がびっしりと並び、元より黒鱗があった部位は固まり合って甲殻となり、口は頬の上辺りまで裂け、鋭い牙が見え隠れする。
真っ赤な血眼を爛々と輝かせ、天を衝くかのように吼える。
それはもはや女神などではなく、在り得る限りの人の欲望と悪意を掻き集めてひとつの存在に凝縮したかのような、邪悪で禍々しい黒龍だった。
――先程の姿よりも洗練され、どこか統一感を得たため、恐らくはこれが最終形態なのだろう――
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