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羽ばたきの時
129話 激戦に終止符を
しおりを挟む一方で、カノラに連れられて祭壇の間の端の方に移動させられていたアロウは、スタン状態から回復する。
「あれっ、また気絶して……っ!?」
意識が飛んでいたアロウは、すぐに戦線に戻らなければと体を跳ね起こそうとするが、それはカノラに止められる。
「アロウくんアロウくん、ちゃんと回復してから、だよ」
「そ、そうだな、うん」
一度大きなダメージを受けているのだ、少ない体力で下手に立ち回り、万が一攻撃を受けたりしたら拠点送りになってしまう。
カノラの進言通り、回復ポーションでしっかり体力を回復させてから、床に落としていたエナジーライフルを拾い直してから、今は地上にいるダークホークへ向かい、カノラは再度強化魔術を各人へかけ直していく。
地上でもダークホークの素早さは健在だ。
跳ねるような立ち回りでフェルテとルナを翻弄するが、オーディンは冷静に四脚形態に変形し、滑るようなホバー機動でダークホークを追う。
跳躍と短距離飛行を繰り返すダークホークの、その僅かな着地の隙を狙うのだ。
ラウンドシールドで鉤爪や体当たりを防ぎ、――荊棘の構えのスキルによって、ダークホーク自身も僅かにダメージを受けている――ジリジリと間合いを図っていく。
しかしなかなか隙を見せないダークホーク。
いつ再び上空へ戻るのか、焦る感情もあるがだからこそ冷静に追い詰めなければならない。
オーディンは自身にそう言い聞かせていると、そこへアロウがエナジーライフルを撃ちながら戦線復帰してきた。
ダークホークのヘイトがアロウに向けられ、飛び掛かりながら鉤爪で薙ぎ払おうと前脚を振り抜く。
これに対し、アロウはその場でバック宙するようにダークホークの鉤爪を躱す。
攻撃を避けられたことを読み取ったダークホークはすぐに後退することで反撃を避けようとするが、
「そ、こ、だッ!!」
アロウはバック宙の途中でスラスターウイングを炸裂させ、螺旋状に回転しながら加速する。
同時にエナジーライフルを連射しており、光弾が曲がるような軌道を描いてダークホークの胴体へ襲い掛かる。
多段射撃を一箇所に受けたダークホークは蓄積されたダメージによって怯み、
「今度こそ仕留める!」
そこへ、好機を今か今かと待っていたオーディンが猛烈な加速と共に突っ込んで来た。
怯むダークホークの横腹あたりから、弾丸のごとくグングニルを突き込ませるとさらに加速、
「おぉぉぉぉぉッ!!」
なんとダークホークを推進力で押し運び、そのまま壁へ激突させた。
ベヒーモスが激突したかのような轟音が響き渡り、ダークホークはグングニルと壁に挟み潰される。
しかしまだ息があるらしく、弱々しくもがいている。
そこへフェルテが駆け付けると、
「しぶといようだが、ここまでだ」
宝剣をダークホークの眉間に突き立てた。
グゲェ、と短い断末魔と共に、ダークホークはグングニルに貫かれた巨体を力無く伸ばした。
やがてその巨体が黒ずんで、吹き消える。
ダークホーク、撃破。
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