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羽ばたきの時
127話 空を引き裂く黒雷
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「やってみせる!」
自分に言い聞かせ、アロウはスラスターウイングを翻してダークホークへ挑みかかる。
カノラが機動性を強化してくれた今の内なら、ダークホークが地上にいる四人に一方的に攻撃を仕掛けさせる余裕を与えないくらいなら出来るはずだ。
エナジーライフルを連射しつつも、プラズマソードによる近接攻撃を試みようとするものの、ダークホークも素早く翼を翻してアロウの攻撃を躱し、鉤爪を叩き込もうとするが、アロウの方も回避やドラゴニウムシールドによる防御でダメージを防いでいる。
互いの背後の取り合い――ドッグファイトが数十秒ほど続いた辺りで、ダークホークは一度大きく飛び下がると、黒い魔法陣を顕現する。
「魔術攻撃!」
ガーディアンは、プレイヤーから大きく距離を取ると攻撃魔術を詠唱する傾向がある。
リヴァイアサンと同じく、大きく距離を取ってから魔法陣を顕現したダークホークに、アロウは素早くエナジーライフルを撃って妨害しようとするものの、それよりも早くダークホークの詠唱が完了してしまう。
「(詠唱が早い!?)」
リヴァイアサンの詠唱よりも早く発動したそれは、黒紫色の稲妻を纏った雷球――『デスヴォルト』
それが複数同時にアロウに襲い掛かってくる。
「くっ、そ!」
アロウは悪態をつきながらも、飛来してくるデスヴォルトを躱そうとするものの、雷球は直進せずに、緩やかなカーブを描いてアロウを追尾してくる。
「ホーミング!?」
直進してくるものだとばかり思っていたアロウだが、すぐに「だったら撃ち落す!」とエナジーライフルを構えて、デスヴォルトに向けて連射する。
一発、二発、三発、と光弾が雷球を相殺していくものの、残り二発までは撃ち落とせなかったため、ドラゴニウムシールドで受けるしかない。
雷の炸裂に、盾越しとはいえアロウの左腕が不愉快な震動と感電に襲われ、同時に吹き飛ばされてしまう。
「ぐっ、うぅ……ッ!」
壁にぶつかる前に姿勢制御出来たアロウだが――デスヴォルトの迎撃に意識を向けたせいで、ダークホークを見失う。
「(しまったっ、どこに……?)」
そう思った瞬間には視界が陰り、ダークホークが真上から勢いよく鉤爪を振り下ろそうと迫っていた。
「ッ!?」
ドラゴニウムシールドを構えたのはほとんど反射だった。
自身の何十倍はある重量、その落下の勢いも合わせての一撃は、盾の表面を深く抉る。
衝撃と感電の連続にアロウは左腕の感覚が薄れつつあるのを錯覚しつつも、
自分のすぐ目の前にダークホークがいることにも気付く。
「そ、れ、ならぁッ!」
アロウはエナジーライフルを手放すと、スラスターをフルスロットルで開き――
敢えてダークホークに向かって突っ込んだ。
ルナに助け起こされてスタン状態から回復したカノラは、すぐに回復ポーションを飲んで体力を回復する。
「んくっ……アロウくんは?」
「まだ上で戦っています。私達も早く援護に……」
援護に向かいましょう、と言いかけたルナだが、
「待て、少し様子を見ろ」
それをオーディンが制する。
「アロウめ、なんと無茶なことをする」
フェルテも視線を上に向けてそう呟く。
見上げた視界の先には、ダークホークの顔面に張り付いているアロウの姿があった。
自分に言い聞かせ、アロウはスラスターウイングを翻してダークホークへ挑みかかる。
カノラが機動性を強化してくれた今の内なら、ダークホークが地上にいる四人に一方的に攻撃を仕掛けさせる余裕を与えないくらいなら出来るはずだ。
エナジーライフルを連射しつつも、プラズマソードによる近接攻撃を試みようとするものの、ダークホークも素早く翼を翻してアロウの攻撃を躱し、鉤爪を叩き込もうとするが、アロウの方も回避やドラゴニウムシールドによる防御でダメージを防いでいる。
互いの背後の取り合い――ドッグファイトが数十秒ほど続いた辺りで、ダークホークは一度大きく飛び下がると、黒い魔法陣を顕現する。
「魔術攻撃!」
ガーディアンは、プレイヤーから大きく距離を取ると攻撃魔術を詠唱する傾向がある。
リヴァイアサンと同じく、大きく距離を取ってから魔法陣を顕現したダークホークに、アロウは素早くエナジーライフルを撃って妨害しようとするものの、それよりも早くダークホークの詠唱が完了してしまう。
「(詠唱が早い!?)」
リヴァイアサンの詠唱よりも早く発動したそれは、黒紫色の稲妻を纏った雷球――『デスヴォルト』
それが複数同時にアロウに襲い掛かってくる。
「くっ、そ!」
アロウは悪態をつきながらも、飛来してくるデスヴォルトを躱そうとするものの、雷球は直進せずに、緩やかなカーブを描いてアロウを追尾してくる。
「ホーミング!?」
直進してくるものだとばかり思っていたアロウだが、すぐに「だったら撃ち落す!」とエナジーライフルを構えて、デスヴォルトに向けて連射する。
一発、二発、三発、と光弾が雷球を相殺していくものの、残り二発までは撃ち落とせなかったため、ドラゴニウムシールドで受けるしかない。
雷の炸裂に、盾越しとはいえアロウの左腕が不愉快な震動と感電に襲われ、同時に吹き飛ばされてしまう。
「ぐっ、うぅ……ッ!」
壁にぶつかる前に姿勢制御出来たアロウだが――デスヴォルトの迎撃に意識を向けたせいで、ダークホークを見失う。
「(しまったっ、どこに……?)」
そう思った瞬間には視界が陰り、ダークホークが真上から勢いよく鉤爪を振り下ろそうと迫っていた。
「ッ!?」
ドラゴニウムシールドを構えたのはほとんど反射だった。
自身の何十倍はある重量、その落下の勢いも合わせての一撃は、盾の表面を深く抉る。
衝撃と感電の連続にアロウは左腕の感覚が薄れつつあるのを錯覚しつつも、
自分のすぐ目の前にダークホークがいることにも気付く。
「そ、れ、ならぁッ!」
アロウはエナジーライフルを手放すと、スラスターをフルスロットルで開き――
敢えてダークホークに向かって突っ込んだ。
ルナに助け起こされてスタン状態から回復したカノラは、すぐに回復ポーションを飲んで体力を回復する。
「んくっ……アロウくんは?」
「まだ上で戦っています。私達も早く援護に……」
援護に向かいましょう、と言いかけたルナだが、
「待て、少し様子を見ろ」
それをオーディンが制する。
「アロウめ、なんと無茶なことをする」
フェルテも視線を上に向けてそう呟く。
見上げた視界の先には、ダークホークの顔面に張り付いているアロウの姿があった。
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