【完結】マギアアームド・ファンタジア

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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約束の未来へ

136話 突入

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 翌日。
 徹矢は菜々花と結月には先んじて学校で、『自分のやりたいこと』を話す。
 当然、そのリスクも明かした上で。
 昨日に事情を知っている菜々花と同じように、結月も徹矢の『やりたいこと』に賛成してくれた。



 MAFにログインしてからすぐにメイプルとジルダにも連絡をして、他のプレイヤーに聞かれない場所で、アロウは『自分のやりたいこと』を話す。
 
 すると、

「いいよ、行こっか」

 メイプルはさも当たり前かのように頷いた。

「……えーっと、メイプルさん?俺の話、聞いてましたよね?すっごい危険で、最悪命にも関わるって」

「うん、それも知ってる。だってそうでもしないと、アロウはずーっとそんな思い詰めたような顔をするんでしょ?」

 どうやらまた、カノラが言うところの「怖い顔」が出ていたらしい。

「ようするに、フェルテちゃんのことが心配でたまらないってことでしょ。で、確かめられる方法は一応ある。それじゃぁ、行くっきゃないよね」

 あまり深く難しく考えてはいない様子のメイプル。
 否、この場合は周囲を勇気付けるために敢えて軽い態度を見せているのだろう。

 ジルダの方はどうするのかと言えば、溜め息混じりに、「仕方ない」とでも言うように。

「あんた達だけじゃ無茶なことしそうだし、一人くらいはストッパー役が必要でしょう」

 照れ隠しというわけでもなく、もしも仮に学生達が本当に危険なことに首を突っ込もうとするなら、止めるつもりだろう。

「メイプルさん、ジルダさん……二人とも、ありがとうございます」

 ばっと頭を下げて感謝の意を示すアロウ。それもすぐに頭を上げて。

「よぉし……それじゃぁみんな、行こう!」

「「「「おぉー!!」」」」

 アロウが突き出した拳に、四人も拳を合わせる。

 行き先はひとつ、ターミナルエリアの、"大穴"だ。



 ターミナルエリアに移動し、運営関係者がいないことを確認してから、アロウ達は足早に"大穴"へ向かった。
 データの破損部を避けながら近付き、口を開けている暗黒を見下ろす。
 深呼吸をしてから、

「待ってろよフェルテ……今行くぞ!」

 率先してアロウが暗闇へと飛び込み――その姿はあっという間に見えなくなる。

「……行きます!」

 ルナもすぐに後を追うように飛び込み、

「怖そうだけど、すっごく怖そうだけど!」

 恐怖と躊躇を飲み込んでカノラも続き、

「ひぁーうぃごー!」

 どこぞの世界一有名な赤い帽子のヒゲオヤジの真似をしながらメイプルは勢いよくジャンプし、

「ほんと、若いっていいわねぇ……」

 この場にいる自分が少し場違いな気もするが、腹積もりを決めてジルダも続いた。



 一方で、"大穴"の調査を開始しようとしていたところだったカインは、オーディンの通信報告を受けて目を見開く。

「なんだと?」

『あぁ、ターミナルエリアの映像を見たらそのものズバリだったよ。それもご丁寧に五人揃った上でだ。……それで、どうする?』

「私がすぐに出る。オーディン、分かっているな」

『了解、大穴の前で合流だ』

 通信を終えて、カインは身を翻す。

「全く……全く無茶なことをしてくれるよ、アロウ君……」

 若さ故か、とカインはどこか嬉しそうに苦笑した。
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