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約束の未来へ

139話 創造神の神域

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「フェルテ!良かった、無事だったんだな……!」

 ようやく見たかった姿が見られて、アロウは安堵する。

「うむ、我は無事だ。だが……」

 フェルテはアロウ達の後ろにいる四人にも目を向ける。

「汝ら、どうやってここへきたのだ?ここは創造神の神域……そう容易く入れるような場所ではない」

 創造神の神域。
 つまり、この世界はもうMAFの範疇ではないということだ。
 その理由をルナが答えた。

「フェルテさんが最後の儀式を終えたのと同時に、MAFのターミナルエリアに謎の大穴が発生したんです。もしかしたら、フェルテさんに何か関係があるのではないかと……」

「大穴?……だとしたら、いかんな」

 それを聞いたフェルテは顔付きを深刻なものにした。

「創造神の御力は、我の想定よりも早く弱まりつつある。"蟲"が、本格的に侵食していると見てもいいだろう」

「むし?」

 何のことかとジルダが訊ね返す。

「汝らの言い方に置き換えると、"バグ"だな。止まってしまった時空同士が干渉し合うと、その衝撃によって世界の崩壊現象が発生する。その際に生まれるのが、崩壊した世界の破片――バグだ」

 フェルテが言うには、時空内に存在する世界はひとつの"卵"であり、その卵同士がぶつかれば当然、双方の殻が破れて卵黄が出てきてしまう、
 この喩えの場合は、卵殻の破片が"バグ"に当たる。

「"バグ"の拡散を抑え、管理するのが創造神のお役目。しかし、その御力が弱まっている今、"バグ"は時空から飛び出し、別の時空に干渉してしまう。ルナの言う大穴は、言わば卵殻の破片がぶつかり、亀裂が入ってしまった状態であろうな」

 そして、とフェルテは自らが現れた方向を見やる。

「その"バグ"が、創造神そのものを侵食しつつある。早急に、創造神を侵食する"バグ"を排除せねばならないのだが……敵の数が多く、思うように進めぬのだ」

 不意にフェルテはアロウ達に向き直った。

「頼む。今一度、我に力を貸してほしい」

 真摯に、頭を下げるフェルテに、カノラは慌てて顔を上げさせる。

「わわっ、そんなに真剣に頭下げなくていいよ、フェルテちゃん」

「そうそう。ボク達は勝手にここに来て、勝手にフェルテちゃんを助けに来たんだから、ね?」

 いたずらっぽくウィンクしてみせるメイプル。

「行こう、フェルテ。俺達のストーリーイベントの、最後の戦いに!」

 力強く頷いて見せるアロウに、

「……ふっ。本当に、汝らは揃いも揃って物好きだな」

 仕方ないな、とフェルテは苦笑した。

「この義、未だ健在なり!我らの力を結集し、創造神を喰らう"バグ"を打ち倒すのだ!!」

 決戦へ赴く英雄のように、宝剣を高く掲げた。
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